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今まで泣いていたシルビア王女に笑顔が戻り、まだ頬に手を当てているユリウス父さんにそっと…自分の手を重ねた。
「……直ぐにとはいきませんが何年掛かるかもしれません、こんな私でも待っていただけますか?」
「はい、何年でも待ち続けます。ユリウス様」
お互いに微笑みその離れから様子を見ていたシルビア王女のメイド付きが、「こほん」とわざとらしい咳をして2人は慌てて側を離れた。
「では、私はこれで失礼致します。シルビア様」
「お気を付けてユリウス様…カイトちゃんにいつか会わせて下さい。」
ユリウス父さんはシルビア王女に礼を交わし、シルビア王女は手を振りユリウス父さんの姿を見届けた。
シルビア王女は先ほどまでユリウス父さんと口付けをした事が信じられず両手を口許にやり顔を真っ赤にしていた。
「ふふふふ……良かったで御座いますねシルビア様、初恋が実りましたね。ご結婚も早いかも知れません」
「もう、覗き見するなんて、結婚の御話はまだとユリウス様も言われていたでしょう……それにユリウス様は奥様と御子様がいらっしゃるのよ…私との結婚は直ぐには無理なのよ。御家族の御許しを頂かないと……私の事よりもユリウス様が大変よ……」

城を離れ馬に乗り屋敷に向かうユリウス父さんは「やってしまった…」と、後に我に返り馬を走らせながら自分の行動に後悔していた。勇樹の時でもそうだった妻の優花がいるのに自分の事を好きだと涙を流す女性を見てつい手を伸ばし離婚寸前までなった事が合った……この事は兄の快斗には話してはいない…仕事が忙しく自分の事で精一杯の兄には心配を掛けたくなかった。
今回は自分の事を幼い頃から好きでいてくれた王女を以前からは気にはなっていた。容姿も美しく礼儀正しく優しい女の子だと…
兄がカイトが生まれるまでユリーナ母さんだけを愛してきた。
カイトも生まれ心の隅でホッと気が抜け、ユリーナ母さんの他の女性でも後妻にと考えていた。最近のユリーナ母さんの我儘と強引差に手を妬いていた。
だが、子供達の事を考えると後妻との事は……特にカイトの事を思うと胸が痛む…勇樹の事を好きだと言ってくれた時は嬉しく抱き締めたかった…こんな自分勝手に兄を振り回し転生した後もカイトに辛い思いをさせそれでも自分のものにしたい為にカイトに鎖で縛り付け離さない自分がいる。
今日の事は予想外だった……自分の事を待っていると聞き顔を見せ挨拶をするだけだった。まさか泣かれてしまいそれに想いまでも打ち明け他の恋を知らない彼女が放っては置けなかった。
「……はあ…どうすればいいんだ……」
ユリウス父さんは大きな大問題になりそうな悩みを抱えブランシェ家の屋敷に着いた。
「お帰りなさいませ旦那様」
玄関先にメイドと執事が出迎え昼食の事を聞いていた
「旦那様お食事はどうなさいますか?まだ奥様とお坊ちゃま方は食されておりますが…」
「私も頂くよ用意を頼む」
早く戻ると言ってお昼過ぎてしまった…ユリーナ母さんの質問攻めに合うだろう……と、今日のシルビア王女との事は暫く伏せておかないと…ユリウス父さんは心臓がドキドキと鼓動を打っ体に緊張感が走り皆が待っ部屋に向かった。







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