捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

家族②

ウロウロ…キィ～パタン！ウロウロ…キィ～パタン！
「アルフォンス皇子？」
「は、はい！お母様」
皇后の部屋では、ソフィア皇女の兄アルフォンス皇子が陛下と皇女が部屋に来るのを待ち、部屋の中で歩き回り扉を開いては廊下を見て妹が来るのを待っていた。
「もうすぐ、お父様が来ます。それまで椅子に座って待っていなさい」
「…はい、お母様…」
アルフォンス皇子は椅子に座り妹を連れてくる陛下を待つていた。
アルフォンス皇子は、アルテシア帝国の第一皇子と生まれジェラルド皇子とソフィア皇女の兄になる。
「はぁ…僕もジェラと一緒に行けば良かったな…」
「ふふ、お父様にお叱りを受けても？」
「え、それはイヤです。でも、早く会いたいから…僕達の妹に…」
「ふふふ」
廊下で騒ぐジェラルド皇子の声に反応したアルフォンス皇子は、椅子から立ち上がり「廊下を見てきます！」と声に出し、部屋の扉を開けると目の前にはジェラルド皇子と父親の陛下、そして陛下の服を必死に握りしめている妹ソフィア皇女の姿を見て笑顔を見せていた。
「お父様…もしかして僕達の妹ですか？」
「ああ、そうだ。アルフォンス皇子」
（え、この子が第一皇子アルフォンス皇子様！？…綺麗な男の子…大きくなったらご令嬢達が大騒ぎになりそうだわ…金色の髪の毛に艶があってキラキラと輝いて…ジェラルド皇子様も金色の髪に陛下の癖のある髪の毛に似ているかしら…私は？二人と同じ金色の髪の毛かしら？）
皇女として生まれ変わったソフィアは自分の容姿をまだ見た事がなかった。
「陛下…」
部屋の奥で椅子に座る一人の女性にソフィアは目を見開いていた。
「皇后」
（…綺麗な人…この方が私のお母様…）
お互い呼び合い、陛下は皇后の側へ歩き頬にキスをした。
その姿を見ていたソフィアは二人が羨ましく思い（これが夫婦なのかな…）と、涙が出るのを抑えていた。
「ソフィア…お前のお母様だぞ」
陛下から抱き渡された皇女ソフィアはきょとんとした顔で皇后を見ていた。
「ふふふ、わたくしが分かるのかしら？」
（はい、初めまして…生前はお会いする事がありませんでしたが…何故か、私が皇女として生まれて来ました…）
「あう、あう、あう…」
「まあ、わたくしに話しかけているの！？」
「私達の娘は利口そうだからな」
「え！？お話ができるの？」
「何を話しているのか分からないが返事を返してくれる」
「ジェラも、赤ちゃんとお話する！」
「僕もしたいです！」
「ふふふ、お兄様達の人気者ね…貴女の髪の毛は銀色に光り、瞳の色は澄んだ青い色をしてお父様とお母様の両方を受け継いでいるのね」
（え、髪の毛は陛下と目は皇后様に似ているのですか！？）
チュッ！
皇后は皇女のソフィアの頬にキスをしてソフィアは擽ったくて思わず声を出した。
「きゃっ、きゃっ！」
「ん？私の時とは笑顔が違うが…」
（え…同じだと思いますが…）
「狡いです！僕も妹に挨拶したいです」
「ジェラも～」
（ええ～～っ！？ちょっと待って心の準備が～～っ）
皇女ソフィアは兄二人からの熱いキスを貰い、兄のジェラルドの涎が凄く皇女ソフィアの顔はヌルヌルになり、メイドがせっせと皇女ソフィアの顔を拭いていた。