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はじめての外国 5
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ちょっとした隙間を発見! よくは見えないんですけれど、小さい穴から隣の船に金属製品の入った積み荷が運ばれていくのが見えます。ああ、箱のふたをちゃんとしないと、中身が落ちますよ。
やっぱり、落ちましたよ。雑に扱うから……。
男たちが慌てて拾い集めています。
あれ、あれって、トラウデンの金属加工職人のサミダのものじゃないですか?
腕の立つサミダの細工は、半端なく細かくて、曲線はそれはもう滑らかで……。幾何学模様とツタ植物を絡めた独特のデザインが表面にほどこされているので、すぐに分かるんです。
実は……、以前、サミダの工芸品を私が壊したことがあって……、バレないように自分で修復しようとしたのですが、無理でした。模様が描けません。バレて、お母さまとブラウンにこっぴどく怒られました。……嫌なこと思い出しました。
そんなわけで、サミダの作ったものは、私にはわかるのです。もしかすると、あれはサミダの製作途中のものなのかもしれません。
しかし……、サミダの金属製品が入った箱や荷物、それに、隣の船はどこに行くのでしょう。
首を傾げながら、私は荷台に戻り、マジックポケットを開きました。
「お嬢さま! ご無事でしたか?」
ブラウンが涙目になって、私の身体を確認します。
「大丈夫ですよ」
ブラウンが私の身体を抱きしめてくれます。
「ええええええええ! 王子!」
なんと、王子もマジックポケットから出てきました。びっくりしている私を見て、王子は「無事でよかった」ときつく抱き締めます。
「誰がこんなことを……」
王子が唇を噛んでいます。
「わかりません。逃げようとすれば、逃げられたのですが、犯人を捕まえるため、わざとお嬢様はこのままに……、捕まった状態にしてあります」
ブラウンは困った顔でため息をつきました。
マカミもポケットから出て来て、小さめ位の大きさになりました。いつものサイズだと荷台が窮屈だからですね。
「マカミもいたので、様子を見ておりました。何かあったらあいつら始末しましょう……と思ってましたが、アリス様がご無事でよかった」
ブラウンがマカミを抱き上げて、撫でています。
「あのさ、お腹すいちゃった」
私の欲望を告げると、ブラウンは頬を緩めます。
「そうですね。お嬢様、ご飯にしましょう。マジックポケットにいらしてください」
私たちはマジックポケットに入り込みました。
なんと、ブラックナイトもマジックポケットにいました。私の顔を見て小さく嘶き、長い艶やかなしっぽを振ってくれました。
ところで、なんで、王子とブラックナイトまでマジックポケットにいるの?
ブラウンが朝食に、フレンチトーストを作ってくれました。ああ、幸せです。メープルシロップをたっぷりかけてしまいます。疲れた時は甘いものです。なぜ、どうして、私は忙しいのでしょうか。
これが青春ってやつなんでしょうか。適齢期ってこと?
「そうそう、赤マントのなかにタウルス様がいらしたの」
もぐもぐと食べながら報告すると、王子が紅茶を大きく咽ました。
「ううう……ゴホンゴホン」
「だ、大丈夫ですか」
王子の背中をさすって差し上げております。
あああ、かわいそうに。王子の咳き込みは止まりません。変なところに入ってしまったんでしょうか、王子は涙目です。
「ううう、タウルスがいた? 本当か」
王子は口をナプキンで押さえながら、話します。
「はい。捕まった私をいろいろ気遣ってくれました。逃がしてはくれませんでしたけど」
王子とブラウンは腕を組んで考えています。
まあ、タウルスがなぜいたのか、不思議ですけどね。全く理由は皆無です。
王子は何か知っているのでしょうか。
「とにかく、私を狙っている犯人が分かれば、きっとタウルス様の目的もわかると思うし、さっさと朝ご飯を食べてしまいませんか?」
私の誘いに王子は渋々首を縦に振ったのでした。
マカミは居心地のいいマジックポケットにいてもらうことにしました。ポケットで私と一緒にいてくれてありがとう。心強かったです。ゆっくりしていてね。
ブラウンたちも、マジックポケットで待機してもらうことにしました。すでに2時間が立つ頃ですから、もしかして男たち様子を見に来るかもしれません。
ということで、私は孤独に荷馬車です。
売られていく子牛の歌を思い出します。合いの手に牛や鶏、羊が泣いてくれますよ。
一通り歌い終わると、荷台でやることがなくなりました。暇です。絶賛ひまひま中。
もうひと眠りしようかとも思いましたが、なんだか揺れるんですよ。船だから。もう一度は眠れそうにないので、マジックポケットから愛読書をとってくることにしました。
「ねえ、どうして王子がブラックナイトとマジックポケットにいるの?」
ブラウンにこそっと尋ねました。
「アリス様が寝た後、離れに王子が訪問されたんですよ」
「え?」
未婚女性の夜の部屋に? よくそんな大胆なことができますね。思わず眉根を寄せます。
「何かお話があったみたいなんですが、入り口で私が応答しているうちに、アリス様はお眠りになり、襲撃されたので、慌ててマジックポケットに王子とブラックナイトが……」
「なるほど……」
私は目を閉じて腕を組みました。
「で、何の用事だったのか、聞いた?」
「聞いてません。私が聞けるわけないじゃないですか」
ブラウンは困った顔をします。
そうですよね……。王子ですからねえ、聞けませんよね。
王子の方を見ると、夜通し起きて、私のことを心配してくれていたみたいで、今はソファーで仮眠しています。私に何かあったらマジックポケットから飛び出してくれるつもりだったに違いありません。
そっと毛布を王子にかけてあげました。黙っていれば、よく見れば端正な顔立ちで……、かっこいいんだけどね。身体は細身だけど、がっしりとしています。
「無理されないでくださいね」
私はそっと王子の髪をなで、音を立てないように本棚から本を数冊とって、船の馬車に戻ります。
本当は、私も居心地のいいマジックポケットで過ごしたかったのですが、見張りの人たちが見回りに来たら、面倒なことになりますからね。
今読んでいる『エドワード王子の恋の物語~僕の運命の恋人は~』は宮廷ロマンがふんだんに詰まっている、乙女のバイブル的な書です。
華やかなお城の生活、にぎやかなパーティー、そしてエドワード王子がだんだん自分の恋に気がついていく姿が1巻では描かれています。初恋がメインできゅんきゅんします。
何度読んでも面白いですよ。さてと、2巻のページをめくります。エドワード王子は好きな人のそばに行こうと、公務を早く終わらせ駆け付けようとしています。彼女を探して、ようやく声をかけようとしても、うまくタイミングをつかめなくって、ちょっと不審者っぽくなっています。かわいそうに。不器用ですね。
王子、がんばって! もっと早くしないと、好きな人(彼女)が帰っちゃいますよとか、ああ、邪魔が入っちゃうとか思いながら、ハンカチを握りしめます。私までドキドキしちゃいます。
ようやく彼女の前に姿を現すことができて、ダンスパーティーで彼女の手を取ろうとすると、王から急に呼び出しがあり、外国の王女と婚約を決められてしまいます。
え?
ええ?
がーん、これで2巻終わりなの? 何度読んでも残念な風が吹き荒れます。早く続きが読みたい。王妃様からもらった最新刊は……。ベッドの上かも。ひどい、赤マント。許せません。
ああ、最新刊、読みたいな。空間切り裂き魔法で、取ってこようかな。いや、王家と争いごとになりますよね。いくら何でもそれくらい私だってわかりますとも。
最新刊へ念を送っておきましょう。エドワード王子、がんばって! 彼女とうまくいきますように……。
やっぱり、落ちましたよ。雑に扱うから……。
男たちが慌てて拾い集めています。
あれ、あれって、トラウデンの金属加工職人のサミダのものじゃないですか?
腕の立つサミダの細工は、半端なく細かくて、曲線はそれはもう滑らかで……。幾何学模様とツタ植物を絡めた独特のデザインが表面にほどこされているので、すぐに分かるんです。
実は……、以前、サミダの工芸品を私が壊したことがあって……、バレないように自分で修復しようとしたのですが、無理でした。模様が描けません。バレて、お母さまとブラウンにこっぴどく怒られました。……嫌なこと思い出しました。
そんなわけで、サミダの作ったものは、私にはわかるのです。もしかすると、あれはサミダの製作途中のものなのかもしれません。
しかし……、サミダの金属製品が入った箱や荷物、それに、隣の船はどこに行くのでしょう。
首を傾げながら、私は荷台に戻り、マジックポケットを開きました。
「お嬢さま! ご無事でしたか?」
ブラウンが涙目になって、私の身体を確認します。
「大丈夫ですよ」
ブラウンが私の身体を抱きしめてくれます。
「ええええええええ! 王子!」
なんと、王子もマジックポケットから出てきました。びっくりしている私を見て、王子は「無事でよかった」ときつく抱き締めます。
「誰がこんなことを……」
王子が唇を噛んでいます。
「わかりません。逃げようとすれば、逃げられたのですが、犯人を捕まえるため、わざとお嬢様はこのままに……、捕まった状態にしてあります」
ブラウンは困った顔でため息をつきました。
マカミもポケットから出て来て、小さめ位の大きさになりました。いつものサイズだと荷台が窮屈だからですね。
「マカミもいたので、様子を見ておりました。何かあったらあいつら始末しましょう……と思ってましたが、アリス様がご無事でよかった」
ブラウンがマカミを抱き上げて、撫でています。
「あのさ、お腹すいちゃった」
私の欲望を告げると、ブラウンは頬を緩めます。
「そうですね。お嬢様、ご飯にしましょう。マジックポケットにいらしてください」
私たちはマジックポケットに入り込みました。
なんと、ブラックナイトもマジックポケットにいました。私の顔を見て小さく嘶き、長い艶やかなしっぽを振ってくれました。
ところで、なんで、王子とブラックナイトまでマジックポケットにいるの?
ブラウンが朝食に、フレンチトーストを作ってくれました。ああ、幸せです。メープルシロップをたっぷりかけてしまいます。疲れた時は甘いものです。なぜ、どうして、私は忙しいのでしょうか。
これが青春ってやつなんでしょうか。適齢期ってこと?
「そうそう、赤マントのなかにタウルス様がいらしたの」
もぐもぐと食べながら報告すると、王子が紅茶を大きく咽ました。
「ううう……ゴホンゴホン」
「だ、大丈夫ですか」
王子の背中をさすって差し上げております。
あああ、かわいそうに。王子の咳き込みは止まりません。変なところに入ってしまったんでしょうか、王子は涙目です。
「ううう、タウルスがいた? 本当か」
王子は口をナプキンで押さえながら、話します。
「はい。捕まった私をいろいろ気遣ってくれました。逃がしてはくれませんでしたけど」
王子とブラウンは腕を組んで考えています。
まあ、タウルスがなぜいたのか、不思議ですけどね。全く理由は皆無です。
王子は何か知っているのでしょうか。
「とにかく、私を狙っている犯人が分かれば、きっとタウルス様の目的もわかると思うし、さっさと朝ご飯を食べてしまいませんか?」
私の誘いに王子は渋々首を縦に振ったのでした。
マカミは居心地のいいマジックポケットにいてもらうことにしました。ポケットで私と一緒にいてくれてありがとう。心強かったです。ゆっくりしていてね。
ブラウンたちも、マジックポケットで待機してもらうことにしました。すでに2時間が立つ頃ですから、もしかして男たち様子を見に来るかもしれません。
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「ねえ、どうして王子がブラックナイトとマジックポケットにいるの?」
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「え?」
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「なるほど……」
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何度読んでも面白いですよ。さてと、2巻のページをめくります。エドワード王子は好きな人のそばに行こうと、公務を早く終わらせ駆け付けようとしています。彼女を探して、ようやく声をかけようとしても、うまくタイミングをつかめなくって、ちょっと不審者っぽくなっています。かわいそうに。不器用ですね。
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え?
ええ?
がーん、これで2巻終わりなの? 何度読んでも残念な風が吹き荒れます。早く続きが読みたい。王妃様からもらった最新刊は……。ベッドの上かも。ひどい、赤マント。許せません。
ああ、最新刊、読みたいな。空間切り裂き魔法で、取ってこようかな。いや、王家と争いごとになりますよね。いくら何でもそれくらい私だってわかりますとも。
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