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「離して下さい!他の女の匂いのついたその服で触らないで下さいませ!」
「ユリーナ…」
ユリーナ母さんはシルビア王女が王様の娘でも関係なく元妻だった事でシルビア王女の香水で思い出したくも無い城での出来事が思い出されていく……城で見たユリウス父さんとシルビア王女の2人の寄り添いお互いに見つめ合い愛を語り合う姿を思い出しルカリオ兄とカイトそしてユリーナ母さん親子3人見ている目の前で家族だった父親が別の女性と一緒に結婚の祝福を受けている姿を胸を抑えてくる苦しみで表には出さず我慢をする事で早くその場から離れる事を考える事が精一杯だった。
「ユリーナ…落ち着いて聞いてくれ、私は君と子供達と一緒に生活がしたいんだ…数日君と子供達に会えない事がこんなに苦しいとは思わなかった。私はまた以前の様に君と子供達と一緒に居たいんだ……君がシルビア様と別れろと言うのであれば私はシルビア様と別れよう」
「!?」
ユリーナ母さんはユリウス父さんがシルビア王女と別れると言った事に驚き今までユリウス父さんを拒み続けた体の動きを止めた
「……嘘付く方は嫌いで御座います。私にシルビア様と別れて下さいと言える訳が無いでしょう…まるで私が悪いみたいに聞こえてきますわ……旦那様…いえ、ユリウス様私を馬鹿にするのもいい加減になさって下さい」
「私は君を馬鹿にした覚えは居ない、本当にそう思ったんだ。
私はシルビア様と別れ私を君のブランシェ家に家族としてまた迎えて欲しいんだ」
ユリウス父さんはユリーナ母さんの両手を握り締め微笑んで一緒に暮らす事を願い出ていた。
「……何を言って居るのですかユリウス様簡単に言わないでください…シルビア様が納得する筈が御座いません……貴方は私と子供達を手離したのを忘れたのですか?それにシルビア様を愛して居ると私達親子が見ている目の前で貴方は言いました…それも嘘だと言うのですか?」
ユリーナ母さんはじっとユリウス父さんの顔を見て自分の手を握り締めているユリウス父さんの手を離した。
「ユリーナ……それは…あの時はシルビア様の気持ちを応えたい為に出た言葉で…今思えば早すぎた事だったと……」
パーン!
「っ!?」
ユリーナ母さんはユリウス父さんの左頬を叩き目に涙を溜めてユリウス父さんに悔し顔を見せていた。
「貴方がそんな方だとは思いませんでした…私達親子を家族を振り回すのはやめて下さい!もう沢山です…貴方は私にも私の両親にも嘘を言いました…私だけを愛してくれると……」
ユリーナ母さんの目から涙が流れ落ち体の震えが止まらなかった
「…ユ…ユリーナ……」
「……ユリウス様は…旦那様は嘘つきです…大嘘つきです……私に家族に隠れて女と会って居たのでしょう!?」
「!!」
ユリーナ母さんがまさか女性と会って居た事を言われるとは思わずユリウス父さんは驚いた顔を見せていた。
「……旦那様の顔を見て確信致しました」
「ユリーナ…待ってくれ何かの間違いだ……私は…」
「もう嘘は付かなくて良いのです旦那様…私と貴方は夫婦ではありませんから…でも女と会う時は気を付けた方が宜しいかと思います。誰が見ているのか分かりませんから…」
クスッ…と涙目でユリウス父さんの顔を見て微笑んでいた。
「……ユリーナ……私は……私は……」
バッ!と、ユリウス父さんはユリーナ母さんの目の前でひざま付いて地面に頭を付け謝罪する姿があった。
時々すれ違う人達が居て騎士が貴婦人に頭を下げる姿を見て驚く人が「何をしたのだこの騎士は?」見たいな顔で通り過ぎる人はその様子を歩きながら見ていた。
「……」
ユリーナ母さんはユリウス父さんのいきなりの頭を下げて謝罪する姿に驚きもせずただ黙ってユリウス父さんの情けない姿を見下ろしているだけだった。







 

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