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ロイがいない事に気づき…
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「医師様、カイル王子の傷はどうですか?」
「花の棘を取り除いておりましたので、血も止まっていますから薬と傷の手当てを続けましたら治りも早いでしょう」
「はあ…安心しました」
「有り難う御座います。医師様」
カイル王子の治療を終え、クレア嬢とマリユスは笑顔で安堵していた。
「大袈裟だな、花の棘ぐらいで手を怪我しただけで」
「カイル様!毒を持ちます花もあるのです」
「へえ~っ、城内の庭園は毒の花でも植えているのか?」
「ど!?」
「冗談だ!」
「はぁ…カイル様…私で遊ばないで下さい…」
「ふふふ、仲が宜しくて羨ましいですわ」
カイル王子が座るソファーに会話が途切れない姿をジッと見ていたアリ-ヌ嬢にメイドのミレイが声をかけた。
「…お嬢様…」
「……カイル様とお話しができると思っていたのだけれど…今のカイル様は少し遠くに見えてくるわ…」
「お嬢様…」
座るソファーが遠くに感じているアリ-ヌ嬢はふと…周りを見渡していた。
「お嬢様?何かお探しですか?」
「ミレイ、彼が…ロイ様がいないの」
「えっ!?……いつ部屋を出られたのでしょう?」
周りを見渡すメイドのミレイは、ロイが部屋の中にいない事を確認するとアリ-ヌ嬢の耳元へ声を出した。
「お嬢様、カイル様も知らないのではないでしょうか?」
「…そうね…」
アリ-ヌ嬢は医師から包帯を巻いて貰っているカイル王子へと顔を向けると、ため息を吐く姿を見ていた時視線を感じたカイル王子がアリ-ヌ嬢へ目を向けた。
「あ…」
「アリ-ヌ嬢…庭園へ行く事が出来なくなってしまった」
「いえ…あの、傷の方はどうなのですか?」
「ああ、医師がつけた塗り薬が滲みるだけだが…痛っ!医師、もう少し包帯を巻く力を緩めてくれ」
「カイル様が動きますから」
「ロイ君は俺が動いても優しく手当てをしてくれた…ロイ君?」
カイル王子は部屋の周りにロイがいない事に気づいた。
「ロイ君?…とはどなたの事ですか?」
「俺の親友だ!傷の手当てをしてくれた」
「騎士学校の生徒だそうです。カイル様の親友だと言われまして今日私は初めて知りました」
「マリユス様が知らないとは、それでその彼は何処にいるのですか?」
「さっきまで扉の側に…」
「闘技場へ向かわれたのでは?今試合を行われていると思いますから、それよりお部屋でのお茶会をなさってはいかがですか?」
「まあ、カイル王子の部屋でお茶会ですか?!」
「はい、庭園の続きを致しましょう」
マリユスはクレア嬢に部屋の中で会話の続きをする事を話していた時、カイル王子がソファーから立ち上がる姿に驚いた。
「カイル様?まだ包帯が巻き終えておりません」
「包帯はいい、お茶会をするならお前達だけしたらいい俺は席を外す」
「は?!」
ソファーを離れ令嬢達に声をかけずにカイル王子は部屋を出た。
突然の事で驚くマリユスとクレア嬢そして医師は、部屋を出た扉を呆然とした様子で見ていると、向かいのソファーで座っていたアリ-ヌ嬢が席を立ち声をかけた。
「わたくしもこれで失礼致します。行きましょうミレイ」
「えっ!あ、はいっ、お嬢様…」
アリ-ヌ嬢とメイドが部屋を出る姿を挨拶をするのを忘れる程暫く無言が続いていた。
「花の棘を取り除いておりましたので、血も止まっていますから薬と傷の手当てを続けましたら治りも早いでしょう」
「はあ…安心しました」
「有り難う御座います。医師様」
カイル王子の治療を終え、クレア嬢とマリユスは笑顔で安堵していた。
「大袈裟だな、花の棘ぐらいで手を怪我しただけで」
「カイル様!毒を持ちます花もあるのです」
「へえ~っ、城内の庭園は毒の花でも植えているのか?」
「ど!?」
「冗談だ!」
「はぁ…カイル様…私で遊ばないで下さい…」
「ふふふ、仲が宜しくて羨ましいですわ」
カイル王子が座るソファーに会話が途切れない姿をジッと見ていたアリ-ヌ嬢にメイドのミレイが声をかけた。
「…お嬢様…」
「……カイル様とお話しができると思っていたのだけれど…今のカイル様は少し遠くに見えてくるわ…」
「お嬢様…」
座るソファーが遠くに感じているアリ-ヌ嬢はふと…周りを見渡していた。
「お嬢様?何かお探しですか?」
「ミレイ、彼が…ロイ様がいないの」
「えっ!?……いつ部屋を出られたのでしょう?」
周りを見渡すメイドのミレイは、ロイが部屋の中にいない事を確認するとアリ-ヌ嬢の耳元へ声を出した。
「お嬢様、カイル様も知らないのではないでしょうか?」
「…そうね…」
アリ-ヌ嬢は医師から包帯を巻いて貰っているカイル王子へと顔を向けると、ため息を吐く姿を見ていた時視線を感じたカイル王子がアリ-ヌ嬢へ目を向けた。
「あ…」
「アリ-ヌ嬢…庭園へ行く事が出来なくなってしまった」
「いえ…あの、傷の方はどうなのですか?」
「ああ、医師がつけた塗り薬が滲みるだけだが…痛っ!医師、もう少し包帯を巻く力を緩めてくれ」
「カイル様が動きますから」
「ロイ君は俺が動いても優しく手当てをしてくれた…ロイ君?」
カイル王子は部屋の周りにロイがいない事に気づいた。
「ロイ君?…とはどなたの事ですか?」
「俺の親友だ!傷の手当てをしてくれた」
「騎士学校の生徒だそうです。カイル様の親友だと言われまして今日私は初めて知りました」
「マリユス様が知らないとは、それでその彼は何処にいるのですか?」
「さっきまで扉の側に…」
「闘技場へ向かわれたのでは?今試合を行われていると思いますから、それよりお部屋でのお茶会をなさってはいかがですか?」
「まあ、カイル王子の部屋でお茶会ですか?!」
「はい、庭園の続きを致しましょう」
マリユスはクレア嬢に部屋の中で会話の続きをする事を話していた時、カイル王子がソファーから立ち上がる姿に驚いた。
「カイル様?まだ包帯が巻き終えておりません」
「包帯はいい、お茶会をするならお前達だけしたらいい俺は席を外す」
「は?!」
ソファーを離れ令嬢達に声をかけずにカイル王子は部屋を出た。
突然の事で驚くマリユスとクレア嬢そして医師は、部屋を出た扉を呆然とした様子で見ていると、向かいのソファーで座っていたアリ-ヌ嬢が席を立ち声をかけた。
「わたくしもこれで失礼致します。行きましょうミレイ」
「えっ!あ、はいっ、お嬢様…」
アリ-ヌ嬢とメイドが部屋を出る姿を挨拶をするのを忘れる程暫く無言が続いていた。
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