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ナイスアイディア!
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「じゃ、フィリップは何をしていたんだい?」
お父さまはフィリップの方を向いた。
「きょうは王都の歴史とうちの領地の歴史を照らし合わせてみました。また、帳簿の見方をセバスに教わりました。僕は座学です……。あとはお姉さまの究極魔法の見学です。とっても面白かったです」
ニコニコしながら毒を吐くフィリップを見て、お父さまは苦笑いだ。
「まあ、楽しかったならよかった。平和が一番だよ。我が家が一番いい」
「そうね。フィリップはまだ勉強することがたくさんあるからね」
お父さまとお母さまはスルースキルでフィリップの苦情をさらりとかわします。
フィリップが何か言いたそうにしています。これ以上しゃべると、フィリップが爆発するかも?
反抗期ですからね。どれどれ、私が空気を変えましょう。
「ところでお父さま……。王都はいかがでしたか?」
なんだかお父さまは大変だったみたいね。お疲れになってそうよ。
お父さまはしんどそうに首を横に振った。
お母さまもフィリップもお父さまの顔を心配そうにじっと見た。
「王都は相変わらずだな。増税、増税と教会も王もうるさいよ。はあ、これ以上どうしろと言うのか。休耕地を使って、何か作らせるか。少し余剰の分を他国へ流すか。とりあえず今年はこれで対応するしかない。その間に根本的に解決できる道を探るか……、難しいな」
お父さまは口角を下げて渋い顔をした。
「お父さま、それならば領地の開拓はいかがですか? 森を切り開いて、新しい街をつくったら……」
とりあえず、わたしは思いついたことを話してみた。
うちの領地の奥には黒い森と山々があり、まだ人の手が入っていない場所があるの。魔物が住んでいるとか噂があるけどね。
教会も王も「土地を開拓したら、その土地は開拓した人のもの」と認めているので、開拓したら領地を拡大できるのよ。でもね……、開拓って普通に考えたら大変よ。
木を切り倒し、岩をどけ、石を取り除いて、平地にしたり……。水を引き込まないといけないもの。隠遁生活するなら、一人で森に住めばいいけど。開拓事業をして、領土を拡大するなら、人々の移住も考えないといけないでしょ。
「たしかに、それも考えたが……。町の人間を集めて開拓するには時間がかかり過ぎる。開拓は数年がかりになるだろう。人々が住めるのになるのはさらに先になる。増税に対応するには、時間が足りないんだ。領土が拡大したら、また増税を課せられる可能性もあるしなあ」
「お父さまが指揮をとるのは難しいかもしれませんが、わたしかフィリップが開拓するというのはどうでしょう。フィリップは開拓できるような歳ではないし、後継ぎだから……。私が開拓の指揮をとれば……」
「おまえが? アリスが?」
お父さまは驚いている。お母さまは大きなため息をついた。
「アリスなら、やはり言い出すと思ってましたよ。フィリップに公爵をって思っているのでしょう? 」
お母さまの言葉に私はうつむいた。
「気を使わなくてもいいのよ。フィリップが公爵になっても、いつまでもうちにアリスはいていいのだから。何だったら私が開拓の指揮をとっても……」
お母さまが胸を張る。
「お母さま……」
ううう。涙が目に浮かんじゃうわ。お母さま、大好きです。毎日怒られてもいいの。お母さまはやっぱり私のお母さまよ。
ちょっと美女が先頭に馬を走らせているところを想像しちゃったじゃない。かっこいい! イケてる! とは思ったけど。
お母さまが開拓の指揮を執るといってもねえ。
やっぱりお母さまはこの屋敷と、お父さまがいなかった時の留守の領土を守らなくてはいけないでしょ。フィリップだってまだ幼いし。領主の補佐として動けるようになるには、まだ少し時間がかかるものね。
「お母さまは、お父さまを支えてください。それはお母さましかできないお仕事ですから。私には究極魔法もマカミも、ブラウンもいます。大丈夫です。なんとかなりますから、どうか任せてくれませんか」
お母さまも開拓を思いついていたのに黙っていたのね。私が出て行くのを阻止するために……。でも、ごめんなさい。これは私向きのお仕事ですからね。私がバリバリやりますよ。お母さまは見守っていてください。
思いついたんだけど、もっと早く開拓しようって腹をくくれば、こっちから婚約破棄することもできたかもしれないわよね。私、結婚せず自立して暮らしますからって宣言してさ。そういう選択肢もあったんだなあと今更ながら思うの。
正直に言えば、婚約破棄されてむかむかはしているのよ。別に王子に未練があるわけじゃない。好きでもなかったし。どちらかと言えば、理由もわからずフラれたことに腹を立ててるの。
理由を聞いても、納得できるどうかはわからない。だって、人の気持ちって割り切れないもの。
でも、でもね、説明責任はあると思うのよ。
あのクソ王子!
失礼。思わず脳内から漏れちゃったわ。どうでもいいって思えるほど、私は枯れてないんだもの。ロマンスのチャンスを棒に振ってくれたわけだし。いつか嫌味の一つくらい言ってやりたいわ。
「アリス、気を使うことはないのだよ。お前もわたしの可愛い娘なんだから」
「そうだよ、お姉さまはずっと家にいればいいんだよ」
お父さまは必死で止めようとし、フィリップは私に抱き着いてきた。
「ありがとう。婚約破棄されたし、これからの人生、どうやって過ごしていこうかって考えていたの。だから、開拓は私が適任だと思います」
「アリス……」
お父さまとお母さまが涙声になっている。
「くそ、婚約破棄した王子が悪いんだ。お姉さまをいじめて……」
フィリップが悪人面になっている。
だめ、そんな顔しちゃ。フィリップは天使の顔でいてよ。歪んだ顔もなかなかさまになっているけどさ。
跡継ぎはやっぱり弟でしょ。優秀な人に継がせるというのがうちの家訓らしいけど。弟はとても優秀だし、社交的だし、任せて安心よ。
私は社交より本が読めればいいし、魔法を使って、のんびりと暮らせればいいかなって思っちゃうタイプだもの。もちろん、弟やお父さまのお手伝いはするつもりだったけど。
貴族的やりとりとか面倒なことって苦手なんだよね。本心を探るのは大変だもの。
王都まで出かけて本屋にいくのはいいけど、王様や教皇様のところに行って、ご挨拶して、何言っているんだかわからない話を聞き、いっしょにご飯を食べるなんてうんざり。
お母さまの付き添いでティーパーティーにもたまに行くけどね。ご婦人たちの集まりも面白いけど、月に1回、2か月に1回くらいあればいいかな。おしゃべりの言葉の裏の裏まで読むのなんて、私にはできないよ。
わたしはお父さまを見つめた。
「ああ、そうだな。開拓か……。いずれはと思っていたが。何もいま、年ごろの娘が開拓の指揮をとらなくてもいいだろう」
お父さまは眉をハの字に下げた。
「アリス、若いころは、おしゃれしたり、恋をしたり……、おしゃれしたり、恋をしたりっていろいろあるわよ。デートもできるし」
真顔のお母さま、同じこと二回も言ってますよ。
結婚も恋愛も、私にはもう難しいでしょう? わかってます。多分、この国の男の人は寄ってこないわ。他所の国の人だってそうよ。
それならそれで楽しいことをするのもいいじゃない? もちろん、婚約破棄を気にしない人がいて、恋愛ができればいいなとは思うけど。
夢よね。
私が静かに首を横に振ると、お父さまもお母さまも大きなため息をついた。
「開拓しても黒い森あたりなら……、思念波を飛ばすのもできるし、いざとなったら空間魔法でちゃっちゃと帰ってきますから。これからも精進して、限界を突破する予定ですし」
「限界突破はおいておくとして。……約束よ?」
お母さま……。泣かないで。
お父さまも涙ぐんでハンカチを取り出した。
「僕もお姉さまといく」
フィリップが目に涙をためてウルウルしている。
こんな目されると、断るのが大変じゃない。
でも、でも、ダメ。フィリップにはフィリップの仕事があるわ。
「フィリップが遊びに来られるような素敵な街をつくるから、それまでに領地の施策や貿易の勉強しといてね」
「……うう。お姉さま」
「それで、私が作った町も立派に治められるようにしてね。あっという間に町を作ってくるから、待っててね」
フィリップは私を力いっぱい抱きしめた。
ふふふ、まだまだ子どもね。可愛いわ。反抗期よ、さようなら。この可愛いフィリップのぎゅーの図、覚えておかないと。
いつまで湿っぽくても仕方がないわ。さて、準備に取り掛かりますか!
私はマカミを見ると、マカミはすべて聞いていたようで「ワンッ」と返事をした。
お父さまはフィリップの方を向いた。
「きょうは王都の歴史とうちの領地の歴史を照らし合わせてみました。また、帳簿の見方をセバスに教わりました。僕は座学です……。あとはお姉さまの究極魔法の見学です。とっても面白かったです」
ニコニコしながら毒を吐くフィリップを見て、お父さまは苦笑いだ。
「まあ、楽しかったならよかった。平和が一番だよ。我が家が一番いい」
「そうね。フィリップはまだ勉強することがたくさんあるからね」
お父さまとお母さまはスルースキルでフィリップの苦情をさらりとかわします。
フィリップが何か言いたそうにしています。これ以上しゃべると、フィリップが爆発するかも?
反抗期ですからね。どれどれ、私が空気を変えましょう。
「ところでお父さま……。王都はいかがでしたか?」
なんだかお父さまは大変だったみたいね。お疲れになってそうよ。
お父さまはしんどそうに首を横に振った。
お母さまもフィリップもお父さまの顔を心配そうにじっと見た。
「王都は相変わらずだな。増税、増税と教会も王もうるさいよ。はあ、これ以上どうしろと言うのか。休耕地を使って、何か作らせるか。少し余剰の分を他国へ流すか。とりあえず今年はこれで対応するしかない。その間に根本的に解決できる道を探るか……、難しいな」
お父さまは口角を下げて渋い顔をした。
「お父さま、それならば領地の開拓はいかがですか? 森を切り開いて、新しい街をつくったら……」
とりあえず、わたしは思いついたことを話してみた。
うちの領地の奥には黒い森と山々があり、まだ人の手が入っていない場所があるの。魔物が住んでいるとか噂があるけどね。
教会も王も「土地を開拓したら、その土地は開拓した人のもの」と認めているので、開拓したら領地を拡大できるのよ。でもね……、開拓って普通に考えたら大変よ。
木を切り倒し、岩をどけ、石を取り除いて、平地にしたり……。水を引き込まないといけないもの。隠遁生活するなら、一人で森に住めばいいけど。開拓事業をして、領土を拡大するなら、人々の移住も考えないといけないでしょ。
「たしかに、それも考えたが……。町の人間を集めて開拓するには時間がかかり過ぎる。開拓は数年がかりになるだろう。人々が住めるのになるのはさらに先になる。増税に対応するには、時間が足りないんだ。領土が拡大したら、また増税を課せられる可能性もあるしなあ」
「お父さまが指揮をとるのは難しいかもしれませんが、わたしかフィリップが開拓するというのはどうでしょう。フィリップは開拓できるような歳ではないし、後継ぎだから……。私が開拓の指揮をとれば……」
「おまえが? アリスが?」
お父さまは驚いている。お母さまは大きなため息をついた。
「アリスなら、やはり言い出すと思ってましたよ。フィリップに公爵をって思っているのでしょう? 」
お母さまの言葉に私はうつむいた。
「気を使わなくてもいいのよ。フィリップが公爵になっても、いつまでもうちにアリスはいていいのだから。何だったら私が開拓の指揮をとっても……」
お母さまが胸を張る。
「お母さま……」
ううう。涙が目に浮かんじゃうわ。お母さま、大好きです。毎日怒られてもいいの。お母さまはやっぱり私のお母さまよ。
ちょっと美女が先頭に馬を走らせているところを想像しちゃったじゃない。かっこいい! イケてる! とは思ったけど。
お母さまが開拓の指揮を執るといってもねえ。
やっぱりお母さまはこの屋敷と、お父さまがいなかった時の留守の領土を守らなくてはいけないでしょ。フィリップだってまだ幼いし。領主の補佐として動けるようになるには、まだ少し時間がかかるものね。
「お母さまは、お父さまを支えてください。それはお母さましかできないお仕事ですから。私には究極魔法もマカミも、ブラウンもいます。大丈夫です。なんとかなりますから、どうか任せてくれませんか」
お母さまも開拓を思いついていたのに黙っていたのね。私が出て行くのを阻止するために……。でも、ごめんなさい。これは私向きのお仕事ですからね。私がバリバリやりますよ。お母さまは見守っていてください。
思いついたんだけど、もっと早く開拓しようって腹をくくれば、こっちから婚約破棄することもできたかもしれないわよね。私、結婚せず自立して暮らしますからって宣言してさ。そういう選択肢もあったんだなあと今更ながら思うの。
正直に言えば、婚約破棄されてむかむかはしているのよ。別に王子に未練があるわけじゃない。好きでもなかったし。どちらかと言えば、理由もわからずフラれたことに腹を立ててるの。
理由を聞いても、納得できるどうかはわからない。だって、人の気持ちって割り切れないもの。
でも、でもね、説明責任はあると思うのよ。
あのクソ王子!
失礼。思わず脳内から漏れちゃったわ。どうでもいいって思えるほど、私は枯れてないんだもの。ロマンスのチャンスを棒に振ってくれたわけだし。いつか嫌味の一つくらい言ってやりたいわ。
「アリス、気を使うことはないのだよ。お前もわたしの可愛い娘なんだから」
「そうだよ、お姉さまはずっと家にいればいいんだよ」
お父さまは必死で止めようとし、フィリップは私に抱き着いてきた。
「ありがとう。婚約破棄されたし、これからの人生、どうやって過ごしていこうかって考えていたの。だから、開拓は私が適任だと思います」
「アリス……」
お父さまとお母さまが涙声になっている。
「くそ、婚約破棄した王子が悪いんだ。お姉さまをいじめて……」
フィリップが悪人面になっている。
だめ、そんな顔しちゃ。フィリップは天使の顔でいてよ。歪んだ顔もなかなかさまになっているけどさ。
跡継ぎはやっぱり弟でしょ。優秀な人に継がせるというのがうちの家訓らしいけど。弟はとても優秀だし、社交的だし、任せて安心よ。
私は社交より本が読めればいいし、魔法を使って、のんびりと暮らせればいいかなって思っちゃうタイプだもの。もちろん、弟やお父さまのお手伝いはするつもりだったけど。
貴族的やりとりとか面倒なことって苦手なんだよね。本心を探るのは大変だもの。
王都まで出かけて本屋にいくのはいいけど、王様や教皇様のところに行って、ご挨拶して、何言っているんだかわからない話を聞き、いっしょにご飯を食べるなんてうんざり。
お母さまの付き添いでティーパーティーにもたまに行くけどね。ご婦人たちの集まりも面白いけど、月に1回、2か月に1回くらいあればいいかな。おしゃべりの言葉の裏の裏まで読むのなんて、私にはできないよ。
わたしはお父さまを見つめた。
「ああ、そうだな。開拓か……。いずれはと思っていたが。何もいま、年ごろの娘が開拓の指揮をとらなくてもいいだろう」
お父さまは眉をハの字に下げた。
「アリス、若いころは、おしゃれしたり、恋をしたり……、おしゃれしたり、恋をしたりっていろいろあるわよ。デートもできるし」
真顔のお母さま、同じこと二回も言ってますよ。
結婚も恋愛も、私にはもう難しいでしょう? わかってます。多分、この国の男の人は寄ってこないわ。他所の国の人だってそうよ。
それならそれで楽しいことをするのもいいじゃない? もちろん、婚約破棄を気にしない人がいて、恋愛ができればいいなとは思うけど。
夢よね。
私が静かに首を横に振ると、お父さまもお母さまも大きなため息をついた。
「開拓しても黒い森あたりなら……、思念波を飛ばすのもできるし、いざとなったら空間魔法でちゃっちゃと帰ってきますから。これからも精進して、限界を突破する予定ですし」
「限界突破はおいておくとして。……約束よ?」
お母さま……。泣かないで。
お父さまも涙ぐんでハンカチを取り出した。
「僕もお姉さまといく」
フィリップが目に涙をためてウルウルしている。
こんな目されると、断るのが大変じゃない。
でも、でも、ダメ。フィリップにはフィリップの仕事があるわ。
「フィリップが遊びに来られるような素敵な街をつくるから、それまでに領地の施策や貿易の勉強しといてね」
「……うう。お姉さま」
「それで、私が作った町も立派に治められるようにしてね。あっという間に町を作ってくるから、待っててね」
フィリップは私を力いっぱい抱きしめた。
ふふふ、まだまだ子どもね。可愛いわ。反抗期よ、さようなら。この可愛いフィリップのぎゅーの図、覚えておかないと。
いつまで湿っぽくても仕方がないわ。さて、準備に取り掛かりますか!
私はマカミを見ると、マカミはすべて聞いていたようで「ワンッ」と返事をした。
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