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大移動、決行します! 3
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噴水広場周辺に憲兵や王都の役人がいないことを確認します。
こんな夜中に、役人とかなんて、いないだろうけど、念のためです。
一見寝静まった町ですが、ヒソヒソと小さくざわめいています。
大丈夫そうですね。
笛を取り出し、小さく鳴らし始めます。
ピー。ピー、ピーヒャラララ。ピーヒャラララ、ピーヒャラララ。
夜中なので、かなり抑えた笛の音でも町中に響き渡ります。
住宅の窓からそっと明かりが漏れて来て、ドアが開く音がしました。ぞろぞろと噴水広場に人が集まり始めます。
「ひー」
闇夜に浮かぶ、私の姿を見た人が悲鳴を上げました。
「ああ、私ですよ。アリスです」
トホホです。悲鳴をあげられるとは……。
「え? ああ、アリス様」
「お姉ちゃん? ええ?」
人々は安堵の声を上げ、それから、「おかわいそうに」という同情の雰囲気が漂いました。
子どもたちは、大爆笑です。夜中だと言うのに、元気そうで何より。ハハハ。
「シー、静かに」
大人たちに怒られ、子どもたちもコソコソと話します。
「アリス様、その格好ひどいね。面白いよ」
「過去最悪、今までに見たことがないセンスの人……」
みんな言いたい放題です。
だって、ほら、伝説の笛吹きさんって、こんな格好って書いてあるじゃないですか。
私は、失笑され、赤っ恥ですが、移住する人々の悲壮感は吹き飛んでしまったようで、結果的にはオーライということですね。まあ、ちょっと納得いきませんけど。
「では、出発しましょうか」
私は杖を持ち上げ、噴水の水を止め、ゆっくりと噴水の中へ入ります。
空間移動扉の透明化を解除し、ドアを開けました。
「おおお」
小さな歓声が上がります。
人々は噴水の中に入り、ドアをくぐっていきます。最後の一人がドアを通ったのを確認し、私は町をもう一度眺めました。
カーテンを開けて、ろうそくで窓に灯している家が何軒もあります。きっと家族が移住組なのでしょう。移住する家族へ、神の祝福を祈っているにちがいありません。
「必ず、食うに困るような生活はさせません」
私はひとり呟いて、空間移動扉のドアを撤収、噴水の水を再開させました。
明日の朝、空間切り裂き魔法でお父様の屋敷にこの扉を設置してきましょう。
新領地ではシタラとマイヤが今か今かと私たちを待ち受けてくれていました。なるべく明るくして不安を取り除こうと思っていたのでしょう。すべての施設に明かりをつけて、通りには街灯をつけてくれています。
先に到着していた町の人々は、新領地の様子を見て、驚いていました。
「なんだこりゃ」
「何もないと思ったが……、町じゃねえか」
喜んでいただけて光栄です。頑張った甲斐がありました。
「こちらは、アリス様のお屋敷になります」
町の人はほうほうとうなずきます。
「あちらは、温泉施設です。塩泉かけ流しになっております。塩泉というのは、塩分が多い温泉のことで、舐めるとしょっぱいと感じます。湯冷めしにくいとも言われております」
「へえ、すごい……」
説明しているのはシタラの奥様らしいです。
「遠い東の国の書物には、冷えや傷、関節痛などの痛みや打ち身、捻挫、皮膚病などに効くとあります。今日はゆっくりと、温泉で体を休めてください」
「おおおお」
町の人から歓声が上がりました。
きょうはとりあえず温泉施設の宿泊施設にみんなを泊める予定です。明日からは、移住者の希望を聞き、仕事をどうするか、どこに住むか確かめて行きます。
温泉のうんちくはブラウンが先日調べてシタラの奥さまに教えたみたいです。ブラウンがニコニコしていました。
マイヤの奥様とシタラの奥様が町の人々を温泉施設へ案内していきます。
シタラとマイヤが、静かになった新拠点の屋敷前で、疲労感満載でぼーっとしている私のところにやってきました。
「アリス様……」
「その格好は、あまりにもひどいです」
ううう。わかってます。みなまで言わなくても……。
シタラとマイヤはちらちらと私の顔を見ます。ええ、凝視したくなる化粧でございましょうよ、くすん。
「別の言い方をすれば、立派な笛吹きに見えます。みんなも安心したでしょう」
「どこから見ても、伝説の笛吹きにしかみえません」
シタラとマイヤは神妙な顔でフォローした後、くるりと後ろを向いて吹き出しました。
もう、湯あみをして、化粧をとっていいですか。いいですよね。
シタラとマイヤも新しい住民たちも、みんな不安だったのかもしれません。私の化粧の顔がお役に立てて光栄です。
ブラウンは「くくく」と声を出さないように笑っています。
はあ、湯あみの時、化粧を一緒に落としてもらわないと。この頬っぺたの丸い赤、落ちるのかしら……。しつこい汚れじゃないのかしら。
一抹の不安です。
マカミは「ワフ」と言って、私と顔を合わせると、気まずそうに違う方向へ首を動かしたのでした。
ええ? そんなにひどいんですか? ちょっと、マカミ?
次の朝。私はまだ暗いうちに起きだしました。
こんなに早起きすることは、自分からはありません。できればのんびり寝ていたい派です。
実は、昨日、温泉施設へ移動するときに、ここに引っ越してきた、町の人たちが「俺らはどこに住めばいいんだ?」、「真っ暗で分からないが、まだ何もないんじゃないか?」って不安の声を聞いてしまったのです。
まあねえ。わかるよ。初めての土地で一からやり直しだもの。心配だよねえ。もうちょっとインフラ整備してあげて、家や街並みをもう少し整えてあげたら、喜んでもらえるかなって思っちゃったんだよね。
温泉の宿泊施設を使っていてもいい、って言っても、やっぱり自分の家じゃないと落ち着かないだろうし。
ということで、朝から究極魔法を使いまくって、入植者用の家を建ててました。レンガ造りの3階建てのアパートを数棟、1軒屋を30ほど建てました。町の人が温泉宿泊施設から引っ越しても、まだ入居者数に余裕があります。
素敵な街並みを意識して、全部レンガ造りですよ。色はすこし白っぽくしておきました。重たいイメージも軽やかに一新、これで埃や汚れも目立たないはずです。
もう少し入植者が増えたら、またアパートを建てたいな。レンガ造りのアパートメントを並べて、窓に花を飾ってもらい、景観を整えるっていうプランです。
商業地域、工場地域などの建物も、トラウデンの町の建物を参考に建てておきました。あとはカスタマイズしてもらえばいいかな。もし、気に入らなかったり、使いづらかったりしたら、言ってもらえればすぐに直せるし……。農業組合と商業組合の建物も準備しましたよ。シタラとマイヤに組合長になってもらえばいいかなと思います。
額の汗を手の甲で拭いて、一休みです。なんだかとっても疲れて、ポケットからハンカチを取り出す気力もありません。もう一回、朝ご飯、たべたい……。お腹空いた……。
「だめだ、もう動けない。ちょっと、休憩」
ふう。目を閉じると目の前が真っ暗くなりました。そのまま、意識があああ、持っていかれる。
倒れる寸前、マカミの背中が私を受け止めてくれました。ふわふわな毛と、シャンプーの匂い……。おやすみなさい。
「あら、お嬢さま、寝ちゃいましたね。魔力切れですね。しばらく起こさないであげましょう」
「わふ!」
マカミは頭を立てに動かした。
「早朝まだ暗いうちからレンガ造りやら、建物づくりをしてましたからね……。朝、起きて、町の人たちが新しい町に不安にならないように、ある程度建物を作っておいてあげたいって……。優しいお嬢様だこと」
ブラウンはクスリと笑って、私の頭をなでてます。
「どんな無茶をするんですか。回復するまで、2時間は動かないでくださいね。熟睡する前に、先に魔法薬、深いところの疲れに効きますから……、さあ、飲んでください」
ブラウンはぐでんぐでんになっている私の体を起こし、口の中に魔法薬を押し流しました。
ううう、良薬、口に苦し。おえ……。この後味は、なんとも形容しがたいです。
「水、水をください」という声は、体力のなさから出ませんでした。そのまま私は暗闇の世界へ移動です。しばらく寝ますね。おやすみなさい。
次に起きたら、何をするんでしたっけ……。ああ、もう考えられない……。
こんな夜中に、役人とかなんて、いないだろうけど、念のためです。
一見寝静まった町ですが、ヒソヒソと小さくざわめいています。
大丈夫そうですね。
笛を取り出し、小さく鳴らし始めます。
ピー。ピー、ピーヒャラララ。ピーヒャラララ、ピーヒャラララ。
夜中なので、かなり抑えた笛の音でも町中に響き渡ります。
住宅の窓からそっと明かりが漏れて来て、ドアが開く音がしました。ぞろぞろと噴水広場に人が集まり始めます。
「ひー」
闇夜に浮かぶ、私の姿を見た人が悲鳴を上げました。
「ああ、私ですよ。アリスです」
トホホです。悲鳴をあげられるとは……。
「え? ああ、アリス様」
「お姉ちゃん? ええ?」
人々は安堵の声を上げ、それから、「おかわいそうに」という同情の雰囲気が漂いました。
子どもたちは、大爆笑です。夜中だと言うのに、元気そうで何より。ハハハ。
「シー、静かに」
大人たちに怒られ、子どもたちもコソコソと話します。
「アリス様、その格好ひどいね。面白いよ」
「過去最悪、今までに見たことがないセンスの人……」
みんな言いたい放題です。
だって、ほら、伝説の笛吹きさんって、こんな格好って書いてあるじゃないですか。
私は、失笑され、赤っ恥ですが、移住する人々の悲壮感は吹き飛んでしまったようで、結果的にはオーライということですね。まあ、ちょっと納得いきませんけど。
「では、出発しましょうか」
私は杖を持ち上げ、噴水の水を止め、ゆっくりと噴水の中へ入ります。
空間移動扉の透明化を解除し、ドアを開けました。
「おおお」
小さな歓声が上がります。
人々は噴水の中に入り、ドアをくぐっていきます。最後の一人がドアを通ったのを確認し、私は町をもう一度眺めました。
カーテンを開けて、ろうそくで窓に灯している家が何軒もあります。きっと家族が移住組なのでしょう。移住する家族へ、神の祝福を祈っているにちがいありません。
「必ず、食うに困るような生活はさせません」
私はひとり呟いて、空間移動扉のドアを撤収、噴水の水を再開させました。
明日の朝、空間切り裂き魔法でお父様の屋敷にこの扉を設置してきましょう。
新領地ではシタラとマイヤが今か今かと私たちを待ち受けてくれていました。なるべく明るくして不安を取り除こうと思っていたのでしょう。すべての施設に明かりをつけて、通りには街灯をつけてくれています。
先に到着していた町の人々は、新領地の様子を見て、驚いていました。
「なんだこりゃ」
「何もないと思ったが……、町じゃねえか」
喜んでいただけて光栄です。頑張った甲斐がありました。
「こちらは、アリス様のお屋敷になります」
町の人はほうほうとうなずきます。
「あちらは、温泉施設です。塩泉かけ流しになっております。塩泉というのは、塩分が多い温泉のことで、舐めるとしょっぱいと感じます。湯冷めしにくいとも言われております」
「へえ、すごい……」
説明しているのはシタラの奥様らしいです。
「遠い東の国の書物には、冷えや傷、関節痛などの痛みや打ち身、捻挫、皮膚病などに効くとあります。今日はゆっくりと、温泉で体を休めてください」
「おおおお」
町の人から歓声が上がりました。
きょうはとりあえず温泉施設の宿泊施設にみんなを泊める予定です。明日からは、移住者の希望を聞き、仕事をどうするか、どこに住むか確かめて行きます。
温泉のうんちくはブラウンが先日調べてシタラの奥さまに教えたみたいです。ブラウンがニコニコしていました。
マイヤの奥様とシタラの奥様が町の人々を温泉施設へ案内していきます。
シタラとマイヤが、静かになった新拠点の屋敷前で、疲労感満載でぼーっとしている私のところにやってきました。
「アリス様……」
「その格好は、あまりにもひどいです」
ううう。わかってます。みなまで言わなくても……。
シタラとマイヤはちらちらと私の顔を見ます。ええ、凝視したくなる化粧でございましょうよ、くすん。
「別の言い方をすれば、立派な笛吹きに見えます。みんなも安心したでしょう」
「どこから見ても、伝説の笛吹きにしかみえません」
シタラとマイヤは神妙な顔でフォローした後、くるりと後ろを向いて吹き出しました。
もう、湯あみをして、化粧をとっていいですか。いいですよね。
シタラとマイヤも新しい住民たちも、みんな不安だったのかもしれません。私の化粧の顔がお役に立てて光栄です。
ブラウンは「くくく」と声を出さないように笑っています。
はあ、湯あみの時、化粧を一緒に落としてもらわないと。この頬っぺたの丸い赤、落ちるのかしら……。しつこい汚れじゃないのかしら。
一抹の不安です。
マカミは「ワフ」と言って、私と顔を合わせると、気まずそうに違う方向へ首を動かしたのでした。
ええ? そんなにひどいんですか? ちょっと、マカミ?
次の朝。私はまだ暗いうちに起きだしました。
こんなに早起きすることは、自分からはありません。できればのんびり寝ていたい派です。
実は、昨日、温泉施設へ移動するときに、ここに引っ越してきた、町の人たちが「俺らはどこに住めばいいんだ?」、「真っ暗で分からないが、まだ何もないんじゃないか?」って不安の声を聞いてしまったのです。
まあねえ。わかるよ。初めての土地で一からやり直しだもの。心配だよねえ。もうちょっとインフラ整備してあげて、家や街並みをもう少し整えてあげたら、喜んでもらえるかなって思っちゃったんだよね。
温泉の宿泊施設を使っていてもいい、って言っても、やっぱり自分の家じゃないと落ち着かないだろうし。
ということで、朝から究極魔法を使いまくって、入植者用の家を建ててました。レンガ造りの3階建てのアパートを数棟、1軒屋を30ほど建てました。町の人が温泉宿泊施設から引っ越しても、まだ入居者数に余裕があります。
素敵な街並みを意識して、全部レンガ造りですよ。色はすこし白っぽくしておきました。重たいイメージも軽やかに一新、これで埃や汚れも目立たないはずです。
もう少し入植者が増えたら、またアパートを建てたいな。レンガ造りのアパートメントを並べて、窓に花を飾ってもらい、景観を整えるっていうプランです。
商業地域、工場地域などの建物も、トラウデンの町の建物を参考に建てておきました。あとはカスタマイズしてもらえばいいかな。もし、気に入らなかったり、使いづらかったりしたら、言ってもらえればすぐに直せるし……。農業組合と商業組合の建物も準備しましたよ。シタラとマイヤに組合長になってもらえばいいかなと思います。
額の汗を手の甲で拭いて、一休みです。なんだかとっても疲れて、ポケットからハンカチを取り出す気力もありません。もう一回、朝ご飯、たべたい……。お腹空いた……。
「だめだ、もう動けない。ちょっと、休憩」
ふう。目を閉じると目の前が真っ暗くなりました。そのまま、意識があああ、持っていかれる。
倒れる寸前、マカミの背中が私を受け止めてくれました。ふわふわな毛と、シャンプーの匂い……。おやすみなさい。
「あら、お嬢さま、寝ちゃいましたね。魔力切れですね。しばらく起こさないであげましょう」
「わふ!」
マカミは頭を立てに動かした。
「早朝まだ暗いうちからレンガ造りやら、建物づくりをしてましたからね……。朝、起きて、町の人たちが新しい町に不安にならないように、ある程度建物を作っておいてあげたいって……。優しいお嬢様だこと」
ブラウンはクスリと笑って、私の頭をなでてます。
「どんな無茶をするんですか。回復するまで、2時間は動かないでくださいね。熟睡する前に、先に魔法薬、深いところの疲れに効きますから……、さあ、飲んでください」
ブラウンはぐでんぐでんになっている私の体を起こし、口の中に魔法薬を押し流しました。
ううう、良薬、口に苦し。おえ……。この後味は、なんとも形容しがたいです。
「水、水をください」という声は、体力のなさから出ませんでした。そのまま私は暗闇の世界へ移動です。しばらく寝ますね。おやすみなさい。
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