転生してまで俺の後を追いかけるのは止めろ～父様と僕は兄弟でした～

１６

ユリウス父さんは自分で体の治療を終え、ベッドの側で椅子に座っている医師様との話が行われた。
「……ユリーナは？」
「…御部屋の方で伏せって御出だと…後程御部屋に御伺いしたいと思います。」
「…そうか……」
「旦那様の先ほどのお怪我は……もしやカイト坊っちゃまが？」
「ぼこぼこにしてやる…と言われ本当にそうなるとは……結構痛かったよ、本当に死ぬのかと思うほどに……」
「…旦那様の事を思ってのカイト坊っちゃまの想いです…まだ御気持ちは変わらないので御座いますか？」
医師様は息子に殴られ目を覚まして暮れたらと…希望を持ち今のユリウス父さんの気持ちを聞き出していた。
「……私の気持ちは変わらない…誰が何と言おうと私はシルビア様と結婚をする」
「旦那様！！」ガタッ！
医師様は座っていた椅子に思いっきりに立ち上がり震えが止まらなかった。
「カイト坊っちゃまの気持ちが分からないのですか？貴方様は…どんな想いでこの様な事をなさったのかを……」
「……分かっている…どんな気持ちで私を殴った事も……」
「お分かりなのに何故意志を通されるのですか？」
「もう私の心の中にシルビア様が入ってしまったのだ…手離したくはない、だから私は意志を通すつもりだ」
医師様はユリーナ母さんが可哀想で…７人も子供を持ち周りからは幸せな家族として祝福を受けていた。
医師様もユリウス父さんが他の貴婦人からの求婚の話しは何十回もあった事は知っていた。それを断り続けユリーナ母さん１人だけを愛していたユリウス父さんに尊敬していた。医師様はユリウス父さんに裏切られた気持ちで胸が裂ける思いだった。
「……奥様はどうなさるおつもりですか？旦那様がシルビア様と御結婚をなさいますと、１番に御辛いのは奥様なのです。その事を考えましたか？」
「……ユリーナには悪いと思っている…だが、城に上がれば第２妃として迎える事が出来る。子供達も王子と王女に慣れるのだ。城での幸せな生活が待っている。私とシルビアに子供が生まれたら子供達も可愛がってくれるカイトが子供達からの愛情を受けた様に…私とシルビアの未来が待っている」
ユリウス父さんは先の事まで考え幸せで笑みが止まらなかった。
医師様は手に持っていた布切れで涙を拭い、何度言っても無理だと…そして医師様は話を続けた。
「…旦那様シルビア様との御結婚には奥様の許可が必要に成ります。奥様がお城へ御越しになり、王様とお妃様に旦那様とシルビア様の御結婚の許しが必要なので御座います。その事をお忘れですか？」
この国では結婚しても、後妻、後夫、との結婚は出来る。但しそれは結婚をしている相手の許可が必要になる。例え御互い結婚の約束をしても相手の許可が必要になる、もし許しが無ければ結婚は出来ない為最悪の場合離婚になり、離婚になった時はその結婚したい相手とは結婚出来ない事になっている。
「知っている。だから、ユリーナに早く許可を貰いたい」
「旦那様、今奥様は精神的な状態で御座います。許可の事はシルビア様もお待ちと聞きました。急がなくても宜しいではありませんか？」
「シルビア様が私を待っていると思うだけでも、１日でも早く一緒に成りたいのだ。ユリーナが落ち着き私達の結婚に賛成した後城に行く事にする。」
「……ブランシェ家はどうなさるおつもりですか？」
「…城に上がれば私は王になる為ブランシェ家は私の代で終わりにする。」
「！！」
「……旦那様は御両家が受け継がれましたブランシェ家を御見捨てに成るのですね……分かりました。……カイト坊っちゃまから旦那様がお目覚めに成りましたら食事部屋に来るようにと言付かっております……私は先に行きますので…後程…に」
医師様はユリウス父さんに礼をすると部屋を出た。
１人部屋に残されたユリウス父さんはシルビア王女との結婚の事を考えていた。
「……誰も私とシルビアとの結婚を邪魔は差せない…そしてカイトお前は私と一緒に城に行く。そして王となった私の支えとなり生涯私と共に生きるのだ……」
ユリウス父さんはシルビア王女との結婚を固く決め部屋を後にした。