勇者と闇の魔法使い

黒い霧を狩る者

「……男性からその様に怖がり近づかないのを見ると傷付くが…」
「自分の容姿に恨んだら良いのでは？」
今３人は勇者アランを家の裏に外から回って貰い勇者アランの履き物を脱がないように長い廊下の開いている窓の側で座って貰う事にして、両端に勇者アランと魔法使いそして２人の間に魔物のルル３人外の景色を眺めての会話となった。
「旦那様温かいココアですよ」
魔物のルルが魔法使いに飲み物を渡していた。
「ああ……有難うルル…」
ズズ……と音を立てココアを飲む魔法使いの顔がフニャッ…と猫のような顔で頬んでいた。
「……済まないが私にも飲み物を貰えないだろうか……」
「貴方にはそこで溜まっている水溜まりでもお飲みになれば？」
「う……」
魔物のルルの勇者アランに対する対応が酷いため勇者アランは落ち込み始めた。例え魔物でも女の子の姿で酷い事を言われた事が無いためショックが隠せないでいた。
「…ルル、アランさんに優しくしないと失礼だよ、今は僕のお客さんだから……彼にも温かいココアを渡してくれ」
「客……」
勇者アランは別に魔法使いの客として来たわけでは無く、黒い霧を退治する為に来たのだが…と離れて座っている魔法使いの横顔を見ていた。ココアを飲む魔法使いの顔が幸せそうで思わず勇者アランは見いつていた。
「……旦那様がおっしゃるのでしたら…」
魔物のルルは立ち上がり勇者アランにジロッと見て奥の部屋に行った。
「……私は彼女から嫌われて居るようだが…最初の出会いが悪かったのだろうか……」
シュン…と落ち込む勇者アランを離れでチラッと見た魔法使いが話し出した。
「……ルルがまだ小さな狐の頃に人間に捕まり人の姿になるルルに暴力をふるい傷付いたルルは命からがらに逃げて来たんだ。ボロボロになったルルを僕が見つけ看病をしたんだ…」
ココアを両手に持ち魔物のルルの話を悲しそうな顔で語っていた
「最初はルルは僕に心を許した訳でも無いんだ。同じ人間として何度も僕に襲いかかった。」
魔法使いは勇者アランにその時に付いた古傷を見せていた。
両腕に複数の引っ掻き傷に牙と思われる歯形が無数に付けられていた。
勇者アランは無数の傷を見て顔が辛そうにしていた。
「……何故そんなに成るまで…」
勇者アランは言葉に詰まり黙って魔法使いの顔を見ていた。
「……僕と同じだったから…」
「え？」
「僕がまだこの国に転生をする前に、昔人間として生きていた僕と小さなルルが同じに見えたんだ」
「……転生？」
「…僕は……僕達転生者は君達が今から黒い霧と呼ばれるモノを狩る為にこの星に生まれたんだ」
勇者アランは魔法使いの震えるカップの手を見ているだけだった