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何も知らない

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ホルン家の本家に着いたロバート伯爵とルィーズ夫人は馬車の出入りはホルン家だと分かり二人とも驚いていた。
ホルン家の執事が馬車から降りるロバート伯爵とルィーズ夫人に挨拶をしていた。
「ロバート様、ルィーズ様、御待ちしておりました旦那様方が御待ちで御座います」
執事が礼をして両親達が待っている事を伝えていた。
「ああ、有り難う……ところで屋敷では何かあるのか?」
「披露宴で御座います、詳しい事は旦那様にお尋ね下さい」
「ああっ…」
ロバート伯爵とルィーズ夫人はメイドの案内で部屋に向かっていた。
「旦那様今日は御食事会では無いのですか?」
「私も手紙では食事会と書いて合ったが…披露宴と執事は言っていたが祝い事でも在るのだろうか?」
二人は屋敷で何が在るのかも分からず両親とカレン達が待っ部屋に案内された。
「まぁまぁ二人とも待って居ましたよ」
ロバート伯爵の母親が二人の側に行き笑顔で出迎えていた。
部屋の中を見てロバート伯爵とルィーズ夫人は驚いていた。
綺麗に着飾ったカレンの姿に驚き今日はカレンの御披露目なのだろうか?と二人は顔を見合わせていた。
「君がロバートかい?私はカレンの父親で娘のカレンがいつも御世話に成っている」
「…あっ、いえ…」
カレンの父親が笑顔でロバート伯爵に握手をして挨拶を交わしていた。
「まぁ、貴方がロバートさん!?良い青年ですわね、娘のカレンからは貴方の事は伺っていたのよ」
「……はあ…」
ロバート伯爵は曖昧な返事を返すだけだった。
「ロバート愛想の無いような返事をして、カレンさんの御両親に失礼ですよ」
ロバート伯爵の母親が困った子ねといった感じでロバート伯爵に話し掛けていた。
「ロバート様」
カレンがロバート伯爵の側に来て笑顔を見せていた。
「ロバート様、わたくしのドレス姿どう思いますか?ロバート様の御母様からの贈り物ですわ」
カレンはロバート伯爵の前でドレスを見せてロバート伯爵の反応を見ているようだった。
「えっ!?母上からの…?…ああっ、凄く似合って居るよ」
ロバート伯爵は親族以外両親の呼び名を変えてカレンに応えていた。
「……」
ルィーズ夫人はロバート伯爵の母親からドレスのプレゼントをもらった事がなかった。
ルィーズ夫人は今日メイドと一緒に手作りのカップケーキを持って来た為ロバート伯爵の母親に手渡そうとした。
「あの、御母様ケーキを焼いて来ましたの後で皆様と一緒に食べませんか!?」
「あら、美味しそうね、ルィーズさんメイドに頼んでお皿を持って来て貰えないかしら後で頂きましょう」
「……はい、分かりました」
ルィーズ夫人が部屋を出ようとした時ロバート伯爵が側に来てルィーズ夫人に話し掛けていた。
「ルィーズ子供の事は今話した方が良いと思う、カレンさんの両親が来ている事には驚いたが…」
ロバート伯爵とルィーズ夫人が話しをしている側をカレンが来るとロバート伯爵の腕を支え話し掛けていた。
「ロバート様、御母様達が御呼びですわ」
「……分かった…」
ロバート伯爵はルィーズ夫人の顔を見て両親が集まっている所へ向かい、カレンはルィーズ夫人を見てニコッと笑い掛けた。
「ルィーズ、これからは私もルィーズとロバート様と一緒に住む事になるわ、子供が出来たら可愛がってあげてね」
カレンはルィーズ夫人の両手を握り締め自分達が住んでいる屋敷に一緒に住むと言っていた。
「…カレン、それはどういう事なの?」
「カレンさんこちらへいらっしゃい」
「はーい、御母様」
「……御母様?」
ロバート伯爵の母親の呼び名を「おば様」から「御母様」と呼んでいるカレンに疑問をいだき始めていた。
「またね、ルィーズ」
カレンはルィーズ夫人に手を振り両親の元へロバート伯爵の隣に並んでいた。
ルィーズ夫人は両親達が集まりの場で自分だけ入る事の出来ないような感じで、笑いながら話しをしているその場を部屋を一人出ていった。
部屋を出たルィーズ夫人は廊下ですれ違う貴婦人達にヒソヒソと自分の事を言われているような気がして「何があったの?」と訳が分からず厨房へと歩いていた。
部屋の中にいるロバート伯爵と両親そしてカレンとその両親世間話で話しをしている両親達を見ていたロバート伯爵はすっきりとしない感じで、食事会が何故披露宴のように貴族達を呼んでいるのか、自分の側に妻であるルィーズ夫人を側に置くのではなく何故カレンなのか?ロバート伯爵は今側に居ないルィーズを心配していた。
「そろそろ御時間に成ると思いますのでわたくし達も広場へ向かいましょう」
ロバート伯爵の父親が時間だと言う事を知らせていた。
「ルィーズがまだ来ていません」
「ルィーズさんは後から来るわよ、さぁ皆様の所へ参りましょう」
「えっ!?しかし…」
ロバート伯爵は部屋を出る事を躊躇っていた。
「ロバート様、ルィーズは心配要りませんわメイドに言伝てを頼みましょう、それなら良いでしょう?」
カレンはロバート伯爵の腕を掴み部屋を出るように言っていた。
「……」
ロバート伯爵は先ほどからカレンの積極的な態度に違和感を持ちながら、両親達と一緒に部屋を出て広場へ向かっていた。
その頃ルィーズ夫人は厨房で料理長にお皿を貰っている所だった。
「お久しぶりです。料理長さんお皿を一枚貰えますか」
「ルィーズ様、お久しぶりで御座います。お皿を取りに来られたのですか?」
「はい、カップのケーキを焼いたので御母様達に食して貰いたいと思って持って来たの」
笑顔でルィーズ夫人は話し料理長からお皿を貰っていた。
いつもと変わらないルィーズ夫人を見て料理長は話し掛けていた
「……ルィーズ様本当に宜しかったのですか?ロバート坊っちゃまの事を……」
料理長は屋敷の中ではロバート伯爵の事を坊っちゃまと呼んでいた。
「えっ?旦那様がどうしたのですか?」
ルィーズ夫人は首を傾げ料理長に何が合ったのか聞いていた。
「まさか、ルィーズ様、今夜の事を御存じでは無いのですか!?」
料理長が声を高々と出していた為周りの料理人が驚いて料理長を見ていた。
「今夜の事?……料理長さん今夜は御食事会が在ると聞いて…」
「ルィーズ様……」
料理長はルィーズ夫人に苦痛の顔を見せそして今夜の事を話してくれた。
「……今夜は、ロバート坊っちゃまとカレン様の婚約披露宴が在るのです……」
「えっ!?」
パリン!手に持っていたお皿をルィーズ夫人は離してしまい皿が床に落ちて割れてしまった。
「ルィーズ様!」
ルィーズ夫人の顔が真っ青になりそして目の前が真っ暗になりルィーズ夫人は吐き気を模様し手で口を押さえていた。
「ルィーズ様!?まさか…ご懐妊では……」
料理長がルィーズ夫人の体を支え手で口を押さえ苦しむルィーズ夫人を支える事で精一杯だった。
「……大丈夫です…料理長さん有り難う御座います……すみませんお皿を割ってしまって……新しいお皿を貰えますか…」
料理長はルィーズ夫人にお皿を渡しルィーズ夫人は「有り難う御座いますお皿をお借りしますね……」と、頭を下げた後厨房を出ていった。
ルィーズ夫人の様子を見ていた料理長と料理人達はルィーズ夫人の後ろ姿を見ている事しか出来なかった。
「あんまりです料理長、ルィーズ様に何も知らせず勝手に婚約披露宴をするなんて、旦那様と奥様は何を考えて居るのですか?」
「でも、婚約はロバート様とルィーズ様の許可が必要ですよ?……まさか…許可無しで……!?この事が城の役人に知ってしまったら…」
「……」
ルィーズ夫人は足元がフラフラと成りながら時々嘔吐をしてしまいそうで心の中で否定続けていた。
(嘘よ、旦那様とカレンが婚約だなんて何かの間違いよ…私も旦那様も知らなかった事、御父様と御母様とカレンが勝手に……?だから披露宴を……御食事会何て嘘だったの?私と旦那様に許可無く……)
チリッ…チリッ……ルィーズ夫人の指先きから小さな氷の結晶がこぼれ始めていた。

















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