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新・領地生活! 充実させるには…… 3
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お父様の家まで歩いて帰ります。ここからお父様の家まで……。歩くのですよね……。ああ、考えるだけで今から疲れちゃいます。平坦な道のりが多いとはいえ、ちょっと距離があるんだよなあ。
やっぱり、道路の整備もしたいから歩かないとだめだしなあ。でも……と葛藤が続きます。
いっそのこと、もっとスピードアップして、歩けるやつってないかな。風が王子の前髪を揺らし、イケメンオーラをまき散らします。うっかり見ちゃったじゃないですか。
風! 禁止!
その時、目の前を木の葉が風に乗って、すぅっと舞い降りてきました。
風に乗る……。これって、使えるんじゃない?
思わずニヤッとしてしまいました。
「うわ、なにか企んでいるでしょ」
王子は面白そうに見ています。
「ちょっとその辺に板ないですかね……」
王子に板探しを依頼します。
「板ですか?」
シタラとマイヤもキョロキョロとあたりを探しに行ってくれました。
「お姉ちゃん、これ」
12歳くらいでしょうか、女の子が板を数枚抱えて持ってきてくれました。
「ありがとう。これこれ! 助かります!」
女の子にお礼を言うと、女の子は照れ臭そうに笑いました。
ブラウンは眉をひそめています。だいたい見当がついたのでしょうか。さすがブラウンです。
「私は遠慮しますからね! アリス様?」
「ふふふふ」
「これを何に使うんだい?」
王子とシタラとマイヤは首をかしげます。
「私はブラックナイトとマジックポケットにいますからね。マカミはどうする? できたら、一緒にマジックポケットにいたほうが……汚れないと思うけど……」
マカミは、キラキラした目で私を見つめ、ブラウンの誘いに首を横に振りました。
「じゃあ、汚れたら、洗いますよ?」
「ワフっ」
ブラウンが約束すると、マカミは了解とばかりに小さく返事をしました。
ブラウンは小さくため息をつくと、マジックポケットの中に入っていきました。
ちょうどブラックナイトも帰ってきました。ブラックナイトは超軽やか!ギャロップでブラウンについていきました。王子は苦笑しています。散歩で発散してきたみたいだし、ブラウンと一緒にマジックポケットで休んでもらうのもいいかもしれません。
「まずは……、この板を魔法で浮かせます」
地面から数センチのところに横幅80センチの板を浮かせます。縦は片足の幅より大きめって感じだから、15センチくらいのでしょうか。
「おおお」
板に足を前後に軽く開いて乗って、空中に浮いて見せると、集落の人たちが感嘆の声を上げました。
「それから風魔法で追い風を吹かせます」
ざわざわと人々が騒ぎ始めました。
「アリス様、同種類の魔法の同時発動ができるんですか」
シタラが心配そうに聞いてきました。
「大丈夫ですよ。できます」
私は誰にも聞こえないような声で「究極魔法・風」と言い、追い風を起こして見せました。
なかなか快適です。
耳元で風が鳴り、スカートがバサバサになるので、もうちょっと弱いかぜにしたらいいかな。スカートをリボンで押さえてもいいかもしれません。
集落近くを1周して帰っても……、さほどかからない感じです。ちなみに体力減少はありません。
「いいなあ! お姉ちゃん、楽しそう! やりたいやりたい」
子どもたちはわあっと食いついてきました。
「王子、乗りますか?」
「もちろん!」
王子は最初よろっとしたものの、自分の魔法で板を浮かせ、乗りました。風魔法、使えたのですね。王子、一体いくつの種類の魔法が使えるんだろう?
王子には追い風の提供だけで大丈夫そうです。さすが王族というべきでしょうか。
そういえば、王子のこと、何も知らないかも。
ふと頭によぎります。
「ねえ、ねえ」
子どもたちの声に現実に戻されました。
「また今度ね? ごめんね」
お姉ちゃんたち、ちょっと急ぎなんだ。また帰ったらあそぼうね。子どもたちにはじとーっと見られています。
「うん、お姉ちゃん、約束だよ」
「ああ、乗りたかったな……」
「いいな……」
子どもたちに訴えられました。こっちに戻ったら、子どもたちと板に乗らせてあげないといけませんね。
子どもたちと約束です。
「すぐに戻りますから、ここをお願いします」
シタラとマイヤに管理を依頼します。
「人員を……、よろしくお願いします」
「ラッセル公によろしくお伝えください」
シタラとマイヤに挨拶を述べて、出発です。
風に乗って進むのは爽快です。
王子はバランス感覚が優れているので、くるっと一回転したり、波々に進んだりと楽しそうです。
私は……、それなりに楽しんでいます。軽くひざを曲げているので、膝周りの筋肉が痛くなるかもしれません。屋敷に戻ったら、薬草か、ポーションか何かもらいたい。
インフラ整備のための歩きなので、今回は地面になるべく近く板を浮かせていますが、空高く飛んでも面白いかもしれませんね。
「ああ」
王子が5mほど高く飛んで辺りを見回しています。先を越されました。楽しそうです。
「いいもん、私は、インフラ整備の仕事があるから……」
「ごめんごめん、遠くまで見えてよかったよ。今度一緒に空を飛ぼう?」
王子が謝ってきました。
風魔法で自分を浮かすという発想自体、今までしたことがなかったので、したことがありませんでした。
もし思いついたとしても、スカートだし、ドレスだし、はしたないって言われるから……、開発は遅れたかもしれませんね。
ピラピラしないように、着心地のいい、古いドレスの真ん中をピーっと塗ってもらって、作業着にすればいいかな、なんてことも思いましたが……。
ブラウンは今回目をつむってくれましたが、おそらく後でお説教でしょう。しかし、緊急ってことで許してもらいたい。作業着は折を見て相談します。スカートを縫うなんてとんでもないって言われちゃうかしら。
究極魔法・風で、私と王子の背中に向けて追い風を吹かせ中です。滑るように空中を移動します。たぶん速足で歩くより5倍くらいは早いと思います。
マカミは私たちのスピードに合わせて、白い身体をめいっぱい動かし、飛ぶように走っています。ふわふわの白い毛の巨体が軽やかに動きます。
マカミが楽しそうで何よりなんですけど……、藪の中にわざと突っ込んで、魔物の蛇をくわえてくるとか、先回りして、魔物の大ガエルとにらみ合いをして遊ぶとか、やめてください!
そして、それを私に見せないで……。
びっくりします。一応、マカミをほめてあげますけどね。とはいえ、せっかくの素材なので、マジックポケットの中に入れて、保存します。フィリップへのお土産になりますしね。
よく見ると、マカミの前足や後ろ足の白い毛には葉っぱやクモの巣がついて、泥はねもたくさんしています。ああ、ブラウンにこっちの件でも怒られそう……。
どんどん黒い森の淵とロックたちの壁に沿って進んでいきます。予想通り、さほど勾配のきつい坂はなかったし、大岩に邪魔されていることもありません。
ここは大きなインフラ工事はしなくても済みそうです。折を見て、石畳を敷けばさらに通りやすくなるに違いありません。
「これならトラウデンまで楽勝だね」
王子が私を見ます。
キラキラと王子が輝いて、まぶしいです。やばい、わたし、目がおかしくなっています。目が王子を見たがっている……なんて、あり得ないです。
やがてロックたちの壁がなくなり、黒い森の端も終わりに近づいて、拓けたところがでてきました。
「いよいよ、トラウデンが近くなってきました」
長閑な、小麦やトマトなどの畑が続いています。地元なので、ここまでくると緊張がほぐれます。ああ、懐かしい……。
「おお、ここに出るんだね」
王子はあたりを見回します。
大きな街道にぶつかりました。ここを真っ直ぐ行くとトラウデンの町です。
やっぱり、道路の整備もしたいから歩かないとだめだしなあ。でも……と葛藤が続きます。
いっそのこと、もっとスピードアップして、歩けるやつってないかな。風が王子の前髪を揺らし、イケメンオーラをまき散らします。うっかり見ちゃったじゃないですか。
風! 禁止!
その時、目の前を木の葉が風に乗って、すぅっと舞い降りてきました。
風に乗る……。これって、使えるんじゃない?
思わずニヤッとしてしまいました。
「うわ、なにか企んでいるでしょ」
王子は面白そうに見ています。
「ちょっとその辺に板ないですかね……」
王子に板探しを依頼します。
「板ですか?」
シタラとマイヤもキョロキョロとあたりを探しに行ってくれました。
「お姉ちゃん、これ」
12歳くらいでしょうか、女の子が板を数枚抱えて持ってきてくれました。
「ありがとう。これこれ! 助かります!」
女の子にお礼を言うと、女の子は照れ臭そうに笑いました。
ブラウンは眉をひそめています。だいたい見当がついたのでしょうか。さすがブラウンです。
「私は遠慮しますからね! アリス様?」
「ふふふふ」
「これを何に使うんだい?」
王子とシタラとマイヤは首をかしげます。
「私はブラックナイトとマジックポケットにいますからね。マカミはどうする? できたら、一緒にマジックポケットにいたほうが……汚れないと思うけど……」
マカミは、キラキラした目で私を見つめ、ブラウンの誘いに首を横に振りました。
「じゃあ、汚れたら、洗いますよ?」
「ワフっ」
ブラウンが約束すると、マカミは了解とばかりに小さく返事をしました。
ブラウンは小さくため息をつくと、マジックポケットの中に入っていきました。
ちょうどブラックナイトも帰ってきました。ブラックナイトは超軽やか!ギャロップでブラウンについていきました。王子は苦笑しています。散歩で発散してきたみたいだし、ブラウンと一緒にマジックポケットで休んでもらうのもいいかもしれません。
「まずは……、この板を魔法で浮かせます」
地面から数センチのところに横幅80センチの板を浮かせます。縦は片足の幅より大きめって感じだから、15センチくらいのでしょうか。
「おおお」
板に足を前後に軽く開いて乗って、空中に浮いて見せると、集落の人たちが感嘆の声を上げました。
「それから風魔法で追い風を吹かせます」
ざわざわと人々が騒ぎ始めました。
「アリス様、同種類の魔法の同時発動ができるんですか」
シタラが心配そうに聞いてきました。
「大丈夫ですよ。できます」
私は誰にも聞こえないような声で「究極魔法・風」と言い、追い風を起こして見せました。
なかなか快適です。
耳元で風が鳴り、スカートがバサバサになるので、もうちょっと弱いかぜにしたらいいかな。スカートをリボンで押さえてもいいかもしれません。
集落近くを1周して帰っても……、さほどかからない感じです。ちなみに体力減少はありません。
「いいなあ! お姉ちゃん、楽しそう! やりたいやりたい」
子どもたちはわあっと食いついてきました。
「王子、乗りますか?」
「もちろん!」
王子は最初よろっとしたものの、自分の魔法で板を浮かせ、乗りました。風魔法、使えたのですね。王子、一体いくつの種類の魔法が使えるんだろう?
王子には追い風の提供だけで大丈夫そうです。さすが王族というべきでしょうか。
そういえば、王子のこと、何も知らないかも。
ふと頭によぎります。
「ねえ、ねえ」
子どもたちの声に現実に戻されました。
「また今度ね? ごめんね」
お姉ちゃんたち、ちょっと急ぎなんだ。また帰ったらあそぼうね。子どもたちにはじとーっと見られています。
「うん、お姉ちゃん、約束だよ」
「ああ、乗りたかったな……」
「いいな……」
子どもたちに訴えられました。こっちに戻ったら、子どもたちと板に乗らせてあげないといけませんね。
子どもたちと約束です。
「すぐに戻りますから、ここをお願いします」
シタラとマイヤに管理を依頼します。
「人員を……、よろしくお願いします」
「ラッセル公によろしくお伝えください」
シタラとマイヤに挨拶を述べて、出発です。
風に乗って進むのは爽快です。
王子はバランス感覚が優れているので、くるっと一回転したり、波々に進んだりと楽しそうです。
私は……、それなりに楽しんでいます。軽くひざを曲げているので、膝周りの筋肉が痛くなるかもしれません。屋敷に戻ったら、薬草か、ポーションか何かもらいたい。
インフラ整備のための歩きなので、今回は地面になるべく近く板を浮かせていますが、空高く飛んでも面白いかもしれませんね。
「ああ」
王子が5mほど高く飛んで辺りを見回しています。先を越されました。楽しそうです。
「いいもん、私は、インフラ整備の仕事があるから……」
「ごめんごめん、遠くまで見えてよかったよ。今度一緒に空を飛ぼう?」
王子が謝ってきました。
風魔法で自分を浮かすという発想自体、今までしたことがなかったので、したことがありませんでした。
もし思いついたとしても、スカートだし、ドレスだし、はしたないって言われるから……、開発は遅れたかもしれませんね。
ピラピラしないように、着心地のいい、古いドレスの真ん中をピーっと塗ってもらって、作業着にすればいいかな、なんてことも思いましたが……。
ブラウンは今回目をつむってくれましたが、おそらく後でお説教でしょう。しかし、緊急ってことで許してもらいたい。作業着は折を見て相談します。スカートを縫うなんてとんでもないって言われちゃうかしら。
究極魔法・風で、私と王子の背中に向けて追い風を吹かせ中です。滑るように空中を移動します。たぶん速足で歩くより5倍くらいは早いと思います。
マカミは私たちのスピードに合わせて、白い身体をめいっぱい動かし、飛ぶように走っています。ふわふわの白い毛の巨体が軽やかに動きます。
マカミが楽しそうで何よりなんですけど……、藪の中にわざと突っ込んで、魔物の蛇をくわえてくるとか、先回りして、魔物の大ガエルとにらみ合いをして遊ぶとか、やめてください!
そして、それを私に見せないで……。
びっくりします。一応、マカミをほめてあげますけどね。とはいえ、せっかくの素材なので、マジックポケットの中に入れて、保存します。フィリップへのお土産になりますしね。
よく見ると、マカミの前足や後ろ足の白い毛には葉っぱやクモの巣がついて、泥はねもたくさんしています。ああ、ブラウンにこっちの件でも怒られそう……。
どんどん黒い森の淵とロックたちの壁に沿って進んでいきます。予想通り、さほど勾配のきつい坂はなかったし、大岩に邪魔されていることもありません。
ここは大きなインフラ工事はしなくても済みそうです。折を見て、石畳を敷けばさらに通りやすくなるに違いありません。
「これならトラウデンまで楽勝だね」
王子が私を見ます。
キラキラと王子が輝いて、まぶしいです。やばい、わたし、目がおかしくなっています。目が王子を見たがっている……なんて、あり得ないです。
やがてロックたちの壁がなくなり、黒い森の端も終わりに近づいて、拓けたところがでてきました。
「いよいよ、トラウデンが近くなってきました」
長閑な、小麦やトマトなどの畑が続いています。地元なので、ここまでくると緊張がほぐれます。ああ、懐かしい……。
「おお、ここに出るんだね」
王子はあたりを見回します。
大きな街道にぶつかりました。ここを真っ直ぐ行くとトラウデンの町です。
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