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今まで快斗の姿でいた俺は赤ん坊のカイトに体を戻ったが、体の変化なのか、1歳の体が時間が経つにつれ3歳の体に成長していた。
その頃ユリウス父さんが城に休暇を貰いに行き、1人部屋の中でそわそわとしているユリーナ母さんがいた。
カチャ……とゆっくり扉が開く音がする。
「奥様どちらへ行かれるのですか?」
ユリウス父さん付きのメイドの1人が話し掛け、ユリーナ母さんが扉を開け部屋を出る所で、廊下で立っているメイド2人が監視をしていた。
「もう何よ貴女達は、御手洗いに行きたいのよ」
「先ほどわたくしと一緒に行きましたが?!」
「……わ、私が何をしょうと勝手でしょう、そこを退いて」
「いいえ、退きませんわ奥様、カイト坊っちゃまは今不安定の御様子と御伺いしております。旦那様がお戻りの時に御会いください!」
メイドはユリーナ母さんにカイトに会いに行く事を止められユリーナ母さんは怒り出し部屋の中に入った。
今まで自分達メイドにユリウス父さんとの見せ付けていたユリーナ母さんに、今ユリウス父さんの指示でユリーナ母さんが、カイトに近付かないように頼まれ、その阻止をしている事に楽しんでいるメイド達だった。
「もう、旦那様ったらメイドに監視みたいな事をして、カイちゃんに少し会っても良いでしょう。帰って来たら逃がしませんわ」
ユリーナ母さんは、始めにユリウス父さんとの約束を忘れカイトの容姿が気になり会いに行こうとして、メイドに止められていた

休暇の許可を貰いに来たユリウス父さんは馬に乗り城の門にたどり着き門番達に驚かれた。
「ユリウス隊長どうされたのですか、その顔は……」
ユリウス父さんは城では護衛騎士の隊長をしている。
「いや~っ、部屋で転んで家具にぶつけて、この顔になってしまったんだ」
ユリウス父さんは門番達に頭に手をやりカキカキと頭をかいて笑って話をしていた。
これはどう見ても殴られた痕では…と門番達は思っていたが言えずにいた。ユリウス父さんに女性が寄って来る事は皆知っている事で、それを断り続けていたユリウス父さんが城の中の噂では珍しいと言われていた。この国では奥さんがいても後妻としても結婚は出来る為、ユリウス父さんは城の中でも女性達の声が絶えない。
門番達の驚いた顔を通り抜け、馬を預け城の中に入った。
城の中でも通りすがりに皆驚いた顔をして、ユリウス父さんの顔を見ていた。
(やはりこの顔は目立つか…使いの者をやれば良かったかな…)
ユリウス父さんは気まずそうに城の奥へ入って行った。
騎士室にたどり着き部屋の中に入って行った。
「御早う御座います総隊長」
「ああ、おは……どうしたユリウスその顔は…」
ユリウス父さんは総隊長に休暇の許可を貰いに部屋に訪れていた
「何十回と言ってきましたが、部屋で転び家具にぶつけてこうなってしまいました……ハハハ…」
「ハハハ…じゃないだろうお前……まさか女か?!」
「違います。転んで家具にぶつけたのです」
総隊長はユリウス父さんの話を信じていないようで、何回も聞いていた。
「もう、いい加減に信じて下さい総隊長」
「ハハハハ、悪い、悪い…しかしまあ……半分別人の様だな……シルビア様が見たら泣くぞ」
「……総隊長何故シルビア様の名前が出てくるのですか?」
「…いや……お前に長年想いを寄せているからな…今年16歳に成られて王様も結婚をと考えられておられるが…お前一筋だからな……王様からもお前とシルビア様との結婚を考えているんだろう?返事はしたのか?」
ユリウス父さんは王様の娘王女様シルビア様から結婚の申し込みがあり、この事はユリーナ母さんと子供達にはまだ話をしてはいない。
「王様には御断りを伝えました。私は結婚をしている身で、子供達がいます。」
「そうだったなお前結婚早かったからな騎士になり直ぐに結婚をして今7人子供がいると言っていたな……7人も…好きだなお前」
何故か総隊長は顔を真っ赤にして子供が7人いる事に頬を染めていた。
「王様に断りを伝えたのならいいが…シルビア様がな……」
総隊長が困ったような顔をしていた。
「…シルビア様に何か?」
「いや…昨日お前が休みで城に来て居ない事もあるが、お前が休みの時はボー…と庭園で1日中椅子に座りぼんやりしている所を見るとな…今日お前が来るようであれば庭園で待って居ると言われてなどうする……」
「……」
ユリウス父さんは悩んでいた自分を待っているシルビア王女に…今日はカイトの事で話をしなければ成らない……
ユリウス父さんは総隊長に休暇を貰い騎士室を出た。


城の中にある庭園で丸い白いテーブルに椅子に座り手には刺繍を縫い来ないと分かって待っているシルビア王女がため息を吐いてユリウス父さんを待っていた。
シルビア王女も分かっていた事…ユリウス父さんが結婚をして子供達がいる事も幸せな家庭を壊すつもりもなく、結婚は考えてはいなかった。父親の王様が娘の事を想いユリウス父さんに結婚の事を持ち出していた。ただお城の中に居るときだけでも御話が出来たらと思っていた。
遠い場所から足音が近付き下を向いていた顔を上げた。
シルビア王女の側にはユリウス父さんが立っていた。











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