捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

戻ることなら…③

アレックは忙しくてもいつも自分を優先してくれると母親と医師に話をしていた。
医師はエミリーの話を聞いてため息をはいて、侯爵もエミリーを甘やかしどれ程妻のソフィアが辛い思いをしていたのか…その事を考えると胸が締め付ける思いだった。
「アレック様は体調が余りよくありませんので今は安静にしていただいています」
「え！？アレック様病気なの？」
「大丈夫なの？アレック様は…」
「…ご無理をしておいででしたので、今は安静におやすみいただいています」
医師はこれ以上アレックを振り回さないで欲しいと心の中で願っていた。
「アレック様が病気と聞いて黙ってなんていられないわ。私、アレック様の看病をして行くわ」
「な！？」
「エミリー、貴女が行けば安静にはできないのよ」
エミリーの部屋ではアレックの事で騒いでいた。
「何を騒いでいるんだ！？」
エミリーの部屋の扉を開けたのは父親だった為三人驚いていた。
「あ、あなた？学校に行ったのではありませんか？」
「……」
「お父様、おやすみだったの？」
父親はエミリーを見てため息をはいて医師に顔を向けた。
「…医師様、エミリーの体調は？」
「あ、はい…問題ありません、診察はこれで終わりです」
「はぁ…有り難う御座いました…医師様にはいろいろとお世話になりました…」
エミリーの父親は医師に頭を下げ今までの事で謝っていた。
「いえ、私はアレック様に頼まれて診察をしたまでです」
「お父様、私アレック様の所へ行きたいの、いいでしょう？」
「エミリー様、アレック様にお会いするのは控えてください」
「お見舞いに行くだけだからいいでしょう？私の顔を見たら元気になると思うの」
「エミリー様！」
医師の忠告を無視するエミリーに父親はため息をはいていた。
「エミリー、侯爵の屋敷へ行くのはやめなさい」
「え？」
エミリーは、父親からアレックの屋敷へ行ってはならないと言われ不機嫌な顔を見せていた。
「どうして行ってはダメなの？アレック様のお見舞いぐらいいいでしょう？」
「駄目なものは駄目だ！」
「っ…もういい、私の部屋から出てって！」
「エミリー、お父様は貴女の事が心配で言っているのよ」
「……」
頬を膨らませるエミリーを見て、父親は部屋を出ると後を追うように母親と医師が部屋を出た。
「あなた…」
「…学校を辞める事になった…」
「「！？」」
父親から、聞かされ母親と医師は驚いていた。