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「……父様?」
俺は人混みに紛れて1人歩いているユリウス父さんを見たように思えた。
「どうしたのだカイト?」
「え、あ…いえ……父様を見たような気がして…」
「ブランシェ侯爵?!」
「え!父様!?カイちゃん父様見たの?何処に居るの父様?」
リン姉が人通りをキョロキョロと見始めユリウス父さんを探し始めていた。
「……僕の見間違いかも知れません…こんな所を父様が通るはず無いから……」
「…いや、今のこの時間帯はブランシェ侯爵騎士達が街の見回りをしている筈だ…カイトその時ブランシェ侯爵は他の騎士達と一緒に居たのか?」
「え?……僕が見た時は1人だったような…」
「……そうか…」
王様は辺りを見回りユリウス父さんを探して居るように見え王様はユリーナ母さんに聞いていた。
「……ユリーナ殿ブランシェ侯爵と今会いたいかな?」
「え、…いえ、今は……私はユリウス様と別れています。私とユリウス様が御会いしている事がシルビア様に分かりますとシルビア様がどう思われるのか…」
「母様、リンは父様に会いたい…父様何処に居るの…」
「…リンちゃん……」
リン姉はグスグス…と泣き出しユリーナ母さんは困っていた。
「……少し位なら会っても構わんだろう…まだブランシェ侯爵が恋しい年でもあろう……」
王様は俺達から離れ見回りながら護衛をしていた騎士2人に近付き通りすがりのふりをして騎士達に命令を伝えた。
「この近くにブランシェ侯爵がいる筈だ探しだし馬車まで連れて来るのだ」
騎士達は小さく頷きユリウス父さんを探し始めた。
王様は騎士達に伝え終えると俺達の側に来てユリーナ母さんに馬車に戻る事を伝えた。
「ユリーナ殿ブランシェ侯爵に会えるかもしれぬが、私達は馬車で待っ事にした。今騎士達に探し出している所だ」
「……」
ユリーナ母さんは素直に喜べず複雑な思いだった。
「…勝手な事だと思ったが私もブランシェ侯爵を1人で行動をしては困るからの…何故1人なのか聞きたいとも思ったのだ」
「…1人での行動は仕事では無いのですか?」
ユリーナ母さんは王様の言っている事が分からず王様に訪ねていた。
「今ブランシェ侯爵はシルビアと結婚の約束をしておる、無闇に1人で行動をしては困るのだ」
「!」
ユリーナ母さんはユリウス父さんが別の女性と会って居ないのかを王様が話しをしているのだと気付いた。
まさか自分と別れて別の女性と会って居る事は無いだろうと思いたい…ユリーナ母さんは泣いていたリン姉を抱っこして王様と俺も馬車が止まっている場所に移動する事にした。

王様の命令でユリウス父さんを探して居るとも分からずユリウス父さんは1人以前ルィーズ夫人と待ち合わせをしていた場所に向かって歩いていた。
昨日通りすがりで知り合った街の女性に声を掛け関係までも持ち今日また出会った場所で待ち合わせをする約束を交わしクラリスと名のる女性に会いに行っていた。
「クラリスは待って暮れているだろうか……」
ユリウス父さんは賑やかな街並みを離れ細い壁の間を通り抜け開けた場所に出ると遠くではあるが1人の女性が立っていた。
女性はユリウス父さんに気付き歩き出した…ユリウス父さんも女性が自分を待っているクラリスだと分かり女性の方へ歩こうとした……「ユリウス隊長どちらへ行かれるのですか?」
ユリウス父さんは後ろから声がする方へ驚き振り向いた。
ユリウス父さんの後ろには王様の護衛騎士2人が立っていた。









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