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「……お、王様!?…」
ユリーナ母さんの一言で集まっていたメイドと使用人達が騒ぎ出していた。
「王様?あの方が王様なの?」
「若いわよね……私始めて王様を見たわ…王様も素敵よね…」
「私、ユリウス様を諦めて、今目の前にいる王様に近付きたいわもしかして直ぐにお妃に慣れるかもよ」
メイドと使用人達が騒ぐ中王様が玄関の扉の方から歩き出しユリーナ母さんの近くに来た。
メイド達は目の前にいる王様に頬を赤く染める者にため息を吐くメイド達がいた。今の王様も若くお妃を持ってもおかしくない男性だ。
「…王様…驚きました…御用でこちらまで来られたのですか?」
「ああ、済まない…驚かせてしまったね…用があってね……」
キョロキョロと王様が何かを探して居るようで…そして離れてスティーブン伯爵に抱っこして貰っている俺と目が合いフッと笑っている顔を見せていた。
「…処でユリーナ殿カイトを抱いている貴殿は誰だ?」
「あ、スティーブン・ルシアルン伯爵で御座いますわたくしの兄のような方です」
「……そうか、処で…改めて見ると凄い数のメイドに使用人達だな…良く屋敷で雇っていたな…もしやブランシェ侯爵目当てが多いのか?」
「……はい…おそらくは……」
王様は目の前にいる女性達を見回してシルビア王女が嫌な顔が目に浮かぶようだった。
「ユリーナ殿私も挨拶をしても良いか?」
「あ…はい、御願い致します」
「突然来ての挨拶だがブランシェ家のメイド並びに使用人、君達を城に迎える事ができとても感謝している。城での仕事は大変かもしれぬが、皆で協力しあい頑張ってくれ、外に馬車を待機している準備が出来た順に出発すると良いだろう…城で君達を雇えることに感謝する私からは以上だ」
王様からの話が終わり皆騒ぎ始め荷物を持ち外に出始めるメイド達…屋敷に残るメイド達との別れを惜しんだメイドもいた
「元気でね、向こうでも頑張ってね…何かあったら連絡待ってるよ…ううっ…」
「うん、お城の話聞かせるね…今度皆で会おうね…わ~ん…」
お互いに抱き締め合い最後の会話をした。
「はぁ…城に行く前にカイト坊っちゃまに会いたかったな…」
「私も思った~っ、カイト坊っちゃま何処に行ったのかしら…」
「もしかして、旦那様と一緒にお城に居るのかもよ」
「あ、それなら私カイト坊っちゃまと結婚したい王子様でも良い」
「ずる~い、私もカイト坊っちゃまと一緒が良いわ」
メイド達の会話が直ぐ側でスティーブン伯爵に抱っこされている俺に気付かないメイド達の会話を聞いていた伯爵は笑いを堪えていた。
「く……メイド達君が側に居ることが分からないようだね」
「……そうですね…」
「凄いね…黒髪のカイトは…ユリウス侯爵にも負けて居ないね」
「……父様と一緒にしないで下さい…」
スティーブン伯爵と俺が話をしている時王様が横から顔を出しニコニコと笑顔で近くにやって来た
「楽しそうだねカイト昨日以来だね…御披露目には一緒にいて欲しかったが…君の父様が皆から祝福を受けていたよ」
「……僕子供だから夜遅くまで起きてはダメです…父様も良かったですね…皆さんに祝って貰って…」
「……処で貴殿とは仲が良さそうだね…」
チラッと王様はスティーブン伯爵の顔を見て話し掛けていた
「申し遅れました王様…わたくしはスティーブン・ルシアルン伯爵と申します…王様に御会い出来まして光栄で御座います。」
「うむ、私も会えて嬉しいぞ…そなたも用事でブランシェ家に伺って居るのか?」
「……はい、ブランシェ家の当主とその御両親と一緒に訪ねて参りました…」
「…ユリーナ殿の御両親が一緒なのか?」
「……はい、御側に…」
王様はユリウス父さんとユリーナ母さんが別れた事を知り訪ねて来た事で直ぐに分かった。
王様は気まずい思いだった自分の娘が今まで仲の良い夫婦の夫を奪ってしまった事に…王様はユリーナ母さんの両親の近くに行き話をする事にした
「……ユリーナ殿の御両親と見たが…私の娘シルビア王女が大切な殿方を奪ってしまい申し訳ない限りだ…この場を借りて父親として深く御詫びしたい…」
王様はユリーナ母さんの両親に深々と頭を下げ父親として謝罪をした。
この国の王が頭を下げるとは思っても居なかったユリーナ母さんの両親は驚いたが、娘の親として話をする事にした。
「……今から王様に御話する事を御許し願いたいと思い娘を思う父親として御話致します。
娘のユリーナとユリウスは仲の良い夫婦として祝福を受けて居ました。7人の子供達に恵まれこれから子供達の成長する姿を見守りながら幸せな家族として築き上げる時に突然その幸せが崩れ子供達は心に傷を置い娘も長年寄り添っていた夫から裏切られ今では貴族にそして街中に噂では娘と子供達は「可哀想な家族」として周りの者達から見られております…悔しい限りで御座います王様…何故ユリウスなのですか?何故結婚を止めては下さらなかったのですか?王様もシルビア王女の事が可愛いのは分かります…ですが既に結婚をして子供のいる家庭を壊さないで欲しかった」
「……」
王様は黙って目を閉じユリーナ母さんの父親の話を聞いていた
「私はユリウスは許しません…例えユリウスが王となっても私達家族は決してユリウスを許すつもりはありません…そして王様…あなた様の事もシルビア王女の事も…私は今王であるあなた様に無礼な数々を話しています……この場で死ねと言われましたら喜んでこの命を捧げましょう…」
「!?」
俺は驚いてしまった話をしただけで何で命を捧げるのか…王様だから?俺は抱っこをして貰っているスティーブン伯爵の服をギュッと握り締めていた。
「……叔父様カイトが怖がっております…御話はもう止めて下さい……それにユリーナは可哀想ではありません叔父様…」
「?どういう事だスティーブン…」
「ユリーナが落ち着いた頃に伝えようと思っておりました…叔父様この場を借りましてわたくしにユリーナとの結婚を許しては暮れませんか!?」
「!スティーブン……」
スティーブン伯爵のユリーナ母さんとの結婚を伝えた事に驚いた俺と今まで黙って聞いていた王様も驚き、俺はこの事をユリウス父さんに知らせて良いものか悩んでいた。






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