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騎士学校の生活が始まった④

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「おばちゃーん、目が滲みる~~っ!」
「あらあら、このお野菜は冷たい水で丸ごとそのまま水につけた後で切るようにと言ったばかりでしょ」
「へ、そうだっけ?泣きながら切る野菜なんて聞いた事も無いよ~っ」
「ぶっ」
くるっと振り向き後ろをムッとした顔で見るトムが幾つもあるテーブルの椅子に座っている僕に声を掛けた。
「笑ったなロイ、見てろ完璧にこの野菜を切ってやる」
「はは、そんなムキにならなくても…ははは」
「ロイ君、笑顔が戻って良かった」
「ヨナさん……」
カタッ、と僕が椅子に座っているテーブルの前でヨナさんが椅子に座り僕の顔を見て安堵の様子で見ていた。
「……すみません、突然泣いて…恥ずかしい所を見せてしまいました」
「いいのよ、私の前で気を使わなくても私で良かったらいつでもお話しは聞くわよ」
「…僕の話しはヨナさんが聞いたら僕の事が嫌になるかも…」
「どうして私がロイ君のお話しを聞いてロイ君の事を嫌になるの?この騎士寮ではみんなが私の息子達なのよ、この騎士寮を離れて騎士に成った子達も、時々私に会いに来てお話しをしてくれる子達は沢山いるわよ。ロイ君と同じように話したくても胸の内に閉ざしてしまう騎士の子達は沢山いるわ。今、言えなくても私はいつでもロイ君の味方よ」
「俺もロイの味方だぞ、ううっ、涙が止まんないよ~っ」
野菜を切りながらポロポロと涙を流すトムを見て、ヨナさんと僕は笑っていた。
「……ヨナさん、僕の話しを聞いてくれますか」
「ええ、良いわよ」
「……僕には兄二人と弟が一人の四人兄弟で、父親は一緒なのですが母親が違います。兄二人の母親は一緒ですが僕と弟の母親は違います。兄の母親と弟の母親は仲が良くて一緒に屋敷に住んで居るのですが…僕の母は屋敷から追い出され別邸へ移されました。
母は、父の屋敷で働いていたメイドで父の気まぐれで僕を身籠ったと兄から聞いた事がありました。
母は僕を生んでからもメイドとして働き、貴族として父からも兄弟の母親達からも認めて貰えず病んでしまって……
父は母と別れるのを嫌い、母を別邸へと住まわせました。
僕は母と引き離され屋敷に残ったのですが、騎士の家系でもある為厳しい稽古が続き僕はそれに耐えるのに必死でした…
僕は父と兄達に隠れて母に会いに行くのが何よりも心の支えでした」
「うおおおぉぉおお~~っ!!」
「「!?」」
ビクッと僕とヨナさんが驚き、突然トムが大きな声で泣きながら野菜を切るトムの姿を見て、僕はヨナさんに話せた事で少し気が楽に成った。





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