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「シルビア何処に行って居たのだ?突然居なくなり驚いたが…ブランシェ侯爵と一緒だったのか…処で、何故シルビアが泣いているのだ?」
ユリウス父さんとシルビア王女が一緒に大広間の部屋に戻りシルビア王女が目に涙を溜めていた。
「……私が貴婦人と話をして居るのを見て泣かれてしまいまして…」
「シルビア、ブランシェ侯爵が貴婦人と話をして何故泣くのだ?」
「…私以外の方と笑顔で話されてましたから……」
王様は頭を横に振り王妃様は「あらあら」と言い、ユリーナ母さんは呆れ顔でシルビア王女とユリウス父さんの顔を見て、ルカリオ兄は「…ショーン兄様を連れて見せてやりたかったよ…ふふふ」と不敵な笑みを見せ笑い、俺はアイツ大丈夫なのか?とこんな時でもユリウス父さんを弟で見ていた。
「シルビア…貴婦人と話をして泣く事は無いだろうこれから先挨拶に仕事に会話女性と接する事が多くなるお前達の婚約までまだまだ先なのだ今からこんな事でどうする?少しは我慢も必要だぞ」
「……」
王様の話を聞きシルビア王女はただ黙って下を見ていた
「ブランシェ侯爵娘がすまなかった…その貴婦人の方にもまた会う事があれば私からだと謝ってくれるか?」
「はい、王様…伝えておきます」
ユリーナ母さんは黙ってユリウス父さんの顔を見ていた。
貴婦人の話が出て弁護人の話を思い出していた。
(旦那様と話をしていた貴婦人はもしかして例の貴婦人の事かしら…)ユリーナ母さんがジッ…とユリウス父さんを見ていると視線を感じたのかユリウス父さんがユリーナ母さんの顔を見た。
ユリーナ母さんは不敵な笑みを見せユリウス父さんに見せていたその見透かされたような顔を見たユリウス父さんはドキッとして驚いた顔をユリーナ母さんに見せていた。
「ユリウス様その貴婦人の方は良く城内にいらっしゃいますの?」
ユリウス父さんは突然のユリーナ母さんからの貴婦人の問いかけに戸惑っていた。
「え?あ、ああ他の貴婦人の方々と一緒にいる所を見掛ける」
「笑顔で御話をしていましたとシルビア様が言われておりましたが、仲が宜しいのですねその貴婦人の方と…」
ユリウス父さんは冷や汗が出てきそうで落ち着きが無かった。
「あ、挨拶は笑顔で話をしないと失礼と思って…別に仲が良いわけでは……」
「ふふふ…もう私には関係の無い事ですわねご免なさいユリウス様…シルビア様ユリウス様と一緒に成るのですから女性問題の事も頭に入れていましたほうが宜しいかと思いますが?」
「!?な、ユ…ユリーナ!」
「女性問題……」
シルビア王女は目に涙を溜めてしまいまた泣きそうになりユリウス父さんはシルビア王女を抱き締めて慰めていた。
3人の会話を聞いていた王様が困った顔でシルビア王女に話をしていた。
「シルビア…ブランシェ侯爵は長年ユリーナ殿だけを愛された何度も他の貴婦人からの求婚を断り続けたと聞いた。ブランシェ侯爵の容姿を見て女性が声を掛けるかもしれん、だが今はお前だけを愛してると言われたブランシェ侯爵を信じるのだシルビア……信じる事が出来ないようであれば、お前達の結婚は無かった事にする」
「「!?」」
「嫌ですユリウス様と別れるなんて…」
シルビア王女を抱き締めているユリウス父さんの腕をギュッと握り締めていた。
「ブランシェ侯爵も仕事に接待等がある女性の話しぐらいはあるだろう…その事を考え付き合って行く事だなシルビア…」
「……はい、御父様…」
ユリウス父さんはシルビア王女の涙を拭いお互い笑顔を見せていた。2人の姿を見た後ユリーナ母さんが王様に帰宅を知らせていた。
「……王様わたくし達はこれで失礼したいと思います」
「もう、帰るのか?まだ良いではないかこれからささやかだが祝いの御披露目をする処だユリーナ殿に子供達も一緒に楽しんでくれ」
「申し訳御座いません王様他の子供達が待っておりますので御披露目会は出席出来ません」
ユリーナ母さんは王様に頭を下げ断っていた。
「…そうか…他の子供らが待って居るのなら無理には言えぬな……」
チラッと王様が俺の顔を見ていた俺は何だ?と思いジッと王様を見ていた。
「子供達だけでも今日泊まってはどうだ?」
俺とルカリオ兄は、え?と思ったがルカリオ兄が対応していた。
「……王様わたくし達はまだ小さい為泊まる事は御断り致します」
「……そうか残念だな…いつでも城に遊びに来ると良い。明日からでも良いぞ今日は会えて良かった」
王様は俺達の近くに来て会えた事に喜び俺達2人に抱き締めていた。そして俺をギュッと抱き締めた時耳許でボソッと呟いた。
「もう一人のそなたに会いたいのだが…」
俺はやっぱり王様は快斗に会いたがっていたな…俺は頭を横に振り断った
「…やはり今は無理なのか?無理矢理そなたを引き出す事もできるが……それは嫌だろう?」
「…無理矢理……って怖…っ…」
「フッ…嘘だ。気が向いたらで良い悪かったな」
チュッと額にキスをして俺から離れて行った。
「……カイ、王様何を話していたの?」
「黒髪の快斗に会いたがっている…」
「……」
ルカリオ兄と俺は一緒に王様の歩く後ろ姿を見ていた。
ユリーナ母さんは俺達から離れユリウス父さんとシルビア王女の側に来ていた。
「ユリウス様それでは私達はこれで失礼します。メイドと使用人達の事を御願い致します」
「……ああ…近い内に総隊長が屋敷を訪ねると言っていた。」
「総隊長様が?」
「子供達の様子を見に来るそうだその時は総隊長の事を頼む」
「分かりましたわ」
ユリーナ母さんはユリウス父さんの顔を見ずシルビア王女に向け話をした
「シルビア様これから大変だと思いますがユリウス様を宜しく御願い致します。」
「はい、有難う御座いますユリーナ様」
シルビア王女はユリーナ母さんに話終えユリウス父さんの顔を見て微笑んでいた。
「それではお二方御幸せに……」
ユリーナ母さんはユリウス父さんとシルビア王女に礼をしてその場を離れた
「……」
ユリウス父さんはユリーナ母さんの後ろ姿を見て自分も行こうと動き出したが、グイッ!とシルビア王女から腕を掴み動けずにいた。
「シルビア様…腕を離してくれますか?」
「嫌です。もうユリーナ様を追うのは止めて下さい。貴方は私の夫になる人です。他の女性に振り向かないで下さい。」
「……っ」
ユリウス父さんはシルビア王女から逃げる事が出来ず今度いつ会えるのか分からないユリーナ母さんに自分は本当に別れて良かったのか?と、長年夫婦として寄り添っていた最愛の人が自分の側から離れる姿を涙を堪え今自分の目の前で立ち去る妻だった人と子供達2人の後ろ姿を見る事しか出来なかった。












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