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第三騎士団ライト・グロース⑥
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城内では騎士寮が分かれて建っている。城から少し離れた場所に建っ騎士学校がある騎士寮と、騎士として城に上がり務める騎士団達の騎士寮がある。フレック騎士とジョエル騎士は城内に建っ騎士寮で生活をしている。
コンコン!
「ジョエル、俺だが居るのか?」
「ああ、入って良いぞ」
フレック騎士は私服姿でジョエル騎士の部屋へ入った。
「……今日は非番だったなお前、出掛けるのか?」
「あ、ああ……」
「……」
合同練習が合った日からフレック騎士はライト騎士と会う日が多くなり、いつも一緒に行動していたジョエル騎士と外出する事が減っていた。
「……フレック、聞きたい事があるけどいいか?」
「え……あ、ああ」
「お前…第三騎士団のライトと付き合っているのか?」
「……あ、まだ俺達はそこまでいっていない…」
(『俺達』って言うんだなこいつ……)
「お前達のどちらか付き合う話しが出たら付き合うのか?」
「……」
「……お前、俺に話しがあると言っていたのはライトと付き合う話しを俺に言うつもりだったんじゃないのか?」
フレック騎士はジョエル騎士の真っ直ぐな目を見てフレック騎士は何も言えずにいた。
「ふぅ……悪かったまだはっきりと決める事が出来ないお前に聞くのは早すぎたな…アイツと付き合う事に成ったら一番に俺に言ってくれよな」
「……ジョエル」
「出掛けるんだろう?早く行けよ」
「……ああ、分かった」
気まずさを残しジョエル騎士の部屋を出たフレック騎士に、騎士服を途中まで着ていたジョエル騎士は、近くにある椅子に座り沈む自分の気持ちに気付いた。
「はぁ……今になってあいつへの想いに気付くなんてな…自分の気持ちを伝える前にフラれるなんて……フレックを応援して上げたいが、ライトとは付き合って欲しく無いのが本音だ」
ジョエル騎士は両手を顔にやりモヤモヤとした物が消えず、このまま何も無い事を願いフレック騎士を想う気持ちを隠し、今まで通り親友として接する事を誓った。
フレック騎士がジョエル騎士の部屋を出た頃、ライト騎士の屋敷グロース家ではライト騎士が出掛ける準備をしていた。
「出掛けるのか?ライト」
「ジャック兄さん、屋敷へ帰ってたんだね」
「ああ、今日は休みだ今から寝る所だ」
「あれ?サミエル兄さんは?」
「城内に居る、書類の整理をすると言っていたな」
「ジャック兄さんは手伝わなくて良いの?」
「俺は書類の整理より騎士の相手をする方が楽だ。騎士で思い出したがお前に偉そうな事を言っている騎士が居ると話していたな、今どうしている?俺が相手をしてやるぞ」
「ふふっ、その騎士辞めて行ったよジャック兄さん。僕がグロース家だと知らなかったみたいで脅してやると真っ青な顔でガタガタと震えて見物だったよ」
クスクスと笑いライト騎士は辞めた騎士仲間を思い出していた。
「俺も見てみたかったなそいつの顔、お前もすっかりグロース家の人間だな」
「これでも僕は抑えていた方だよ同じ新人同士だったからね。小言が煩かったんだ。僕が先輩達と話していると『木刀の持ち運びが終わって居ないのに何を遊んでいるのか』とか『手入れが雑だ』とか言っていたんだよ、その上『打ち込みが下手だ』と言われたら僕も怒るよ」
「まあ、打ち込みはまだまだだけどな」
「もう、ジャック兄さんまであの三番目の兄さんより僕の方が剣技は上だよ」
「そのロイだが何も聞かないか?」
「知らないよ、騎士学校でも役立たずの兄さんで通ってるんじゃないの?あっ!僕出掛けないと遅くなると待たせて可哀想だから」
「ああっ、そうだな今度の奴は長いなお前も本気になったのか?」
「うーん、先輩に好きって言ったんだけどまだちゃんとお付き合いはしていないんだ。優しい先輩ではあるけどね」
「珍しいな今までお気に入りだった奴にはすぐ付き合っていたのにな、やけに慎重だな」
「だって、サミエル兄さんに紹介して兄さんからダメだと言われたらイヤだもん、だからまだサミエル兄さんには先輩の事はまだ言わないんだ。前の彼は付き合って一週間でダメに成ったんだよ顔は良かったんだけど、サミエル兄さんから木刀を突き付けただけで僕の元を去った人だったからちょっとガッカリしたよ」
「ハハハ!そうだったな顔が真っ青になり腰抜かして走って逃げた奴だったな」
「もうジャック兄さん、あんな彼でも僕の彼氏だったんだから。あ~あっ、こんなことなら沢山買って貰っていれば良かったな」
「まあ、金は持っていた伯爵家だったな」
「あっ!僕そろそろ行かなきゃ」
「余りねだるなよ」
「エヘヘ」
ライト騎士は屋敷を出るとフレック騎士が待っ場所へと行き兄ジャックは自分の部屋へと向かった。
「久しぶりにアイツの名前を出したな、今度学校へ行ってみるか」
ジャックは部屋へ入るとメイドが一人扉の側に立ち震えていた。
「待たせたな、今日は長くなりそうだ」
「……ぅぅ……」
震えるメイドの手を掴みジャックはベッドの方へと足を向けた。
コンコン!
「ジョエル、俺だが居るのか?」
「ああ、入って良いぞ」
フレック騎士は私服姿でジョエル騎士の部屋へ入った。
「……今日は非番だったなお前、出掛けるのか?」
「あ、ああ……」
「……」
合同練習が合った日からフレック騎士はライト騎士と会う日が多くなり、いつも一緒に行動していたジョエル騎士と外出する事が減っていた。
「……フレック、聞きたい事があるけどいいか?」
「え……あ、ああ」
「お前…第三騎士団のライトと付き合っているのか?」
「……あ、まだ俺達はそこまでいっていない…」
(『俺達』って言うんだなこいつ……)
「お前達のどちらか付き合う話しが出たら付き合うのか?」
「……」
「……お前、俺に話しがあると言っていたのはライトと付き合う話しを俺に言うつもりだったんじゃないのか?」
フレック騎士はジョエル騎士の真っ直ぐな目を見てフレック騎士は何も言えずにいた。
「ふぅ……悪かったまだはっきりと決める事が出来ないお前に聞くのは早すぎたな…アイツと付き合う事に成ったら一番に俺に言ってくれよな」
「……ジョエル」
「出掛けるんだろう?早く行けよ」
「……ああ、分かった」
気まずさを残しジョエル騎士の部屋を出たフレック騎士に、騎士服を途中まで着ていたジョエル騎士は、近くにある椅子に座り沈む自分の気持ちに気付いた。
「はぁ……今になってあいつへの想いに気付くなんてな…自分の気持ちを伝える前にフラれるなんて……フレックを応援して上げたいが、ライトとは付き合って欲しく無いのが本音だ」
ジョエル騎士は両手を顔にやりモヤモヤとした物が消えず、このまま何も無い事を願いフレック騎士を想う気持ちを隠し、今まで通り親友として接する事を誓った。
フレック騎士がジョエル騎士の部屋を出た頃、ライト騎士の屋敷グロース家ではライト騎士が出掛ける準備をしていた。
「出掛けるのか?ライト」
「ジャック兄さん、屋敷へ帰ってたんだね」
「ああ、今日は休みだ今から寝る所だ」
「あれ?サミエル兄さんは?」
「城内に居る、書類の整理をすると言っていたな」
「ジャック兄さんは手伝わなくて良いの?」
「俺は書類の整理より騎士の相手をする方が楽だ。騎士で思い出したがお前に偉そうな事を言っている騎士が居ると話していたな、今どうしている?俺が相手をしてやるぞ」
「ふふっ、その騎士辞めて行ったよジャック兄さん。僕がグロース家だと知らなかったみたいで脅してやると真っ青な顔でガタガタと震えて見物だったよ」
クスクスと笑いライト騎士は辞めた騎士仲間を思い出していた。
「俺も見てみたかったなそいつの顔、お前もすっかりグロース家の人間だな」
「これでも僕は抑えていた方だよ同じ新人同士だったからね。小言が煩かったんだ。僕が先輩達と話していると『木刀の持ち運びが終わって居ないのに何を遊んでいるのか』とか『手入れが雑だ』とか言っていたんだよ、その上『打ち込みが下手だ』と言われたら僕も怒るよ」
「まあ、打ち込みはまだまだだけどな」
「もう、ジャック兄さんまであの三番目の兄さんより僕の方が剣技は上だよ」
「そのロイだが何も聞かないか?」
「知らないよ、騎士学校でも役立たずの兄さんで通ってるんじゃないの?あっ!僕出掛けないと遅くなると待たせて可哀想だから」
「ああっ、そうだな今度の奴は長いなお前も本気になったのか?」
「うーん、先輩に好きって言ったんだけどまだちゃんとお付き合いはしていないんだ。優しい先輩ではあるけどね」
「珍しいな今までお気に入りだった奴にはすぐ付き合っていたのにな、やけに慎重だな」
「だって、サミエル兄さんに紹介して兄さんからダメだと言われたらイヤだもん、だからまだサミエル兄さんには先輩の事はまだ言わないんだ。前の彼は付き合って一週間でダメに成ったんだよ顔は良かったんだけど、サミエル兄さんから木刀を突き付けただけで僕の元を去った人だったからちょっとガッカリしたよ」
「ハハハ!そうだったな顔が真っ青になり腰抜かして走って逃げた奴だったな」
「もうジャック兄さん、あんな彼でも僕の彼氏だったんだから。あ~あっ、こんなことなら沢山買って貰っていれば良かったな」
「まあ、金は持っていた伯爵家だったな」
「あっ!僕そろそろ行かなきゃ」
「余りねだるなよ」
「エヘヘ」
ライト騎士は屋敷を出るとフレック騎士が待っ場所へと行き兄ジャックは自分の部屋へと向かった。
「久しぶりにアイツの名前を出したな、今度学校へ行ってみるか」
ジャックは部屋へ入るとメイドが一人扉の側に立ち震えていた。
「待たせたな、今日は長くなりそうだ」
「……ぅぅ……」
震えるメイドの手を掴みジャックはベッドの方へと足を向けた。
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