捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

クロユキ

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ルモア家との別れ

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ソフィア・ルモアは陛下の娘皇女として生まれ家族の愛に包まれすくすくと育っていた。
ソフィアが陛下の子供として生まれた時、小さな命が消えていた。
「…残念ですが…お子様は…」
医師が声につまらせアレックにお腹の子供を伝えた。
「…そうか…ご苦労だった…」
エミリーの屋敷に着き馬車の中で気を失ったエミリーは、医師の治療を受けたが子供は死産だった。
ベッドの上に眠るエミリーの手を握りしめアレックは謝っていた。
「…すまない…俺は…君達姉妹を苦しめてしまった…」
今のアレックは姉妹に謝る事しかできなかった。
「嘘よ!赤ちゃんが死んでしまったなんて…嘘よ!!」
目が覚めたエミリーはお腹に違和感があり、医師から子供の話しを聞き声を上げていた。
「エミリー!」
母親がベッドの上に座りエミリーを抱きしめていた…エミリーの前にはアレックが立ちエミリーは涙目で睨んでいた。
「子供が出来た時に喜んでくれたのに…父親になるんだって言ってくれたのに…全部嘘だったの?」
「……」
アレックは何も言えずエミリーの泣き叫ぶ声を黙って聞くだけだった。
「出てって…出てってよー!わああぁ~~っ…」
母親の胸の中で泣き叫ぶエミリーを見ていたアレックは頭を下げ部屋を出ていった。
「医師…」
「はい…」
「暫くエミリーの側にいてくれ」
「わかりました」
アレックは医師を残し階段を下りるとエミリーの父親が待っていた。
「…少しいいかな?」
「はい…」
部屋の中に通されたアレックは父親から聞かされた。
「…エミリーとの結婚は無かった事にして欲しい」
「……」
「君もわかっていたはずだ、エミリーに侯爵の仕事は無理だと…君はうちの家族を調べていたのだろう?仕事を任せるには真面目なソフィアにと…だが、君はソフィアを裏切りエミリーを選んだ…エミリーは君の事が好きだったらしいが…エミリーの気持ちを知って手を出したのか?」
「……」
「嫁いだソフィアの事は考えなかったのか?」
「…申し訳ありません…」
アレックは膝の上に置いている手を握りしめ何も言えずにいた。
「…一度ソフィアから手紙が来た…」
「!」
「『帰ってもいいですか?』それだけ書いて手紙が送られて来た…私はエミリーが帰ると思いエミリーに早く帰るようにとソフィアに返事を書いたが…まさか亡くなるとは…」
鼻を啜る音が静かな部屋に響いていた。
「これ以上、私の家族を振り回さないで欲しい…エミリーには私から言おう…」
「……」
アレックは頭を下げ部屋を出ようとした。
「娘達の荷物を送ってくれないか」
「え…」
「君の屋敷へ置いておく理由はないが…君もこの先妻を娶るだろう?」
「……」
「君が贈った物は残してくれ…エミリーには話すが、いろいろと買ってくれたそうだな…屋敷へたまに帰った時に、私達によく見せていたが…ソフィアには何を贈ったのだ?」
「……」
アレックはソフィアに何を贈り物をしたのかわからなかった…ただ、切り刻んだドレスだけが目に浮かぶだけだった。
「…はぁ…聞くだけ無駄だった…ソフィアの墓参りは許すがエミリーとは二度と会わないで欲しい…」
「…わかりました…」
アレックは深々と頭を下げエミリーと会わない約束をした。













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