捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

クロユキ

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侯爵夫人の葬儀②

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『我が儘を言うなら結婚しなくていい』と聞こえたエミリーはお腹に手をあてアレックを見上げた。
「…ごめんなさい…困らせるつもりはなかったの、早く貴方から『妻』と呼んで貰いたくて…まだ、お姉様の葬儀が終わっていないのに……私、何を焦っているんだろう」
お腹を擦り笑顔を見せるエミリーにアレックは顔を逸らし、棺の中で眠るソフィアの側に来ると膝を着いたアレックは、ソフィアに最後の口付けをした。
「アレック様!?何をしているの?」
エミリーは、アレックが姉のソフィアの亡骸にキスをする姿を見て動揺していた。
アレックはソフィアの唇から離れると顔を触り、目を閉じ苦痛な表情を見せたあと顔を上げ、エミリーの方へ顔を向けた。
「……妻への最後の別れをしただけだが…」
「あ…そ、そうよね。お姉様に触れるのは最後だから…ごめんなさい、お姉様に触れた事がないと聞いていたから驚いたの」
「……」
エミリーはアレックの手を取り握りしめていた。
「これからは、私がアレック様を支えるから、アレック様と私と私達の赤ちゃんとお姉様の分まで幸せになるわ」
「……」
笑顔をアレックに向けたエミリーは、何も話さないアレックに唇を近づけた時、扉が開き神父とソフィアの両親そしてアレックの医師が入りアレックとエミリーを見て驚いていた。
「エミリー!?」
「!?」
「お、お父様!?お母様!?」
エミリーは慌てたようにアレックの後ろへ隠れ服を握りしめていた。
(……以前は、姉のソフィアに何か言われると俺の後ろに隠れその姿が可愛いいと思っていた…俺はエミリーを庇う為ソフィアに声をあげ、彼女の顔は苦痛な目で俺を見て涙を溜めているのを覚えている…それから俺は些細な事でもソフィアに声をあげていた……俺はエミリーをうわべだけを見ていた……)
アレックは、自分の服を握りしめるエミリーの手を放し神父の方へ歩き、エミリーは「え?」と声に出していた。
「アレック様?何処へ行くの?」
「エミリー、お前は暫く私達と一緒にいるんだ!」
父親に叱りを受けるエミリーを見ていたアレックは、首を横に振り指を額に押さえる神父の元へ歩いていた。
「……妻をよろしくお願いします…」
「…アレック様、私は残念でなりません……」
「え…」
アレックは神父の顔を見て何もかも知っている事を知った。
「貴方のお父上は奥様ただお一人を愛しておりました。真面目な貴方も奥様お一人を愛していると思っていました…まだ、奥様の魂は近くにいるのです…それなのに貴方とエミリー様は…はあ…」
大きなため息を吐いた神父を見ていた。
「……」
アレックは神父の話を聞き手を握りしめていた。
「…ソフィア様の妹のエミリー様との再婚をなさいますと聞いております……お亡くなりになりましてもソフィア様は貴方の奥様です…その事をお忘れなく……奥様はご実家へ埋葬いたしますのでご安心なく…」
「……よろしくお願いいたします…」
アレックは神父と離れ医師と一緒に部屋を出た。









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