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「王様ユリウス様の御住まいを御願いしたいと思っております。御住まいが決まりましたらユリウス様のお荷物を送りますので…」
ユリーナ母さんがユリウス父さんの住まいと荷物の話をしていた
「城には空いた部屋は沢山ある気にする事は無い、荷物も早急に送ると良い」
「有難う御座います。王様、これで私達家族は安心して生活が送れます…」
ユリーナ母さんは王様に礼をした後ユリウス父さんを見て話をした。
「……ユリウス様騎士の方々に挨拶をしたいのですが…総隊長様の部屋の案内を御願いします……」
「…あ、ああ、分かった王様暫く席をはずしますが宜しいでしょうか?」
「ああ、行ってきなさい子供達も一緒にか?」
「はい……」
ユリウス父さんが俺を抱っこした後ユリーナ母さんの腰に手をやるとき「ユリウス様!」少し怒る声を出しているシルビア王女が後ろで立っていた。
「……シルビア様どうしたのですか?」
「ユリウス様むやみに女性に腰を触るものではありませんわ」
俺とルカリオ兄とユリーナ母さんそしてユリウス父さんは皆顔が「え?」と、驚いてシルビア王女を見ていた。
「…え、あ…いやこれはむやみに触っている訳では……」
「…ユリウス様は……私よりもユリーナ様が良いのですわ……」
シルビア王女が涙を流しユリウス父さんを困らせていた
「ち、違うんだシルビア様…私は別に……」
ユリウス父さんは抱っこしている俺を降ろし泣いているシルビア王女の側に行き抱き締めていた。
「シルビア何をブランシェ侯爵を困らせているのだ?先ほど告白を聞いたではないか」
「…でも御父様…私の目の前でユリーナ様を触る姿を見たら胸が苦しくて…」
はぁ、と王様はため息を吐いていた
「少し触るだけでどうする、これから披露宴に舞踏会皆体を触る事ばかりだぞ」
「…でも……私以外の方と触るのは嫌なのです…」
シルビア王女はユリウス父さんの腕の中で泣き続けた。
「…私達だけで行きましょうルーちゃんとカイちゃん…」
ユリーナ母さんは俺とルカリオ兄を呼び3人で大広間の部屋を出た。ユリウス父さんは俺達が出ていくのを見て辛そうな顔をしていた。
廊下を歩くとユリーナ母さんが話し出してきた
「…旦那様これから大変ね…シルビア様は泣くと旦那様が側に来て抱き締めてくれる癖がついてしまった見たい……その事で旦那様が何処まで絶えることが出来るのか…ふふふ…楽しみだわ」
俺とルカリオ兄はお互い顔を見て「母様怖い!」と思った。
城の中の廊下を歩くと騎士の1人が反対側を歩いていた為ユリーナ母さんが声を掛け総隊長の部屋の案内を頼んでいた
「そうですか、ユリウス隊長の奥様とお子様方だったのですね」
「もう奥様ではありませんけど」
「えっ?」
「…ふふっ、今日別れる事にしたのですよ」
「ええっ?!」
騎士は総隊長の部屋に着くまで驚き続けた。
総隊長の部屋の前で騎士が扉を叩き中から男性の声が聞こえ中に入った。
「有難う御座います。騎士様ふふふ驚かせて御免なさい」
「あ…いえ、何かありましたらお呼び下さい」
騎士はユリーナ母さんに礼をして、部屋を出ていった。
「総隊長様お久し振りです、お代わり無いようで…」
「これはお久し振りですユリーナ様相変わらずお美しいようで」
「ふふふ御世辞でも嬉しいですわ」
「お世辞ではありませんよ!」
お互い笑いそして総隊長は俺達に気付き声を掛けていた。
「今日はお子様方と一緒に来たのですねユリウスはまだ見えてなくて…あっ、ユリウスの顔の怪我には驚きましたが、治るのが心配ですね…見たときは驚きましたよ」
「ご心配をお掛けしましたわ今は綺麗な顔に成って居ますので」
「おおっ、それは安心しました…それにしてもユリウスが遅くてすみません…」
「今日は一緒に来ましたのよ今は別の部屋に居ますけど…」
総隊長は俺達に座るようにソファーに似た長椅子に座った
「一緒に来ていたのですね…子供様と一緒とは珍しいですね御用でもあったのですか?」
「……今日は総隊長様に最後のご挨拶で伺ったのです」
「最後のご挨拶とは?」
「わたくしユリウス・ブランシェと別れましたのよ」
「……は?今何を…」
「旦那様と別れましたのよわたくし…それで総隊長様に挨拶に伺ったのです……」
突然の別れ話に驚き固まった総隊長が俺達3人座っている目の前で呆然としていた。
「な……何故別れる事に成ったのですか?昨日は何もそのような事は言っては居ませんでしたが…いったい……」
「……旦那様はシルビア様と御結婚する事に成りましたのですから今日離婚の手続きを終え御二人の結婚の許可を終えた処でそれで総隊長様に御世話に成った最後の妻として挨拶に来ましたの」
「……シ、シルビア様との結婚?!」
総隊長は昨日の事を思い出していたユリウス父さんに庭園でシルビア王女が待っていると伝えた事を…
ガバッ!!と、総隊長が立ち上がり俺達に頭を深々と下げていた
「申し訳ありません、ユリーナ様……全部私が悪いのです。私がユリウスにシルビア王女が庭園で待っていると話した為に…まさか……ユリウスが……ユリウスが…ユリーナ様と別れてシルビア様と結婚するとは……私は……私は……」
頭を下げたまま総隊長は泣いているように見え両手を握り締め震えているのが分かった。
「……総隊長様有難う御座います…総隊長様が悪いのではありません……悪いのは旦那様です。旦那様の意志が弱い為シルビア様に心を動かされたのです…私は後悔しておりません子供達と一緒にブランシェ家を守ると誓ったのですから……」
「……ユリーナ様……」
総隊長の涙が流れ落ち何度も謝る事を止めない総隊長の姿がとても不憫でならなかった。







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