私が死んで後悔した人達へ~捨てられた侯爵夫人の一年間…振り向いてくれるのを待ち続けた~

クロユキ

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思い出の部屋

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アレックと医師は馬車の中で沈黙が続いていた。
医師は何も話さないアレックを見ていた。
(…アレック様が爵位を剥奪されるとは…アデライド様も悩まれて決めたのだろう…使用人となってパルリス家で働かなくてはならないと思うと…今はどんな気持ちだろう…)
アレックは馬車の窓から外の景色が変わるのを見ていた…
「お帰りなさいませ、旦那様、アラン様」
「ああ…」
「ただいま帰りました」
執事とメイド長に六人のメイド達の出迎えを受けたアレックは、三週間後には、自分を迎える事は無い事を感じ使用人となった自分を受け入れてくれるのか…不安が残っていた。
「…リカルド叔父さんが、三週間内に屋敷へ来ると思う…丁重にもてなしてくれ…」
「わかりました」
「…アレック様、私は帰りますが体調が悪いと思いましたらご連絡ください…」
「…わかった…今日はありがとう…」
「…何かありましたらご相談になります…」
「ああ…」
医師はアレックに声をかけ屋敷を出た。
「旦那様、お食事は…」
「頂こう…」
着替えを終えたアレックは、いつもの夕食を食べていた。
「……」
(……今日は…胸が押さえ付けられた傷みを感じ食事が出来ないと思っていたが…お腹が空いた…当主としての食事も終わってしまう…いつもの食事が有り難く思える……)
最近までエミリーに合わせ屋敷での食事をしていないアレックは、贅沢だったと思い目頭が熱くなり料理人達に心の中で感謝した…食事を終えたアレックは肖像画の部屋へと入り両親の肖像画の前で頭を下げた。
「……今日…親族の会議がありました…屋敷に残る事は出来たのですが…侯爵として跡を継ぐ事が出来ませんでした…ごめんなさい…俺は親不幸者です…ごめんなさい……」
アレックは両親の肖像画の前で涙を流し謝り続けていた。
自分の部屋へと戻ったアレックは、いつもの仕事用の机の椅子に座りぼんやりと部屋の周りを見渡していた。
「…この部屋も…叔父さんの部屋になるのか…」
アレックの父親が亡くなり、父の部屋をアレックが自分の部屋として過ごしていた。
「……よく父の部屋に行っていた…」

『アレック、またお父様の部屋に来て仕事の邪魔ですよ』
『お父様の部屋は良い匂いがするんだもん』
『ははは、そうか良い匂いがするのか?アレック』
『うん、色んな紙の匂いがするから好きだよ』
『そうか、アレックが大きくなった時に私の部屋をアレックの部屋にしょう』
『えっ、良いの!?』
『ああ、沢山勉強したらアレックの部屋にして良いぞ」
『え~~っ』
『まあっ、ふふふ』
『はははは』

「……」
アレックは両親との思い出のこの部屋を離れる日が来るとは思わなかった…



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