上 下
60 / 88

不思議なベッド②

しおりを挟む
「はあ~~っ、疲れた~~っ」
カイル王子が、ベッドの上で飛びはねて遊びゴロンと体を仰向けになった。満足したのか笑顔でベッドの上に寝る姿を見ていた僕は、ベッドが揺れるたびに体がグラグラと動くからベッドから落ちないように必死でドッ…と疲れていた……
「ロイ君も楽しんだ?」
「……」
「ははは、そんな所まで動いたんだ。あんまり下がるとベッドから落ちるよ、俺の側に来て」
「えっ、はい……」
僕は小さく息を吐き動くたびにブルブルと揺れるベッドを見てカイル王子に声をかけた。
「……あの…カイル王子、ベッドから降りて移動しても良いでしょうか?」
「ベッドから降りたら楽しくないよ、そのままベッドの上を動いて来て」
「……」
(……何がなんでもこの人は僕の困る顔が見たいのか?)
僕は、小さな子供が這うように揺れるベッドの上をグラグラと進みトン!と何か頭に当たり、顔を上げると目の前にはカイル王子がいつの間にかベッドの真ん中に座っていた。
「ロイ君も一緒にごろ寝しょう!」
「えっ!?うあっ!」
グラグラと動くベッドにカイル王子が体を仰向けに成って寝るとポンポンと、隣を叩くベッドの上を僕はカイル王子の隣に寝るのだろうか?!…と、硬直したように動けずにいた。
「ほら、ロイ君も一緒に寝よう」
「……寝るのですか?」
「そうだよ、そんなに警戒しなくて良いから遠慮しないで制服が出来るまでゆっくりしょう」
「……」
仰向けで両手を後ろの頭に置き目を閉じるカイル王子を見て僕は少し離れて隣に座りブルブルと揺れながら体を横になり、色んな感情が混ざったようにドキドキと心臓がうるさく鳴り、暑くも無いのに汗が滲み出ていた……
(……まさか、カイル王子と同じベッドで横になるなんて思わなかった…それも普通のベッドでは無いからユラユラと揺れて面白いけど、こんな所を他の人に見られたらどうしょう…勝手に扉を開ける事は無いと思うけど、男同士だから別に見られても……)
僕は、隣で目を閉じて揺れるベッドに和んでいるカイル王子の横顔を見ていた。
(…カイル王子の最初の出会いが普通でないから余計に気になってしまう……)
僕は、カイル王子の横顔を見た後僕も目を閉じベッドの揺れに和んでいた。









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

【BL】酔った勢いで抱かれちゃいました

笹山もちもち
BL
楽しいお酒で珍しく足元が心許なくなるまで飲んだ僕。 自宅まで送ってくれた藤木くんに何故か服を脱がされて…? サラっと軽く読めるエロssになる予定です。

【完結】運命さんこんにちは、さようなら

ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。 とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。 ========== 完結しました。ありがとうございました。

Ωの皇妃

永峯 祥司
BL
転生者の男は皇后となる運命を背負った。しかし、その運命は「転移者」の少女によって狂い始める──一度狂った歯車は、もう止められない。

王子様と魔法は取り扱いが難しい

南方まいこ
BL
とある舞踏会に出席したレジェ、そこで幼馴染に出会い、挨拶を交わしたのが運の尽き、おかしな魔道具が陳列する室内へと潜入し、うっかり触れた魔具の魔法が発動してしまう。 特殊な魔法がかかったレジェは、みるみるうちに体が縮み、十歳前後の身体になってしまい、元に戻る方法を探し始めるが、ちょっとした誤解から、幼馴染の行動がおかしな方向へ、更には過保護な執事も加わり、色々と面倒なことに――。 ※濃縮版

チャラ男会計目指しました

岬ゆづ
BL
編入試験の時に出会った、あの人のタイプの人になれるように………… ――――――それを目指して1年3ヶ月 英華学園に高等部から編入した齋木 葵《サイキ アオイ 》は念願のチャラ男会計になれた 意中の相手に好きになってもらうためにチャラ男会計を目指した素は真面目で素直な主人公が王道学園でがんばる話です。 ※この小説はBL小説です。 苦手な方は見ないようにお願いします。 ※コメントでの誹謗中傷はお控えください。 初執筆初投稿のため、至らない点が多いと思いますが、よろしくお願いします。 他サイトにも掲載しています。

【完結】浮薄な文官は嘘をつく

七咲陸
BL
『薄幸文官志望は嘘をつく』 続編。 イヴ=スタームは王立騎士団の経理部の文官であった。 父に「スターム家再興のため、カシミール=グランティーノに近づき、篭絡し、金を引き出せ」と命令を受ける。 イヴはスターム家特有の治癒の力を使って、頭痛に悩んでいたカシミールに近づくことに成功してしまう。 カシミールに、「どうして俺の治癒をするのか教えてくれ」と言われ、焦ったイヴは『カシミールを好きだから』と嘘をついてしまった。 そう、これは─── 浮薄で、浅はかな文官が、嘘をついたせいで全てを失った物語。 □『薄幸文官志望は嘘をつく』を読まなくても出来る限り大丈夫なようにしています。 □全17話

アダルトショップでオナホになった俺

ミヒロ
BL
初めて同士の長年の交際をしていた彼氏と喧嘩別れした弘樹。 覚えてしまった快楽に負け、彼女へのプレゼントというていで、と自分を慰める為にアダルトショップに行ったものの。 バイブやローションの品定めしていた弘樹自身が客や後には店員にオナホになる話し。 ※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)

処理中です...