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「ヒック……ヒック……カイちゃん……」
「大丈夫だよリン…カイは元気になったら会えるよ」
テーブルの隣で座って居るリン姉をルカリオ兄が頭を撫で泣いているリン姉を宥めていた。
皆デザートも食べ終わり、兄姉達はユリウス父さんの側に行き顔を心配していた。
「父様の綺麗なお顔が……倒れそうになった時にどうして魔法を使わなかったの?」
「う~ん、父様魔法の事は考えて居なかったな、あっという間だったからね」
アニー姉が魔法を使い体を浮かせたら良かったのにと話していた
「父様はうっかりの所があるから、僕は父様のそういう処を受け継いだのかもしれないな」
「ショーンお兄様はお父様とは似ては折りませんわ」
相変わらずのエミリー姉がショーン兄に突っ込みを入れていた。
「父様…顔もう一度冷したら良いよ、僕が魔法で氷を出して上げるよ!」
「有難うジェーン、父様は大丈夫だよ。余り無闇に魔法は使わない方が良いよ、父様昔酷い事になったからね」
「うん、知ってるよ父様、でも今は父様にしてあげたいと思ったんだ」
この国に生まれた勇樹は、初めて使う魔法に喜びの余り、色々な魔法を一度に使っていた為体力が消耗し、一度死にかけた事があったと聞く。
「父様、早くカイちゃんが帰って来るように言ってね!」
「……ああ、分かったよリン。リンはカイトが大好き何だね……」
「うん!だってお姉ちゃまだから」
1人ユリウス父さんをジッ…と見ていたルカリオ兄は、本当はこの場でカイは今部屋の中に居るよと、言って上げたかった。
だが、カイの今の状態を考えると教える訳にはいかなかった。
メイド達が話していた噂話で、父様と母様が側に居るのにカイに手を差し伸べて上げなかった事が一番の原因だった。
1人黙ったままユリウス父さんを見ていたルカリオ兄にユリウス父さんが気付き声を掛けていた。
「ルカリオにも心配掛けてしまったね。カイトも良くなって戻って来るから心配しないで」
「……カイが戻って来たら、今度はカイの事も考えて上げてよ。父様と母様……僕部屋に戻るから」
1人部屋を出たルカリオ兄の姿をユリウス父さんは黙って見ていた。
「どうしたのかしらルーちゃん、カイちゃんが今居ないから寂しいのね、カイちゃんも早く元気になって戻って欲しいわ。ねぇ、旦那様!」
「……」
「旦那様?」
「ああ、そうだね。元気に戻って来るよ」
ユリウス父さんはルカリオ兄が部屋を出た扉をジッと見ていた。
1人皆居る部屋を出たルカリオ兄は廊下を歩きユリウス父さんの事を考えていた。
(父様達は狡いカイがこんなに大変な事になって居るのに、嘘を言って僕達を安心させている。元はと言えば父様と母様が悪いんだ。メイド長と話をしているのを聞いて、僕も父様と母様が何をしていたのかも知っている。カイが父様達を見ていた事も……)
この国での性教育は学校の授業で習うため、子供に教える事は早い。結婚年齢が早い為と聞く。
ルカリオ兄は年齢は8歳で、性教育は受けている為ユリウス父さんとユリーナ母さんが何をしていたのかも知っていた。
廊下を歩いていたルカリオ兄は、自分の部屋の方だけが何故かメイドがいっもよりも多く、何だろうと部屋の近くまで見ると数名のメイド達が扉の前で聞き耳を立てて居るのに気付きまさか!?と思った。メイド達はルカリオ兄に気づくと慌てて部屋を離れて行った。
ルカリオ兄はカイを見に来たのだろうとため息を吐き部屋の中に入って行った。



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