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「や!、や!」
ペシペシとユリーナ母さんの手を叩き「放せ!」と俺は反抗していた。
「いや~ん、カイちゃんどうして母様を叩くの?」
ユリーナ母さんは笑顔で赤ん坊の俺に話し、そしてユリウス父さんが両手を俺の前に出し話し掛けていた。
「カイト、父様が抱っこしてあげるよ」
ユリウス父さんは笑顔で俺に話し出すと、俺は赤ちゃん目でキッ!とユリウス父さんを睨んだ。
「や!ユウ、や!」
プイッと俺は横を向いた!
「え……何で…?」
ユリウス父さんは顔が真っ青になりまたボーと立っていた。
その様子を見ていた年配のメイドが(もしかしてカイト様は旦那様と奥様の昨夜の出来事を御存知なのでは…)
メイドは、はぁ…とため息をはき(まだ1歳を過ぎたカイト様がこの状況を理解していらっしゃるとは…先が楽しみの坊っちゃまです。)
メイドは感心している所へ扉にノックをする音が聞こえてきた。
「お早う御座います。母様カイ起きてますか?」
ユリーナ母さんの部屋に来たのはルカリオ兄だった。
ルカリオ兄は部屋を見回すと部屋にはユリウス父さんとユリーナ母さんと赤ん坊の俺とメイドが部屋にいるのを見て、ルカリオ兄は何故メイドが?と思ったが、俺のカイトの世話で居るのだろうと思ったはずだ。
「お早うルーちゃん、今日は早いのね朝食の準備はまだでしょう?」
ユリーナ母さんがルカリオ兄に朝ごはんの事を聞いてルカリオ兄は少し困ったような話をしていた。
「…メイド達の様子がおかしいんです…みんなボーとして、お皿を割ったり、何も無いところで倒れたり、後…立ったまま寝ているメイドを見た時は驚きました。何か有ったのですか?」
ルカリオ兄がユリウス父さんとユリーナ母さんとメイドを見て問い掛けているのを見て、ユリウス父さんは顔に手をあて、ユリーナ母さんは苦笑いをして、メイドは大きくため息を吐いていた。
「あ、後、声が夜に聞こえていたような気がして「ああ」といろんな声が聞こえてたんです。誰かの寝言かなと思い、他の兄姉に聞いたらみんな知っていたけど、怖くて部屋から出られないと言っていました。」
ユリウス父さんとユリーナ母さんはお互い顔を真っ赤になり、そしてメイドは額に手をやり首を振っていた。
ルカリオ兄は大人3人困った顔をしているのを見た後ベビーベッドの中で座っている俺に気付き近くに来て笑顔を見せていた。
「お早うカイ、今日も可愛いね」
ルカリオ兄が俺の頬を指で触っていると、ユリーナ母さんが話掛けてきた。
「ルーちゃん、カイちゃんね少しお話が出来るのよ」
「え!本当なの?母様、どんな事を話すの?」
「や!の言葉と父様の名前かしら…」
ユリーナ母さんは困った顔で話をした。
「……父様の名前…」
ルカリオ兄は残念そうな顔をしながら赤ん坊の俺の顔を見ていた
「……にぃ…」
俺はルカリオ兄に両手を差し伸べ名前を呼び抱っこをお願いした
俺の突然の行動でユリウス父さんとユリーナ母さんが驚いた顔をして、名前を呼ばれ手を出している俺に、一番驚いたのはルカリオ兄だった。
「母様、カイを抱っこしても良いですか?」
「え!?ええ……」
ベッドの中から赤ん坊の俺を抱き上げ、満面の笑みを見せる兄に俺は体を寄せ、ルカリオ兄の顔を見て微笑み兄の体温と微かな鼓動で、さっきまでの嫉妬のような感情でユリウス父さんとユリーナ母さんを見ていたのが嘘のようで、兄の腕の中で安心している自分がいる。








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