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「ふう……っ」大広間から部屋を出たユリウス父さんは総隊長が呼んでいると聞き今廊下を1人歩いていた。
「…まさか総隊長の部屋まで着いて行くと言われるとは思いもしなかった……精神的に少し疲れてくるな…」
ユリウス父さんは1人になった時にホッとしている自分に気が付いた。
「ユリーナに触っただけで泣くとは思わなかったし、メイド達は城には入れないと聞いた時は焦ってしまった…泣いているシルビアに自分でも恥ずかしい事を言ってしまい、カイトには笑われてしまったが……シルビアを宥める為ユリーナの前でシルビアだけを愛していますと言ってしまった…ユリーナはどう思ったのか…」
色々と考え事をしていると総隊長の部屋の前に着いていた。
「総隊長ユリウスです。」
しーんと中から応答がなくユリウス父さんは総隊長の返事がないまま部屋を開けてみた
「総隊長居ないのですか?」
部屋の中を見たユリウス父さんは窓際で外を眺めている総隊長に気付き自分の声が聞こえなかったのか?と部屋に入り総隊長を呼んでいた。
「?総隊長どうしたのですか、中に居るんでしたら返事をして下さい…ユリーナから総隊長が呼んでいると聞いたのですが…」
「……」
「何処か具合いでも悪いのですか?」
「……ユリウス…いつ決めたのだ?」
「え?」
「シルビア様との結婚いつ決めたのだ!」
「!!」
ユリウス父さんは総隊長の問いかけにビクッと体が動いた。
「……ユリーナに聞いたのですか…本当は私が先に総隊長に伝えたかったのですが…昨日総隊長からシルビア様が庭園で待っていると聞き庭園でシルビア様に会いました。その時にシルビア様から告白を貰いそして私も告白の返事を……」
ユリウス父さんの話の途中総隊長が駆け寄りユリウス父さんを投げ飛ばし近くの家具にぶつかりユリウス父さんは何とか倒れずに済み家具に体を寄せていた。
「……っ!」
「ユリウスお前私に何て言った、王様に断りを伝え自分は結婚もして子供達がいると私に言った事を覚えて居るのか?王様にシルビア様の結婚を断った奴が何故シルビア様と結婚の約束をしたんだ!?」
総隊長の顔が怒りに溢れ体が震えているのが分かる
「……」
「答えられないのか?ユリウス…ユリーナ様がどんな気持ちで私にお前と別れた話をしたのか…ユリーナ様はお前の変わりにブランシェ家を守ると言われていた。ブランシェ家は200年前のワイバーンの襲撃で国を守った伝統ある騎士の家系だ!本来なら当主であるお前が守る家系をユリーナ様が1人でそれも子供達と一緒に守ると言われた…お前は伝統ある家系を自分の代で終わりにすると言ったそうだな」
「っ…何故その事を……」
「ユリーナ様から聞いた、お前はシルビア様と結婚するために家系を捨てたのだな…お前がそんな男だとは思わなかった」
「……ど、どうする事も出来なかったんだ…本当はシルビア様に私を諦めるように話をしたんだ。だが、私を想う気持ちに何年でも私の事を待ってくれると、そんな一途に想ってくれると分かった時に私もシルビア様の事を……」
ドカッ!総隊長が近くにあった家具に蹴り出した…それを見たユリウス父さんはただ怒りの目で見ている総隊長に何も言えずにいた。
「だ、だが、私もユリーナとは別れたくは無かった何度もユリーナに城に住む事を進めたでも城には住まないとそして子供達も…ユリーナが当主になると言われ私は何も言えなかった」
「城には住みたくても住めないだろうお前は次期王になる可能性がある王には王族の子孫を残す役割がある。王族の血筋でもあるシルビア様だけのご寵愛を受ける姿をユリーナ様が絶えることが出来ると思うのか?」
「!!」
「今までお前だけを愛していたユリーナ様には酷な事だ…だからお前と別れる道を選ばれた子供達の事も考えて…もし子供達が城で生活をしても権力争いに巻き込まれる可能性がある、お前はその事を考えて居なかったのか?」
「権力争い!?だが、子供達には関係の無い事だユリーナと私の子供だ、城に上がっても王子と王女の名前を貰い幸せな生活が始まり王族の争いには関係の無い事だ。私はまだユリーナと子供達の事は諦めては居ない月日がたてばユリーナも私の元へ戻って来てくれると……」
「……そうなれば良いがな…ユリーナ様と別れたお前に何を言っても一緒だが……」
総隊長はユリウス父さんを投げ飛ばした時に出来た家具を退け机に向かい引き出しの中から1枚の封筒を取り出した。
「…ユリウス側に来い」
まだ、総隊長の怒りは静まらない様子で、あちこちと打った体を動かし総隊長の机の前に立った。
「……お前宛にだ…ユリーナ様が部屋を出た後部下が私に渡した手紙だ」
「私にですか?」
白い封筒に差出人は無いが封筒から花の香水の匂いが微かにしていた。
「…部下の話だと貴婦人が城に訪れ通りすがりの部下に手紙を渡してお前に渡すように言われたそうだ、だがお前がまだ来て居ない為私に預けた……誰なんだその貴婦人とは…」
ユリウス父さんは渡された手紙を持っ手が震えていた。














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