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カイル王子に見つかった!

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騎士と学生達の大勢の中に隠れるように闘技場内に入ったロイはホッと息を吐き気分を落ち着かせていた。
「ロイ、大丈夫か?」
「大丈夫だトム、ありがとう」
隣に立つトムが心配そうな顔で僕を見ていた。
「まさか、あの兄ちゃんが王子様だったなんて驚いたなロイ」
「……うん」
「カイル王子の噂話は聞いた事がある。披露宴パーティーとか舞踏会とか、その他の行事を出るのがキライな王子様って噂に成っていたな…俺なんて喜んで行くけどな~っ、綺麗なドレスを着た女の子が沢山いてさ…」
「トムは舞踏会に行った事はあるの?」
「うーん、行った事はあるけどさ俺、ダンスが下手なんで女の子の足を踏んで怒らせた事があってから行って無いかな……」
「トムがダンスを?!」
「そんな『意外だ』って顔をするなよ、ロイも舞踏会行った事あるだろう?!」
「……僕は…屋敷で留守番なんだ」
「は?留守番?!……家族で行くだろう?舞踏会…あ……」
トムは途中で話しを止めると、僕が以前家族の話しをしていたのを思い出したようで困った顔をしていた…
(そんな顔をしなくても良いのに……)
「でも僕は舞踏会に披露宴がある方が良いんだ」
「え?なんで?!ロイは……その…行けないんだろう?舞踏会とか……」
「家族が屋敷を留守になった時が僕の自由時間なんだ」
「!」
「父や兄弟が居ない時は本が読めるんだ。普段は自由に本を読む事が出来ないんだ…僕が本を読むのを父は嫌いで兄達に見つかった時は本を取り上げ破ってしまう時が何度もあったんだ」
「破っ?!」
ガヤガヤ、ザワザワと騎士と生徒がいる周りをこの人混みの中で居るかもしれない兄達を考えると胸が苦しくなった…
「ちょっ……それはやり過ぎだろう?本を読むなと言うのもおかしいと言うか……」
「僕の家系は騎士だから…本の道へ進むと父に話しをした時から兄達の剣稽古が厳しく成って行ったんだ……」
「……ロイ、お前本当は騎士じゃなく…」
トムは僕が本の道へと聞いて…途中で声がつまる姿を見て僕は笑顔を向けた。
「でも僕は騎士学校に入って良かったと思っているんだ。此処に居れば好きなだけ本が読めるし、トムにも出会えたんだ」
「……ロイ」
グスッと鼻に指先を擦るトムはニカッと笑顔を見せてくれた。
「へへへ、今度一緒に本を読もうぜ!」
「うん、僕もトムと一緒に木刀の練習に付き合っても良いかな?」
「おう、いつでも良いぜ」
僕達はお互い好きな物の交換のように笑っていた時、トムが驚いた目をして僕の後ろに指を差して口元がパクパクと動いていた
「トム?何?」
「……あ……あ……ロ、ロイ……」
「…へぇ……『ロイ』って名前なんだ」
「えっ!?」
僕の横にいつの間にか立つているカイル王子に驚いて僕の手を掴んだ!
「!?え……な……」
「トム君と言っていたね~ロイ君を少し借りて行くね!」
ニコッと笑顔をトムに向けたカイル王子は、僕の手を引っ張り大勢いる騎士と生徒の中を歩き、僕は頭の中が真っ白になっていた
「……え?…ええっ!?ロ、ロイが…カイル王子に拐われた!?」










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