勇者と闇の魔法使い

魔法使いのショウが怖い

パチパチ…と木の枝を拾い集め火を灯し二人の男が無言のまま焚き火に寄り添っていた。
勇者アランは、魔法使いのショウに聞いてはいけない事を聞いてしまった事で、少し前までは話しをしてくれていたショウがまったく話さなくなり、また気まずい雰囲気の逆戻りと成ってしまっていた。
「……あ、明日は夜が明けた頃にこの場所から出発をしたいと思って居るんだ…それで良いかな？ショウ……」
「……ああっ、アランさんに従うよ」
明日出発の時刻を魔法使いのショウに伝え返事を貰ったがまた無言のまま焚き火を見続ける勇者アランとやはり何も話しては来ない魔法使いのショウだった。
「……」
「……」
勇者アランはこんなに人と話しをする事が出来ないとは思いもしていない為魔法使いのショウが「他にも自分と同じ魔法使いが居る」と言っていた事を思い出しショウの他も同じなのだろうかと思いショウに訪ねる事にした。
「…あの、ショウ…他の魔法使いもショウと同じで人と会話をする事が苦手なのですか？」
「……他の皆は僕とは違い人との会話を楽しんでいる者が多いんだ…僕達の体は仕事を終えた後体力の回復をするため眠りに入るけど……仲間の皆は眠る事が浅く直ぐに行動を取る者が多い、だけど僕の場合眠りが深く１００年または１５０年は眠りに付いたままが多いんだ。」
「１５０年！？」
勇者アランはショウから１５０年眠ると聞かされもう人間では無いと思う気持ちが強くこのままショウと一緒に行動が出来るのかと、不安で今回の仕事がショウでは無く他の魔法使いが良かったのにと勇者アランは思い始めショウに分からない様に顔を下に向け鼻息を吐いていた。
ホーホー…と夜鳥が鳴く森の中でショウが人間では無い事に改めて知った勇者アランは明日はソルト村に早く行きたい気持ちが高鳴りとにかく人間に会いたいと思い今夜は早く眠る事に成れば目が覚めた時は朝に成っていると思った勇者アランはショウに今夜は早く休む事を告げた。
「……ショウ、明日に備えて今夜は眠る事にしょう…交代で焚き火の番をしたいと思う、森の中でも魔物がいつ襲って来るかも分からないんだ火は魔物は嫌う為焚き火の番は必要だ。
先にショウが睡眠を取ってくれ、私が交代と思う時にショウを起こし交代をしょう……」
勇者アランは先にショウに睡眠を取る事を進めた。
もし、自分が先に寝た時にショウが襲い掛かるかも知れないと…有り得ない事が頭の中を駆け巡り、勇者アランはショウが自分の容姿が苦手だと聞き自分が眠って居る間に顔を弄られるのではと…考えれば考える程ショウの事が恐怖の対象として見てしまっていた。
「…アランさんがそう言ってくるのなら僕が先に休む事にするよ」
「……ああっ、ゆっくり休んで良いよ……朝まで…」
勇者アランは一睡もしないつもりでいた。
ソルト村に着いた時に部屋を借りて休む事を考え今はショウが起きる事無くこのまま朝まで眠る事を祈っていた。