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ブランシェ家の朝はいつも賑やかな朝を迎えていた。だが、今日はリン姉を除いて皆静かな朝食を取っていた。
「あっ、リンの目玉焼きお目目が2つあるよ!すごーい!」
「本当だね、リンの目玉焼き2つある…良い事があるかもしれないね」
ジェーン兄がリン姉の隣の席で目玉焼きを見ていた。
「……ショーン…学校は楽しいかい?」
ユリウス父さんがショーン兄に学校の事を聞いていた。俺の話を聞いて気になった事だろう…
「……はい、楽しいです。」
いつもはユリウス父さんの騎士での仕事を聞くショーン兄は一言答えただけで何も話さなかった。
「ルーちゃん、カイちゃんはルーちゃんのお部屋でまだ食べているの?」
「はい、恥ずかしがりの所があるようで部屋で食べています」
ユリーナ母さんがルカリオ兄に俺の事を聞いていたようだ。
「え~っ、ルーお兄ちゃまずる~い、まだカイちゃんルーお兄ちゃまのお部屋にいるの?」
「……ふふっ、今夜にもカイちゃんの御部屋を造りますよ。いつまでもルーちゃんの御部屋では狭いでしょう」
「え?僕はこのままカイと一緒が良いと思ったけど…」
ルカリオ兄は俺と一緒の部屋を希望していたようだ
「じゃあカイちゃんはリンのお部屋と一緒にする」
「ふふっ、カイちゃんの困る顔が見えるようね」
ユリーナ母さんとルカリオ兄とリン姉の会話が続く中いっもはショーン兄が話に入ってくるが、黙ったまま食事をしていた。それを見ていたエミリー姉もショーン兄を見ているだけで話しても来なかった。
1人アニー姉はまだ悩んでいた。今日の家族の反応を見て皆屋敷に残る覚悟でいた。アニー姉はお城の事も気になるが、もしお城へ行けば話し相手が居ない事に気付くがシルビア様とお話しが出来るのではないだろうかとも考えていた。
朝食が終わりユリーナ母さんが話し出して来た。
「御母様からお知らせだけど、今日まで学校はお休みを取る事になったので御部屋で勉強をするように」
「え、お兄ちゃま達お休みなの!?わーい、目玉焼きの良い事があったー!」
リン姉は喜びジェーン兄が良かっねと話していた。
「リンちゃん母様から御話がありますけど良いですか?」
リン姉をユリーナ母さんの側に来て、ユリウス父さんとの事を話した。
「リンちゃん良く聞いてね、父様はお城の仕事で家に帰る事が出来なくなってしまったの…それでね父様に会えるのはリンちゃんが大きくなった時なのそれまで我慢できる?」
ユリーナ母さんは考えてリン姉が寂しく無いように伝えた。
「え?父様お城の仕事で帰って来れないの?」
リン姉はユリウス父さんの顔を見ていた。ユリウス父さんは言葉が出ずにリン姉の顔を見ているだけだった。
「……ご、ごめんねリン……父様お城に行く事が決まって…リンとも暫く会えないんだ……ごめんねリン……ごめん……」
ユリウス父さんの目から涙が流れ側に来たリン姉の体をギュッと抱き締めていた。
「父様泣かないでリン良い子で待っているから約束だよ」
「……ああ、約束だね……リン……」
嘘の約束をしてしまう心苦しさに胸が張り裂けそうな気分だった
「……リンちゃん先に御部屋に戻ってなさい」
「は~い、父様またね」
バイバイ…と手を振る何も知らないリン姉にただ笑顔で手を振るだけだった。
リン姉が部屋を出た後家族が残りそしてショーン兄が椅子から立ち上がりユリウス父さんの側に来た。
バキッ!!
「「「「「!!」」」」」
ショーン兄がユリウス父さんの頬を殴り、皆驚いていた。
「…許さない絶対あんたを許すものか!!」
「……ショ……」
ユリウス父さんに殴った拳に力が入り震えが止まらないショーン兄の目に涙が流れ落ちていた。






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