18 / 190
エミリーの婚約者④
しおりを挟む
アレックの前にエミリーの婚約者が睨むように立っていた。
「…誰だ?」
「僕はエミリーの婚約者ポール・コルベールと言います」
「エミリー様の婚約者!?」
「……」
「婚約者と聞いて驚かれないんですね。僕の事は彼女から聞いていたのですか?」
アレックの側から放れないエミリーを見てポールは手を握りしめていた。
「…エミリーはなれてくれないか」
「え、でも…」
睨むように見下ろすアレックを見たエミリーは、怒っていると分かると真っ青な顔になり、アレックの服を握りしめていた手を放し側を離れた。
「医師、エミリーを頼む…俺は彼と話がある…」
「わ、わかりました…エミリー様こちらへ…」
「……っ」
涙目になっているエミリーを医師に任せたアレックは、ポールへと顔を向けた。
「エミリーの婚約者と聞いて驚かれないんですね、彼女から聞いていたのですか?」
「…いや、妻が亡くなって初めて婚約者がいるのを知った」
「エミリーは貴方に僕の事を話さなかったと言うのですか?」
「ああ…」
「っ…」
ポールは、医師と一緒にいるエミリーを見ると目が合うとビクッと震え目を逸らすエミリーを見て『もう自分の事は愛していないんだ』と思うと婚約者から裏切られ、エミリーが好きなのは目の前にいる姉の夫だと……
「……っ、貴方は…奥さんがいるのにエミリーに手を出したのですか…」
「……」
「何か言ったらどうなんですか」
ガシッと胸ぐらを掴むポールの手は震え怒りがおさまらなかった。
「……君にはすまないと思っている…」
「…奥さんは…知っていたのですか…貴方とエミリーが…」
「……ああ…知っていた…」
「っ…妹が夫と関係を持って貴方の奥さんは何も言わなかったのか!?見て見ぬふりをして貴方の奥さんは何も思わなかったのか?」
ガシッとポールの手を握りしめたアレックは声をあげた。
「妻の事を悪く言うのはやめろ…俺とエミリーに言いたくても俺が妻を寄せ付けなかった…怒りをぶつけたいのは妻の方なんだ…」
アレックは胸ぐらを掴むポールの手を握りしめ震えていた。
「……いまさら夫面ですか……奥さんが亡くなって何もかも手遅れだったと顔に出ていますよ…」
「……」
「…はぁ…貴方を殴り倒そうと思いましたがやめます…」
「…気がすむまで殴ればいい…」
「はっ、イヤですよ。親族から何を言われるか…憎い相手ですが貴方は侯爵ですから…」
「…爵位は関係ない、俺は君の婚約者を奪ってしまった…」
「……彼女をどうするのですか?」
「……妻として迎える…彼女は妊娠している…」
「……」
ポールはアレックの服を握りしめていた手を放し、苦笑いを見せていた。
「楽しみです。生まれて来る子供が貴方に似ているのか…僕に似ているのか…」
「!!」
アレックはポールを見て目を見開いていた。
「子供が貴方に似ていたら良いのですが…僕似だったらすみません」
「……もし、君に似ていたら…」
「…貴方と彼女で決めてください…」
ポールはアレックの側を離れ医師の側にいるエミリーの元へ歩き出した。
「…誰だ?」
「僕はエミリーの婚約者ポール・コルベールと言います」
「エミリー様の婚約者!?」
「……」
「婚約者と聞いて驚かれないんですね。僕の事は彼女から聞いていたのですか?」
アレックの側から放れないエミリーを見てポールは手を握りしめていた。
「…エミリーはなれてくれないか」
「え、でも…」
睨むように見下ろすアレックを見たエミリーは、怒っていると分かると真っ青な顔になり、アレックの服を握りしめていた手を放し側を離れた。
「医師、エミリーを頼む…俺は彼と話がある…」
「わ、わかりました…エミリー様こちらへ…」
「……っ」
涙目になっているエミリーを医師に任せたアレックは、ポールへと顔を向けた。
「エミリーの婚約者と聞いて驚かれないんですね、彼女から聞いていたのですか?」
「…いや、妻が亡くなって初めて婚約者がいるのを知った」
「エミリーは貴方に僕の事を話さなかったと言うのですか?」
「ああ…」
「っ…」
ポールは、医師と一緒にいるエミリーを見ると目が合うとビクッと震え目を逸らすエミリーを見て『もう自分の事は愛していないんだ』と思うと婚約者から裏切られ、エミリーが好きなのは目の前にいる姉の夫だと……
「……っ、貴方は…奥さんがいるのにエミリーに手を出したのですか…」
「……」
「何か言ったらどうなんですか」
ガシッと胸ぐらを掴むポールの手は震え怒りがおさまらなかった。
「……君にはすまないと思っている…」
「…奥さんは…知っていたのですか…貴方とエミリーが…」
「……ああ…知っていた…」
「っ…妹が夫と関係を持って貴方の奥さんは何も言わなかったのか!?見て見ぬふりをして貴方の奥さんは何も思わなかったのか?」
ガシッとポールの手を握りしめたアレックは声をあげた。
「妻の事を悪く言うのはやめろ…俺とエミリーに言いたくても俺が妻を寄せ付けなかった…怒りをぶつけたいのは妻の方なんだ…」
アレックは胸ぐらを掴むポールの手を握りしめ震えていた。
「……いまさら夫面ですか……奥さんが亡くなって何もかも手遅れだったと顔に出ていますよ…」
「……」
「…はぁ…貴方を殴り倒そうと思いましたがやめます…」
「…気がすむまで殴ればいい…」
「はっ、イヤですよ。親族から何を言われるか…憎い相手ですが貴方は侯爵ですから…」
「…爵位は関係ない、俺は君の婚約者を奪ってしまった…」
「……彼女をどうするのですか?」
「……妻として迎える…彼女は妊娠している…」
「……」
ポールはアレックの服を握りしめていた手を放し、苦笑いを見せていた。
「楽しみです。生まれて来る子供が貴方に似ているのか…僕に似ているのか…」
「!!」
アレックはポールを見て目を見開いていた。
「子供が貴方に似ていたら良いのですが…僕似だったらすみません」
「……もし、君に似ていたら…」
「…貴方と彼女で決めてください…」
ポールはアレックの側を離れ医師の側にいるエミリーの元へ歩き出した。
4,560
お気に入りに追加
7,937
あなたにおすすめの小説

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。

今日は私の結婚式
豆狸
恋愛
ベッドの上には、幼いころからの婚約者だったレーナと同じ色の髪をした女性の腐り爛れた死体があった。
彼女が着ているドレスも、二日前僕とレーナの父が結婚を拒むレーナを屋根裏部屋へ放り込んだときに着ていたものと同じである。

【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。

十分我慢しました。もう好きに生きていいですよね。
りまり
恋愛
三人兄弟にの末っ子に生まれた私は何かと年子の姉と比べられた。
やれ、姉の方が美人で気立てもいいだとか
勉強ばかりでかわいげがないだとか、本当にうんざりです。
ここは辺境伯領に隣接する男爵家でいつ魔物に襲われるかわからないので男女ともに剣術は必需品で当たり前のように習ったのね姉は野蛮だと習わなかった。
蝶よ花よ育てられた姉と仕来りにのっとりきちんと習った私でもすべて姉が優先だ。
そんな生活もううんざりです
今回好機が訪れた兄に変わり討伐隊に参加した時に辺境伯に気に入られ、辺境伯で働くことを赦された。
これを機に私はあの家族の元を去るつもりです。
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります

余命わずかな私は家族にとって邪魔なので死を選びますが、どうか気にしないでくださいね?
日々埋没。
恋愛
昔から病弱だった侯爵令嬢のカミラは、そのせいで婚約者からは婚約破棄をされ、世継ぎどころか貴族の長女として何の義務も果たせない自分は役立たずだと思い悩んでいた。
しかし寝たきり生活を送るカミラが出来ることといえば、家の恥である彼女を疎んでいるであろう家族のために自らの死を願うことだった。
そんなある日願いが通じたのか、突然の熱病で静かに息を引き取ったカミラ。
彼女の意識が途切れる最後の瞬間、これで残された家族は皆喜んでくれるだろう……と思いきや、ある男性のおかげでカミラに新たな人生が始まり――!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる