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俺は自分が造ったと思う森に一本の木に腰を下ろし光の玉と勇樹の追いかけっこを眺めていた。
目を閉じてみると鳥の声に何処からか水が流れる音が聞こえ俺と光の玉で造り出した森とは思えない程で驚いている所だ
暫くすると勇樹がふらふらと俺の所に戻り隣に座ってハァハァと息が荒く思わず俺は笑ってしまった。
「兄ちゃん笑うの酷くね、ハァハァ…あんの玉フョフョと翔んでる割にはすばしっこくて、すっげえムカつく!」
光の玉は勇樹を笑うかのように勇樹の前をぐるぐると回っていた
「運動神経の良い勇樹でもお手上げだな」
俺と勇樹は森の木々や草花をじっと見つめそして俺は向こうで残してきた両親の事を勇樹に聞いた。
「……父さんと母さんはどうなったんだ?」
「俺が死ぬまで父さんも母さんも健在だったよ……俺が先に死んでしまったんだ…。」
「先に…ってお前何歳で亡くなったんだ?」
「55歳だったかな……肺癌だったんだ…」
「……肺癌…って」
「兄ちゃんが死んで辞めていたタバコをしかも強いやつを吸い始めたんだ……タバコを吸わないと自分を落ち着かせたくて…優花や子供達そして父さんと母さんに最後まで迷惑を掛けてしまった……どうしょうもない父親で親不孝者だよ…。」
勇樹は話し終わると辛そうな顔をして、俯いていた。
俺は勇樹の頭をガシガシと触りコツンと俺の頭と勇樹の頭をくっ付け「俺達兄弟揃って親不孝だったな」と俺は勇樹に言った
「向こうで皆幸せに暮らして欲しいな」
「…うん、兄ちゃん」
俺と勇樹は暫く黙ったまま景色を眺めていた。
そんな俺達の姿を見ていたのか光の玉が俺に近付き肩の上に乗って動こうとはしなかった。
「……それにしても兄ちゃんそいつに随分と懐かれているよな」
「ハハハ何故なのか俺にも分からん」
「俺達の国の伝説みたいだな」
「伝説?」
「俺達の国ラクロス王国って言うんだけど、200年前にワイバーンの群れが襲い掛かったと歴史の書物に記載されていたんだ」
「ワイバーン?ワイバーンてあのゲームとか出てくる翼を持っている恐竜の事か?」
「うん、多分そうだと思うけど実際は見たこと無いけど、そのワイバーンを倒したのが俺達の先代と言われて、その先代の側には妖精がいたと言われているんだ」
俺はワイバーンと言う恐竜の名前を聞いただけでもこの世界は普通ではないんだと怖いと思ってしまった。



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