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出発です! ただし、王子と町散策ですけれど…… 4
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「いいですね、視察旅行ですか。アリスが行くなら僕も同行しましょう」
しれっと王子が応対する。
「おかしいだろ。どうしてお前がアリスと一緒に来るんだよ」
「そりゃ、大親友が僕のいとこのところに行くわけですから」
ラティファと王子が言い合いしてます。
微妙に噛み合ってないようですが、とにかく二人とも楽しそうなのでよかったです。私の出る幕は……ありそうにないです。
そういえばさっきいとこって言っていたなぁ。この二人、いとこなのか。なるほど……。どこか似通ったところがあります。
あ、ロイヤルブルーの瞳! 王子の方が濃い、藍色をしていますが、ラティファもきれいな青い瞳です。
「テンメル教会主様、きょうは王子の案内に参りましたが、私も久しぶりに会えてよかったです」
私とテンメル教会主はにこりと微笑み合いました。
「アリスも大きくなって……。究極魔法のほうはどうだい? 増税もあるから、やはりアリスが行かないとダメな状況なのかい?」
テンメル教会主は悲しげにため息をついた。
「……究極魔法のほうは毎日楽しく修行しています。でも、状況的には……、早くうごいたほうがいいかもしれないというところです」
なんだか歯切れが悪い返事になってしまった。教会税の問題もあるので、私の探査のことを言って、テンメル教会主の立場を危ぶませるわけにいかない……。嘘も言えないし、仕方ない。
「町では、王都と教会のひどい圧力が噂になっている。ラッセル侯が食い止めてはいるが、いつまで持つか……とな。大丈夫、アリス、私は何も知らないし、聞いてない……。頑張りなさい」
おじいちゃん先生はアリスをやさしく見つめた。
「はい、がんばってきます」
「うん、気をつけて。力になれることもあるだろう。困ったら連絡しなさい。これでも君の師匠でもあるのだから」
私たちがこそこそと話していたら、あちらのバトルも終わったみたい。
二人とも好敵手だったようです。さすがいとこ同士。目がランランとして……、ほんと、楽しそうで何よりですね。
王子は一息ついて、テンメル教会主の方を向いた。
「お懐かしいです。お元気そうなお顔を拝見できてよかったです。今日、テンメル教会主のところへお伺いした理由は、父ロドニエル王のことです。父の愛人のことはご存知ですか」
「ああ、王子。大きくなられて……。お会いしたのは、10数年前だったか」
「はい。テンメル教会主に遊んでもらったことはよく覚えています」
私とラティファがきょとんとしていると、
「昔、城に上がったことがあって……、その際、王子のお世話を少ししたことがあるんだよ。この町にも何度かお忍びで遊びにいらっしゃってなあ……、おもちゃを買いに視察に来たんだっけ?」
テンメル教会主は懐かしそうに笑みをこぼしました。
「……、昔のことです」
王子はバツが悪そうにしています。
「こんなに立派になられて、さぞかし王も王妃も誇りに思っているだろうよ」
「それならばいいのですが」
王子は続けた。
「その……、ご意見を聞かせていただきたくて……。父の愛人、リリアーヌのことです。副教皇の親戚筋らしいのですが……」
ラティファも黙って聞いています。ご親戚なら王家の事情も私よりももっとご存知かもしれません。
王家のプライベートのことだし、私はちょっと席をはずしたほうがいいかもしれませんね。
私はそっと部屋を去ろうとしました。
「アリスもよかったら、聞いてほしい。無関係じゃないんだから……」
王子は悲し気に目を伏せた。
自分のお父さま、お母さまのことだもの、心配よね。現在無関係だと思うんだけど……。王子が聞いていてほしいというならば……。私は軽くうなずいて、一歩後ろに引いたところで、聞くことにしました。
「テンメル教会主、教えてほしいんだが……。父は母と別れ、愛人と一緒になりたいというが……、それは可能なのか」
「そうですね、教典によれば、離婚は無理ですが……。たとえば、王が改宗されるとか、もしくは教典を変える、国教を変更するなどすればできないこともありません。過去には離婚された王もいらっしゃいましたが……」
テンメル教会主は難しい顔をした。
「そうか……。やはりそうなるか」
王子は苦虫を噛み潰したような、渋い顔だ。
「国王様が離婚したいと言われても、教皇様は何もおっしゃらないでしょう。教皇様が積極的に教義を変えるなどはされないと思います。我々は宗教家です。人を救うべく立場ですから、教義をたやすく変えることはできません」
テンメル教会主は王子を心配そうに見て、さらに言いづらそうに続けた。
「いずれ……、国王様と教皇様が話し合うことになると思います。ところで、副教皇は政治に大変興味がおありだとか? 教皇様と副教皇様は、お立場が違うようで……、副教皇はいろいろご活躍しているようですね」
テンメル教会主は愁いを帯びた声で王子に確認する。
「……、副教皇か。王家にまで侵入してきているよ。婚約破棄にカトリーヌだ」
王子は皮肉たっぷりに笑いました。
「アンソニー、お前がオヤジを抜けばいいんだよ」
ラティファは腕組みをした。
「そうはいっても、お二人は親子ですからな、なかなか難しいやもしれないですな。覚悟が必要ですから」
テンメル教会主は慮った。
「いずれ俺も対決しなくてはいけないときがくるということか」
「……」
テンメル教会主もラティファもつらそうな顔をした。
「それよりもお前、新しい婚約者がもういるんだって?」
ラティファは肘でアンソニーをつつきます。
「痛いよ、乱暴だな。ラティファは」
「新しい婚約者はどうよ、どうよ?」
「こんなところで言えないだろう。アリスもいるし」
ラティファは王子をからかい始めました。
私は全然気にしませんから、どうぞどうぞ。続けてください。
「いとこ同士、仲がよきことで……。親しい国交が続きそうで何より」
テンメル教会主は目を細めて見守っています。おじいちゃん先生と目があいました。
「王の姉・マーガレット様がピュララティスの国王へ嫁いでいてな。王は、王妃と結婚したのだが、王妃は王と王の姉のいとこにあたり、またラティファと王子はいとこ同士であるのだよ。マーガレットさまは王妃と大変親しくてなあ。今の状況をきっと憂いておいでだろう。思慮深く、穏やかな方だったが、ラティファの曲がったことが嫌いで活発な性格は、父親譲りかな」
私はテンメル教会主の言葉にうなずいた。
「男はこいつだけじゃない。アリス、うちの国にもいい男はいっぱいいるから遊びにおいで。アリスなら私の兄を紹介してもいいし。兄はまだ独身で、婚約もしていない。妹の私が言うのもなんなんだが、悪くないと思うよ」
ラティファが私の手をつかみました。
え? えええ?
いやあ、これは社交辞令でしょう。あり得ないから、あり得ないから。ピュララティスの王族とかない、ない。たぶん、ない。
「あ、ありがとうございます。知識をひろげるため近々旅にでようと考えているので……、もし、ピュアララティスに立ち寄る機会がありましたら、ラティファのところへご挨拶にまいりますね」
「絶対だよ?」
ラティファは私の目をじっと見た。
「はい。お約束します」
社交辞令の微笑みさく裂です。
「やった、アリスはうちの国に来るって……。そのまま兄貴と結婚して永住してもいいからね」
ラティファはアンソニーを煽っています。
「ふん、社交辞令だろう。まあ、もしピュララティスに行くときは、俺も一緒に視察に行くよ」
「ええ? 本気に決まってるじゃん。あー、お前は来なくていいよ」
王子とラティファはバチバチと火花をちらしています。
どこまでもお二人は仲良しですね。私も微笑ましくお二人の御様子を見学することにしましょう。しかし、社交辞令は、心臓に悪いですね。
疲れた……とため息をついたら、テンメル教会主は笑いをこらえておいででした。
その後、テンメル教会主と話しが済んだ王子の顔色は晴れず、だいぶ落ち込んでいました。
お父さまのことだもの……、仕方ないわ。
私は王子の心中を考えると、なんて励ましていいのかわかりません。お父さまとお母さまがもしそうなったらと思うと、ぞっとしました。
しばらくして……、テンメル教会主とラティファと別れ、私と王子は教会を出ました。
まだ青い空が眩しくて、でも、夕闇が近づいているせいか、いくらか涼しい風が出てきて、過ごしやすくなっていました。
しれっと王子が応対する。
「おかしいだろ。どうしてお前がアリスと一緒に来るんだよ」
「そりゃ、大親友が僕のいとこのところに行くわけですから」
ラティファと王子が言い合いしてます。
微妙に噛み合ってないようですが、とにかく二人とも楽しそうなのでよかったです。私の出る幕は……ありそうにないです。
そういえばさっきいとこって言っていたなぁ。この二人、いとこなのか。なるほど……。どこか似通ったところがあります。
あ、ロイヤルブルーの瞳! 王子の方が濃い、藍色をしていますが、ラティファもきれいな青い瞳です。
「テンメル教会主様、きょうは王子の案内に参りましたが、私も久しぶりに会えてよかったです」
私とテンメル教会主はにこりと微笑み合いました。
「アリスも大きくなって……。究極魔法のほうはどうだい? 増税もあるから、やはりアリスが行かないとダメな状況なのかい?」
テンメル教会主は悲しげにため息をついた。
「……究極魔法のほうは毎日楽しく修行しています。でも、状況的には……、早くうごいたほうがいいかもしれないというところです」
なんだか歯切れが悪い返事になってしまった。教会税の問題もあるので、私の探査のことを言って、テンメル教会主の立場を危ぶませるわけにいかない……。嘘も言えないし、仕方ない。
「町では、王都と教会のひどい圧力が噂になっている。ラッセル侯が食い止めてはいるが、いつまで持つか……とな。大丈夫、アリス、私は何も知らないし、聞いてない……。頑張りなさい」
おじいちゃん先生はアリスをやさしく見つめた。
「はい、がんばってきます」
「うん、気をつけて。力になれることもあるだろう。困ったら連絡しなさい。これでも君の師匠でもあるのだから」
私たちがこそこそと話していたら、あちらのバトルも終わったみたい。
二人とも好敵手だったようです。さすがいとこ同士。目がランランとして……、ほんと、楽しそうで何よりですね。
王子は一息ついて、テンメル教会主の方を向いた。
「お懐かしいです。お元気そうなお顔を拝見できてよかったです。今日、テンメル教会主のところへお伺いした理由は、父ロドニエル王のことです。父の愛人のことはご存知ですか」
「ああ、王子。大きくなられて……。お会いしたのは、10数年前だったか」
「はい。テンメル教会主に遊んでもらったことはよく覚えています」
私とラティファがきょとんとしていると、
「昔、城に上がったことがあって……、その際、王子のお世話を少ししたことがあるんだよ。この町にも何度かお忍びで遊びにいらっしゃってなあ……、おもちゃを買いに視察に来たんだっけ?」
テンメル教会主は懐かしそうに笑みをこぼしました。
「……、昔のことです」
王子はバツが悪そうにしています。
「こんなに立派になられて、さぞかし王も王妃も誇りに思っているだろうよ」
「それならばいいのですが」
王子は続けた。
「その……、ご意見を聞かせていただきたくて……。父の愛人、リリアーヌのことです。副教皇の親戚筋らしいのですが……」
ラティファも黙って聞いています。ご親戚なら王家の事情も私よりももっとご存知かもしれません。
王家のプライベートのことだし、私はちょっと席をはずしたほうがいいかもしれませんね。
私はそっと部屋を去ろうとしました。
「アリスもよかったら、聞いてほしい。無関係じゃないんだから……」
王子は悲し気に目を伏せた。
自分のお父さま、お母さまのことだもの、心配よね。現在無関係だと思うんだけど……。王子が聞いていてほしいというならば……。私は軽くうなずいて、一歩後ろに引いたところで、聞くことにしました。
「テンメル教会主、教えてほしいんだが……。父は母と別れ、愛人と一緒になりたいというが……、それは可能なのか」
「そうですね、教典によれば、離婚は無理ですが……。たとえば、王が改宗されるとか、もしくは教典を変える、国教を変更するなどすればできないこともありません。過去には離婚された王もいらっしゃいましたが……」
テンメル教会主は難しい顔をした。
「そうか……。やはりそうなるか」
王子は苦虫を噛み潰したような、渋い顔だ。
「国王様が離婚したいと言われても、教皇様は何もおっしゃらないでしょう。教皇様が積極的に教義を変えるなどはされないと思います。我々は宗教家です。人を救うべく立場ですから、教義をたやすく変えることはできません」
テンメル教会主は王子を心配そうに見て、さらに言いづらそうに続けた。
「いずれ……、国王様と教皇様が話し合うことになると思います。ところで、副教皇は政治に大変興味がおありだとか? 教皇様と副教皇様は、お立場が違うようで……、副教皇はいろいろご活躍しているようですね」
テンメル教会主は愁いを帯びた声で王子に確認する。
「……、副教皇か。王家にまで侵入してきているよ。婚約破棄にカトリーヌだ」
王子は皮肉たっぷりに笑いました。
「アンソニー、お前がオヤジを抜けばいいんだよ」
ラティファは腕組みをした。
「そうはいっても、お二人は親子ですからな、なかなか難しいやもしれないですな。覚悟が必要ですから」
テンメル教会主は慮った。
「いずれ俺も対決しなくてはいけないときがくるということか」
「……」
テンメル教会主もラティファもつらそうな顔をした。
「それよりもお前、新しい婚約者がもういるんだって?」
ラティファは肘でアンソニーをつつきます。
「痛いよ、乱暴だな。ラティファは」
「新しい婚約者はどうよ、どうよ?」
「こんなところで言えないだろう。アリスもいるし」
ラティファは王子をからかい始めました。
私は全然気にしませんから、どうぞどうぞ。続けてください。
「いとこ同士、仲がよきことで……。親しい国交が続きそうで何より」
テンメル教会主は目を細めて見守っています。おじいちゃん先生と目があいました。
「王の姉・マーガレット様がピュララティスの国王へ嫁いでいてな。王は、王妃と結婚したのだが、王妃は王と王の姉のいとこにあたり、またラティファと王子はいとこ同士であるのだよ。マーガレットさまは王妃と大変親しくてなあ。今の状況をきっと憂いておいでだろう。思慮深く、穏やかな方だったが、ラティファの曲がったことが嫌いで活発な性格は、父親譲りかな」
私はテンメル教会主の言葉にうなずいた。
「男はこいつだけじゃない。アリス、うちの国にもいい男はいっぱいいるから遊びにおいで。アリスなら私の兄を紹介してもいいし。兄はまだ独身で、婚約もしていない。妹の私が言うのもなんなんだが、悪くないと思うよ」
ラティファが私の手をつかみました。
え? えええ?
いやあ、これは社交辞令でしょう。あり得ないから、あり得ないから。ピュララティスの王族とかない、ない。たぶん、ない。
「あ、ありがとうございます。知識をひろげるため近々旅にでようと考えているので……、もし、ピュアララティスに立ち寄る機会がありましたら、ラティファのところへご挨拶にまいりますね」
「絶対だよ?」
ラティファは私の目をじっと見た。
「はい。お約束します」
社交辞令の微笑みさく裂です。
「やった、アリスはうちの国に来るって……。そのまま兄貴と結婚して永住してもいいからね」
ラティファはアンソニーを煽っています。
「ふん、社交辞令だろう。まあ、もしピュララティスに行くときは、俺も一緒に視察に行くよ」
「ええ? 本気に決まってるじゃん。あー、お前は来なくていいよ」
王子とラティファはバチバチと火花をちらしています。
どこまでもお二人は仲良しですね。私も微笑ましくお二人の御様子を見学することにしましょう。しかし、社交辞令は、心臓に悪いですね。
疲れた……とため息をついたら、テンメル教会主は笑いをこらえておいででした。
その後、テンメル教会主と話しが済んだ王子の顔色は晴れず、だいぶ落ち込んでいました。
お父さまのことだもの……、仕方ないわ。
私は王子の心中を考えると、なんて励ましていいのかわかりません。お父さまとお母さまがもしそうなったらと思うと、ぞっとしました。
しばらくして……、テンメル教会主とラティファと別れ、私と王子は教会を出ました。
まだ青い空が眩しくて、でも、夕闇が近づいているせいか、いくらか涼しい風が出てきて、過ごしやすくなっていました。
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