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「奥様…今何と申されましたか…」
医師様は驚きユリーナ母さんに確認をしていた。
「私は城へは行きません、そして旦那様と別れます。」
ユリーナ母さんは真っ直ぐとした目で俺達に自分の決心の内を話してくれた。
「…それでは旦那様とシルビア様の御結婚は御許しには…」
メイド長は辛い顔を見せユリウス父さんとシルビア王女の結婚の事を聞いていた。
「……結婚は許します。明日旦那様とお城へ向かいます」
「「「!?」」」
「奥様、旦那様とシルビア様の御結婚を御許しに成るのですか?それでは奥様が……坊っちゃま方はどうなさいますか?」
「子供達は私が引き取ります。そして私はブランシェ家の当主としてこの屋敷を守ります。」
「奥様……」
医師様とメイド長は涙を流しユリーナ母さんの決心に何も言えなかった。
「今夜旦那様と御話を終えた時にブランシェ家の権利書を頂き早急に手続きをしたいと思っております。その時に医師様、メイド長私の力になってくれますか?」
ユリーナ母さんは笑みを見せ2人に問いかけていた。
「勿論で御座います奥様、また奥様の御側でお仕え出来る事を嬉しく思います。」
メイド長は涙ながら話医師様も喜びが隠せない様子でいた。
「私も旦那様からブランシェ家は御自分の代で終わらせます。とお聞きした時は倒れそうな思いで御座いました」
「…旦那様がブランシェ家は自分の代で終わりと言ったのですか?」
「はい、奥様が御部屋を出られました時カイト坊っちゃまが旦那様に目を覚ますように御自分の手で何度も…でも旦那様の意志は固くお城へ行かれると……」
「……旦那様の御気持ちは既に決まっておりましたのね…」
ユリーナ母さんは俺の右手を見て血は拭き取っていた為拳には痣が幾つも付いている事に俺の右手を自分の手を重ねていた。
「……有難う御座います…辛いことを御自分の手で…」
「気にしないで下さい、これは自分の為にした事ですから……」
殴っても分からないユリウス父さんはもう王になる事だけを考えている俺の知らない人間だ。
俺達は話を終え食事部屋を出た。俺はルカリオ兄の部屋に戻りユリーナ母さんの気持ちを話した。

「……母様が……そんな事を…」
「今夜父様との話し合いで決まると思う…そして明日お城に行く事になるよ……父様との時間は余り無いと思う」
俺はベッドの隣で座っているルカリオ兄の手をギュッと握り締めた。
「にぃは屋敷に母様と一緒に残るの?」
「うん……お城に行っても僕達きようだいの居場所は無いと思う…父様が何も心配をしなくて良いと言っていたけど…知らない所で生活するより屋敷で皆と一緒にいた方が良いから…」
ルカリオ兄は小さく笑いその顔は喜びではなかった。
「……まだ母様の事は皆知らないと思うからどうなるのか分からないけど……」
隣で声を殺しルカリオ兄が泣いていた。
「……本当は…父様…シルビア様と結婚して欲しくは無かったのに……父様は……僕達を見捨てたんだ……」
小さく震える体が泣いている姿をユリウス…あんたに見せてやりたいと思った。
夕食の時間は俺とルカリオ兄は部屋で一緒に食べる事になり、父親の顔は見たくないと言っていた。
リン姉は寝てスッキリしたのか泣いていた事も忘れユリウス父さんとユリーナ母さんが一緒に食事をしている事が嬉しかった様で1人はしゃいでいた。他の兄姉達は何処か静かで余り話さなかったようだ。
夕食が終わり、兄姉達がルカリオ兄の部屋に集まっていた。
まだリン姉には話せない感じで、皆両親の事で心が傷付いていた
「それは本当なのかカイト…母様が父様とシルビア様との結婚を許すと言う話は…」
ショーン兄と兄姉達も驚いていた。
「父様とシルビア様の結婚を許しているのにどうして母様はお城には住まないの?もし、母様も一緒に住むことが出来たら私達も住めるのに~っ」
アニー姉はお城に住むことに喜んではいたが、母様が王妃では無いという事を知り戸惑った。だが、お城での生活は憧れを持っていた。
「……母様は父様と別れる覚悟で結婚を許したんだと思う」
「え?父様と別れる!?」
ルカリオ兄のユリーナ母さんが別れるとの話で兄姉達は顔が真っ青になり黙り込んでしまった。
「……母様は1人で悩み苦しんでそして決めた事だと思う。母様と僕達が城で生活しても相続争いに巻き込まれる事は分かっている…だから母様がブランシェ家を受け継ぎ僕達の住む場所を用意してくれたんだ」
「母様がブランシェ家の当主に…」
ショーン兄はルカリオ兄の話を聞き心に決めていたように見えた
「僕は母様と一緒にいるよそして母様のブランシェ家の当主を支えて行きたい」
!!
「私もショーン御兄様が屋敷に残るのでしたら私も御母様を支えてあげたいですわ…ショーン御兄様の居ない城は嫌ですわ」
エミリー姉もショーン兄の側を離れるのが嫌のようだ。
「僕も屋敷に残りたい…カイトは…どうするの?」
「え、僕?……僕も残るけど……」
「良かった。カイトが屋敷に残るならここにいる」
ジェーン兄が突然聞き出した為俺は屋敷を出ると言えなかった…暫くユリーナ母さんが落ち着くまで屋敷に居ても良いかな…
アニー姉は1人悩んでいた。きょうだい皆屋敷に残ると言っている為、1人でお城には行きたくは無かった。でもお城での生活の憧れが悩んでいた。
後はリン姉の事が心配だった…母親と父親が大好きなリン姉には
まだ話せないでいた。



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