捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

クロユキ

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家族③

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ソフィア皇女の母親皇后、第一皇子アルフォンス皇子と第二皇子ジェラルド皇子達に会ったソフィアは、毎日のように兄皇子達と一緒に過ごす日が多くなった。
今日もアルフォンス皇子とジェラルド皇子が皇女の部屋へ遊びに来ていた。
「う~~ん、う~~ん!がんばれ~がんばれ~!」
(うんしょ、うんしょ、こ、これが…なかなか、いかないのよ…)
「あうっ、あうっ」
絨毯の上に仰向けで寝ている皇女ソフィアは寝返りを始めていた。
アルフォンス皇子の応援と寝返りを始めている皇女を側で寝転び邪魔をするジェラルド皇子…ソフィア・ルモアとして生きて結婚をしたが、愛する夫と愛する妹から裏切られ自らこの世を去ったソフィアだが、第二の人生として皇帝の娘に生まれ変わり時々思い出してしまう前世に悩ませながら皇女として毎日が幸せに生きている。
ゴロン!
「!!」
「ソフィーが寝返りした~~!!」
(きゃーっ、やったわ。赤ちゃんて大変だけど、がんばった時は凄く嬉しい~~!!)
「ジェラ、今の見た?」
「か~…」
「ジェラルド皇子様はおやすみのようです」
「ははは…」
ジェラルド皇子は絨毯の上でいつの間にか眠ってしまい、皇女ソフィアは俯せになった体を仰向けに寝返りをした。
(はぁ…でも少し動くだけで疲れてしまうから…)
「ソフィー……」
(え、アルフォンス皇子様?)
チュッ!
(!?ええ~っ?)
アルフォンス皇子は皇女ソフィアの頬にキスをして笑顔を見せていた。
「がんばったご褒美だよ…」
「あう~っ」
(そ、その笑顔で顔を近づけないで~っ)
スリスリ…と頬を寄せ合うアルフォンス皇子にソフィアは戸惑っていた。
「ソフィーのほっぺは柔らかいな~っ…」
(…お…お兄様も柔らかいですが……)
「あう~…」
最近のアルフォンス皇子は、皇女ソフィアの頬を寄せ合うようになりソフィアは何も出来ないためされるがままだった。
(エミリーの小さい頃はこんな事はしなかったわ…)
「皇女の寝返りは描いたか?」
(!?)
「はい…下書きではございますが、完成いたしますまでお時間をいただきたいのですが…」
「うむ…いいだろう」
「有り難う御座います…」
(……陛下も部屋にいたのを忘れていたわ…)
皇女の寝返りがもうすぐだと聞いた陛下が画家を呼び出し皇女が寝返りするまで待っていたようだ。
キュッ…
ソフィア皇女の手を握りしめいつの間にかアルフォンス皇子が眠っていた。
(……寝顔が陛下にそっくりだわ…私も…眠たくなってきた…)
子供達三人とも絨毯の上に眠っていた。
「画家…」
「は、はい」
「三人の寝姿も描くように」
「わ、わかりました…」
皇女が生まれてから画家の仕事が増えたのは言うまでもない…




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