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俺は目を閉じていた瞼を開き、自分の精神空間の森の中に立っていた。あの死の淵から戻って来たとは思えない、いっもの景色に俺はただ眺めていた。
いっものように、俺が来たことに気付いた光の玉が、いっも以上の動きと何故かオロオロと見せているように飛んでいた。
「……有難う心配かけたね…俺は大丈夫だから…俺の為に命が半分になってごめん……」
俺の前にフヨフヨと浮いている光の玉に俺は謝る事しかなかった昨日の出来事なのに、もう何日も前からの出来事のようで、この森には勇樹が来る事も無いだろう…と、兄弟また一緒にいた喜びが父さんと母さんと勇樹の家族を2人思い出して語り合った事も
赤い実を食べては何処で食べた等の思い出ばなしも、この森で体を重ね合った事も……
「……神様…こうなる事が分かって俺を勇樹のユリウス父さんの子供にしたのか!?」
俺は森の木の影で黙ったままでいる、金髪の髪の毛の長い見知った顔の人物が、申し訳ないような顔をして俺の前に現れた。
「……私も予想外と申しますか…まさかこの様な事に成るとは思いもしませんでした…人の運命は分からない物で必ず決まった運命とは限らないのです。本田快斗さんの私の知っている限りは両親からの愛情を沢山受け、前世がご兄弟でも今世で親子として支え合い生涯仲の良い家族として一生を終わられるはずでした…」
俺は黙ったまま神様の話を聞いていた。
「……今回本田快斗さんの…カイト・ブランシェさんの魂が消えかけた時は驚き、何故?と慌てました。今回の事で分かりました事は前世の記憶があり、勇樹さんとはご兄弟で関係を持たれておりました。そしてお二方は親子となり、ユリウスさんのご夫婦の関係がカイトさんの運命を狂わせてしまったと思うのです…私が悪いのです……あの時本田快斗さんが安らぎをと申されましたのに……無理に…」
神様は話を終わると肩を落としたように見え俺を転生させた事に後悔をしているように思えた。
「……もう過去の事を、過ぎ去った事を今言ってもどうする事も出来ない……このまま前に進む事だけ…」
俺は瞼を閉じこれから俺はどのように生きるのだろう……このまま本田快斗の姿で生活すればいいのか…カイト・ブランシェの赤ん坊に戻り何事もなかったかのように生活するのか……俺は閉じていた瞼を開き、目の前にはルカリオ兄が心配そうな顔をして俺の顔を見ていた。






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