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「……旦那様はもう奥様と御子様方との事は…今はシルビア様との御結婚の事で周りの事は分からない御様子…私もブランシェ家ではこれが最後のお務めに成るだろう…」
医師様はユリウス父さんの部屋の前で、残念そうに呟きユリーナ母さんの部屋へ向かうことにした。
「…奥様私で御座います。医師で御座います」
医師様の問い掛けにユリーナ母さんの部屋の扉が開き、メイド長が現れた。
「……医師様」
「メイド長奥様の御様子は?」
メイド長は首を横に振り医師様を部屋の中に入れ、ユリーナ母さんの後ろ姿に心を打たれた。
「ずーとあのままなのです…何度もお声をお掛け致しましたが…カイト坊っちゃんまも来られましたが、御気付かれなく…」
「カイト坊っちゃまが御越しに!?」
「はい…あの方は不思議な御力を御持ちでブランシェ家のカイト坊っちゃまのお姿で奥様を呼び戻されておりましたが…」
「…そうですか…あのお姿で居られました時はどなたかと思いましたが旦那様の事を良く分かっておいでのようで、旦那様が今のこの状況を分かって下さると良いのですが…」
医師様はユリーナ母さんの側に来て話し出していた
「奥様私で御座います医師で御座います……」
ユリーナ母さんはただボーと窓の外を眺めていた。
「……奥様」
とても7人の御子様を御持ちとも思われ無いお方で、無邪気に笑い、いっも旦那様の御側を離れる事の無い幸せな御家族でした。
奥様も旦那様の噂を知って居られます…貴婦人方からの求婚騒ぎで何度不安な心を持たれたでしょう…その貴婦人方からの求婚を旦那様は断り続け、周りの貴族の方々そして奥様の御実家伯爵家でも安心して奥様をブランシェ家に嫁がせて良かったと喜ばれましたのに……まさか王様の娘でありますシルビア様で一瞬に崩れるとは……
医師様はユリーナ母さんの手を取り顔を眺めていた。
「医師様旦那様は……」
「意志がお堅いようで奥様の回復を待ち城に行かれますとの事です。」
「でも、坊っちゃま方の御意志と御気持ちを考えて決める事ではありませんか?」
「……親という権力で御子様方を纏められますか…それとも城内での生活に御子様方が憧れ賛成をなさいますか…食事部屋で話し合いを成されると思います…私は先に行きますが奥様がお気を取り戻しましたら、御一緒に部屋に御越しください。」
「…分かりました」
「…奥様お気を確りと御持ち下さい負けては成りません」
医師様はユリーナ母さんとメイド長に話し終え部屋を後にした。

屋敷の中でメイド達が騒いでいた。
「旦那様のお顔見た?凄い事になって私ずーと下を向いて部屋の後片付けをしたわ」
ユリウス父さんの部屋の掃除に行ったメイドの1人が騒いでいた。
「旦那様に何があったのかしら?その前は奥様と口喧嘩しているのに、いきなり旦那様が奥様にキスをして黙らせたのよ。私もう驚いて、旦那様ってああいう方だったかしら…何だか怖いわ」
「ええっ…でもそんな強引な所も良いかも…」
「ねぇ、メイド長の姿が見えないけど…」
「奥様が旦那様の御部屋から出た時、奥様の泣き声が聞こえたわよその後ろをメイド長が追いかけていたみたいだけど…」
「…ねぇ、普通の雰囲気では無いような気もするけど…まさか旦那様が浮気?!」
「ええ~っ、まさか私達にも手を出された事の無い旦那様に限ってそれはないわよ」
「メイドだから手を出さなかっただけかもよ」
「……それはそれでショックじゃないの私達メイドが!」
メイド達の屋敷内での噂話は色々で、もうすぐ俺達家族の話し合いが始まろうとしていた。








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