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第三騎士団ライト・グロース⑭
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「今日も任務前に会えなかった……本当に俺を避けているのだろうか…でもあの日はいつものライトだった……」
毎朝ライト騎士はフレック騎士に会いに来ていたが、数日前からフレック騎士はライト騎士に会えずにいた。
その頃ライト騎士は城の庭園でカイル王子を待っていた。
「また来ちゃったな…昨日もその前も早く来て待っていたんだけど来なかったな……カイル王子」
木々の茂みに隠れたように体を隠したライト騎士はカイル王子が来るのを待っていた。
「はぁ…今日も会えないかな…あの時は偶然にカイル王子がこの庭園と思う場所で本を読んでいた時だったから、毎日この場所に来れば会えるかなと思って来ているのに…会えないなんて……
初めてカイル王子を見た時はイヤな王子だと思っていたのに…僕カイル王子の事を……」
ポッと頬が熱くなるライト騎士は手で頬を触りカイル王子の事を考えていた時だった。コッコッと歩く足音が聞こえいつものテーブルの椅子に座るカイル王子がいた。
(!!カイル王子が来てくれた)
ライト騎士はポポポと顔が赤くなり、木々の隙間から見る姿は男とは思えない仕草をしていた。
「……はぁ…」
(……?)
カイル王子はテーブルに肘をつき手で顔を支えるとボーとしては何度もため息を吐いていた。
(カイル王子どうしたのかな?今日は本を持たずにただボーとしてため息を吐いて…何かあったのかな……でも、思い詰めるカイル王子も素敵だな…)
「お話ししたいな…僕が慰めてあげるのに」
上の空のように黙って座るカイル王子にライト騎士も「はぁ…」と小さく息を吐いていた。
ライト騎士は久しぶりにカイル王子を見て第三騎士部屋に戻る為廊下を歩いていた。
「ライト!?」
前の方からフレック騎士の姿が見えライト騎士は笑顔を向けた。
「フレックさん、おはようございます」
「あ、ああ、おはよう…ライトこんな早くに何処に行っていたんだ?」
「散歩ですよフレックさん」
「散歩?…そうか…」
「僕、戻らないと失礼しますね」
ニコッと笑顔を見せライト騎士がフレック騎士の側を離れた時だった。
「ラ、ライト!…聞きたい事があるんだ」
「聞きたい事ですか?」
首をコテッと横に向けるライト騎士にフレック騎士は「ふぅ…」と小さく息を吐き話し始めた。
「……その…ライトはグロース家の家名なのか?」
(い、言ってしまった…ライトは……)
気まずそうな顔を見せるフレック騎士に対しライト騎士は笑顔を見せていた。
「はい、そうですが僕がグロース家の人間だと聞いて何かあるのですか?」
「えっ…いや何も無いんだが…すまない家名の事を尋ねてしまって……」
「ふふっ、別に良いですよ。僕に兄が二人いますと言った事を覚えていますか?フレックさん」
「ああ、サミエル隊長とジャック副隊長がライトの兄だと……」
「ふふっ、自慢の兄達なんです」
「……」
「あっ、僕この前サミエル兄さんに好きな人がいますと言いました」
「!」
「でも安心して下さい、名前は言っていません。僕とお付き合いしている人の名前を言うとサミエル兄さんが来てしまうんです」
「サミエル隊長が来る?」
「ふふっ、弟と付き合う人が気になるようで兄が認めないとお付き合いが出来ないんです。僕、フレックさんの前に数名お付き合いした人達がいたのですが、サミエル兄さんに認めて貰えなくて別れてしまったんです。困った兄さんなんですよ」
「……」
クスクスと笑うライト騎士にフレック騎士は何も言えずにいた。
「あっ、でもフレックさん安心して下さい。僕、フレックさんと別れますから、あれ?そう言えば僕達ってお付き合いしていました?」
「……は?」
ニコッと別れ話を笑顔で話しをするライト騎士にフレック騎士は呆然としていた。
毎朝ライト騎士はフレック騎士に会いに来ていたが、数日前からフレック騎士はライト騎士に会えずにいた。
その頃ライト騎士は城の庭園でカイル王子を待っていた。
「また来ちゃったな…昨日もその前も早く来て待っていたんだけど来なかったな……カイル王子」
木々の茂みに隠れたように体を隠したライト騎士はカイル王子が来るのを待っていた。
「はぁ…今日も会えないかな…あの時は偶然にカイル王子がこの庭園と思う場所で本を読んでいた時だったから、毎日この場所に来れば会えるかなと思って来ているのに…会えないなんて……
初めてカイル王子を見た時はイヤな王子だと思っていたのに…僕カイル王子の事を……」
ポッと頬が熱くなるライト騎士は手で頬を触りカイル王子の事を考えていた時だった。コッコッと歩く足音が聞こえいつものテーブルの椅子に座るカイル王子がいた。
(!!カイル王子が来てくれた)
ライト騎士はポポポと顔が赤くなり、木々の隙間から見る姿は男とは思えない仕草をしていた。
「……はぁ…」
(……?)
カイル王子はテーブルに肘をつき手で顔を支えるとボーとしては何度もため息を吐いていた。
(カイル王子どうしたのかな?今日は本を持たずにただボーとしてため息を吐いて…何かあったのかな……でも、思い詰めるカイル王子も素敵だな…)
「お話ししたいな…僕が慰めてあげるのに」
上の空のように黙って座るカイル王子にライト騎士も「はぁ…」と小さく息を吐いていた。
ライト騎士は久しぶりにカイル王子を見て第三騎士部屋に戻る為廊下を歩いていた。
「ライト!?」
前の方からフレック騎士の姿が見えライト騎士は笑顔を向けた。
「フレックさん、おはようございます」
「あ、ああ、おはよう…ライトこんな早くに何処に行っていたんだ?」
「散歩ですよフレックさん」
「散歩?…そうか…」
「僕、戻らないと失礼しますね」
ニコッと笑顔を見せライト騎士がフレック騎士の側を離れた時だった。
「ラ、ライト!…聞きたい事があるんだ」
「聞きたい事ですか?」
首をコテッと横に向けるライト騎士にフレック騎士は「ふぅ…」と小さく息を吐き話し始めた。
「……その…ライトはグロース家の家名なのか?」
(い、言ってしまった…ライトは……)
気まずそうな顔を見せるフレック騎士に対しライト騎士は笑顔を見せていた。
「はい、そうですが僕がグロース家の人間だと聞いて何かあるのですか?」
「えっ…いや何も無いんだが…すまない家名の事を尋ねてしまって……」
「ふふっ、別に良いですよ。僕に兄が二人いますと言った事を覚えていますか?フレックさん」
「ああ、サミエル隊長とジャック副隊長がライトの兄だと……」
「ふふっ、自慢の兄達なんです」
「……」
「あっ、僕この前サミエル兄さんに好きな人がいますと言いました」
「!」
「でも安心して下さい、名前は言っていません。僕とお付き合いしている人の名前を言うとサミエル兄さんが来てしまうんです」
「サミエル隊長が来る?」
「ふふっ、弟と付き合う人が気になるようで兄が認めないとお付き合いが出来ないんです。僕、フレックさんの前に数名お付き合いした人達がいたのですが、サミエル兄さんに認めて貰えなくて別れてしまったんです。困った兄さんなんですよ」
「……」
クスクスと笑うライト騎士にフレック騎士は何も言えずにいた。
「あっ、でもフレックさん安心して下さい。僕、フレックさんと別れますから、あれ?そう言えば僕達ってお付き合いしていました?」
「……は?」
ニコッと別れ話を笑顔で話しをするライト騎士にフレック騎士は呆然としていた。
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