捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

侯爵夫人の葬儀⑤

アレックは「エミリーさんのお腹の子がアレックの子供でなかったら？」と言われ茫然としていた。
アレックもエミリーに婚約者がいると聞いた時からその事は考えてもいた。
「おい、彼女に聞かれたらどうする」
「あらっ、聞かれてもいいじゃないかしら？婚約者と何もないとはっきりと否定したら問題無い事だし、もし、関係をもった事があると言えば、生まれてきた子供が誰の父親を受け継いでいるのか分かるでしょう？」
ザワッ…両家の親族達は話始め、アレックは黙ったまま話を聞いていた。
「…しかし、私達の前では聞かれても何も言えないのではないのか？先ほどまで両親と一緒にいたが、私達から何か言われるのではないかと不安な顔をしていたからな…」
「…エミリーは、頼る癖があるためいつもソフィアの側にいたのを思い出した…エミリーを信じたいが婚約者の事は話さないだろう…」
両家の親族はエミリーと婚約者の話で持ちきりだった。
「アレック、貴方はどう思うの？」
叔母が心配そうな顔を見せアレックに尋ねていた。
「…生まれてきた子を見て、私の子だと分かれば問題なく侯爵家として育てます…もし、私の子でないと分かった時は彼女と離縁いたします…子供が生まれてくるまで彼女を妻として迎え入れるつもりです…」
ザワッと騒ぎ出した親族達は頷く者もいればため息を吐き首を振る親族もいた。
「…つまりは、生まれてくる子供次第と言う事か？」
「はい…」
「はぁ…子供はお前達の道具ではないんだ…エミリーを妻と迎えた以上責任を持つべきではないのか？」
「……」
ソフィアの親族がアレックに婚約者の子供が生まれても侯爵家の子供として育てる事を話、それを聞いた侯爵家が声をあげた。
「侯爵家の血を受け継いでいない子供を私達は反対だ！」
「そうよ、もし子供がアレックに少しでも似ていないと何を言われるか分からないわ」
「アレックさん、貴方ソフィアに離婚してと話をしたのでしょう？エミリーが好きで一緒に過ごしていたのに子供が生まれてから離縁しますはあんまりだわ」
「……」
両家の反発が続くなか、アレックはどうすればいいのか悩みもし自分に似ていない子供が生まれたら愛せるのか、もしかしたら伯爵の婚約者とは何もなかったと…親族達が騒ぐ中、ふと…ソフィアを思い出していた。
（…彼女も俺とエミリーを知り、誰にも言えずに一人で悩んでいたのだろうか……）
アレックはポケットの中に入れているハンカチでくるんだソフィアの髪の毛を触り、エミリーのお腹の子で悩むとは思いもしなかった。