天使と悪魔ーエクスシアー

ピーコ

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魔界篇 

魔界 8

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(もし、オファニエルが、悪魔じゃなくて、堕天した元天使だったら、凄くねぇー!?)

悠真は単純にそう思うと、キラキラと目を輝かせる。

蓮は、悠真とは対照的に考えながら、冷静にオファニエルを分析していた。

(確かに、オファニエルと名乗る悪魔は、悪魔にしか見えないが、所々で腑に落ちない所があるのも確かだ、元天使に見えなくもない、……だが、今は、確信できる証拠が何も無い。俺には、確かめる術も無い……今のところは……決定的な天使だと、証明する決め手がない。)

蓮は、溜め息をついた。

(本当は、元天使かもしれないが、だとしたら、少し厄介だな。)

蓮は、浮かない顔をする。

悠真は、そんな蓮に全く、気づかず。自分のあたまの中の整理をする為に、蓮に、色々聞き出し始めた。

「あのさ、蓮。悪魔のなかには、天界から追放されて地上に落ちてきた天使もいるって、ゲームの本で読んだことがあるんだけどさ。」

蓮は、黙って悠真の話を聞く。

「オレ達人間の住む世界、地上に堕天した天使は、天界には戻れなくて、堕天した天使のままか、悪魔になるしかなかったのか?」

「……。」

(ゲームの中の話しか……。まるで……俺のことのような話しだな。)

「…ああ…そう…そうだな。」

悠真の問いかけに、蓮は、複雑な思いで答えた。

知らない悠真は、どんどん、言葉を続ける。

「……だから、堕天した天使の中には、悪魔になったりする、元は天使だったと言う悪魔がいても、おかしくはないんだよな?」

「ああ、そうだな……悠真。確かにそういった、悪魔は、いくらでもいる。例えオファニエルが、天使だったとしても、今の世界では、珍しくは無い。」

(かつての俺のように……。)


「だからさ!オファニエルは、悪魔の女子は、悪魔なのに回復魔法も使えるし…攻撃魔法は、めっぽう、強いみたいだし!実は、天界から追放された堕天使で、本当は、悪魔になった、元天使っていう事も、あり得るんだよな!」

「……。」

悠真は、キラキラと輝いた目で、蓮を見ている。

「……その可能性は、無くも無いが、あくまでもそれは、俺たちの推測でしかない。本人に聞いてみないと本当の事は分からない、ただ、仮に、もしオファニエルが、天使だったとしたら、悠真は、どうしたいんだ?」


「そりゃ!!もちろん!!天国に一緒に乗り込むんだ!」

「!!!」

蓮は、息を呑んだ。

「いや、連れてって貰う?いや、一緒について行く?」悠真は、頭を傾げるながら、今ひとつ、スッキリしない様子で言う。

「まあ、とりあえず、天国に帰りたいって、言うんなら、天国へ、帰してあげたいんだよ。」

「……!!!」

蓮は、からだを震わせた。

「ん?」

悠真は、そう言って、頭を傾げた。

「蓮??どうしたんだよ?」

蓮は、悠真に何故、あのお方の魂が宿ったのか、分かった気がした。

いつか、悠真に全てを話す時がくる、その日がいつになるのか、今の蓮には、見当がつかないが、そう遠くないと、感じた蓮であった。





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