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ふたたび広場へ

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ロバート伯爵は氷に覆われた自分の部屋にいるルィーズ夫人に会うためユリウスの能力を借りる事で広場に向かっていた。
「……あの巨大な氷はルィーズの能力なのか?……そんな能力を使えばルィーズの体に負担が……それにお腹の子供が……」
ロバート伯爵はルィーズ夫人とお腹の子供が無事でいる事を祈るばかりで悔しさと悲しみで泣きたい気持ちを抑えていた。
広場に戻って来たロバート伯爵は貴族達がガヤガヤと話しまだ話し合いをしているロバート伯爵の両親とカレンの両親達の姿があり、貴族達に紛れ込んでいても一際目立つ容姿のユリウスがいてその隣ではユリーナ母さんが一緒にホルン家とアードレイ家の話し合いを聞いていた。
「……婚約破棄と言ったはずだが、まだ諦めて居ないのか?父と母は……そんなに私をルィーズの同級と一緒にしたいのか!?…そんなに……ルィーズを苦しめたいのか……」
ロバート伯爵は離れで両親が懸命にカレンの両親に話しをしている姿を見て首を振りユリウスの側に行こうとした。
「ロバート様…?!」
カレンが時々ユリウスの方を見ていた時ユリウスの方へ歩くロバート伯爵の姿に気付き声を出しロバート伯爵の両親もカレンの声で気が付きロバート伯爵に声を掛けていた。
「ロバート!」
ロバート伯爵の両親が笑顔で駆け寄り話し出していた。
「ロバート、戻って来たのか何処に行って居たのだ?ロバート、アードレイ家方から御許しを頂く事が出来たんだ。
今夜の披露宴は前祝いとして受け入れて下さったのだ、後日お前達夫婦にカレン嬢との後妻の許可を頂きその後婚約の披露宴会を行うつもりだ」
「……」
「良かったわ貴方が戻って来てくれて、カレンさん貴方とルィーズさんと三人で家族に成りたいと言われたのよ、カレンさんの御両親も貴方が突然婚約披露宴で驚いて怒るのは当たり前だと逆にわたくし達が怒られてしまったわ」
ロバート伯爵の両親はカレンの両親から許しを貰い安堵の表情を見せて喜んでいた。
「両家の御話しはおさまったのかしら?」
「このままわたくし達は披露宴の続きをしても宜しくて?」
披露宴会に集まっていた貴族達が披露宴を始め出しカレンがロバート伯爵の側へ笑顔で駆け寄って来た。
「ロバート様、嬉しいですわロバート様がもう御見えに成らないのかと心配をしておりました。これからはわたくしがロバート様を支えて参りますわ」
カレンはロバート伯爵の胸に顔を埋めロバート伯爵の斜め後ろで立っているユリウスを見ていた。
(旦那様が…ユリウス様がわたくしを見てくださっている、もっとわたくしを見て下さいユリウス様…そしてわたくしの事を覚えて貰いたい……)
カレンはロバート伯爵を通してユリウスを見ていた。
ロバート伯爵と結婚をすればユリウスが私生活の事を聞いてくれるだろう、そして結婚をしても屋敷でメイドの仕事をすれば必ずユリウスがロバート伯爵と自分の事を聞いてくれるカレンの結婚はユリウスが気に掛けてくれると思いロバート伯爵との結婚を望んでいた。
「……君は…今この場所に居ないルィーズの事が気に成らないのか?君とルィーズは親友では無かったのか?!」
「えっ、ロバート様?」
ロバート伯爵は自分の胸の中で抱き締めているカレンの両肩を持ち引き離していた。
「……ロバート様…ええっ、ルィーズの事は気に掛けていますわ…わたくしとルィーズは親友でこうして、ロバート様に会えた事にルィーズに感謝していますわ」
カレンはロバート伯爵の手を握り締め笑顔で応えた時ロバート伯爵の手が氷のように冷たく思わず手を払い除けてしまった。
「……えっ……?」
カレンは左手が異様に冷たく感じ右手で押さえていた。
カレンの行動がおかしいと思い両家の親達がロバート伯爵とカレンの側に寄りカレンに問いかけていた。
「どうしたのカレンさん?またロバートが失礼な事でもしたの?」
「……いえ…ロバート様の手が……」
「手?」
両家の親達はカレンが何を言って居るのか分からず首をかしげ、カレンはロバート伯爵の顔を見てロバート伯爵は自分の右手を眺め、手のひらには部屋で氷の粒を握り締めた時に小さく砕けロバート伯爵の手のひらにキラキラと涙の粒が光っていた。
「……ルィーズ…私は君を裏切ったりしないよ婚約はしないから安心してくれ……」
「!?」
ロバート伯爵は右手に拳を作りそして自分の手にキスをしていた。
「ユリウス!」
「!?」
バッ!と、ロバート伯爵は後ろを振り向きユリウスに声を掛けそしてユリウスの側に駆け寄っていた。
「ユリウス済まない今すぐ私と一緒に来てくれないか!?」
「突然だな……いきなり声を掛け一緒に来てくれとは?」
「……私の妻が危機状態何だ…」
「何?」
ユリウスはロバート伯爵の顔を見て自分を呼んだ事で何かがあった事は本当何だと感じユリウスはロバートと一緒に行く事にした
「……分かった一緒に行こう話しはその時に聞くよ」
「有り難う、ユリウス」
「ユリーナ、ロバートと一緒に行く為君はここで待って居てくれ」
「分かりましたわ旦那様」
ロバート伯爵とユリウスが歩き出そうとした時カレンが二人に声を掛けていた。
「ロバート様どちらへ行かれるのですか?それにユリウス様まで…」
「カレンさんはっきりと言います、私は君とは婚約はしない私にはルィーズと言う生涯共に歩む大切な妻が居る、それだけ伝えておくよ」
「ロバート様!?」
「ロバート、貴方はまたカレンさんを泣かせるのですか?カレンさんの御両親が貴方の失礼な行動でも御好意で許して下さったと言うのに……」
「そうだぞ、ロバート、お前の勝手な行動でどれ程アードレイ伯爵に御迷惑を掛けたと思って居るのだ。」
ロバート伯爵の両親は婚約はしないとはっきりと言ったロバート伯爵に叱りカレンと婚約するように説得していた。
「……私を婚約させる気でしたら、私はホルン家を出て爵位を捨てます」
「「ロバート!?」」
「……ロバート様……」
ロバート伯爵はこのままカレンとの婚約の話しを進めれば、屋敷を出て爵位を捨てると両親に伝えて両親達は顔が真っ青になった
「何を言うのだロバート、爵位を捨てるだと?我が儘もいい加減にしないか!」
「そうよロバート…御父様に謝りなさい…何て事を言うの貴方は……」
「……ルィーズが妊娠しました……」
「「!!」」
「……えっ……」
ロバート伯爵の両親はルィーズ夫人が妊娠したと聞き驚き一番に驚いたのはカレンの方だった。














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