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魔界篇
魔界 7
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しばらくの間、蓮は沈黙し、考えをめぐらせた。
いつ頃の話なのか分からないが、聞いたことがある。
悪魔界に君臨する、女帝がいると。
その美貌は、どんな天使をもひと目で陥落させるほど美しく、魅惑的で、魔力は悪魔界に君臨するほど絶大で、魔界におけるナンバー2と呼ばれ、魔王の腹心的な存在だと言われていた。
しかし、今では、悪魔界にその女帝の存在が無く、以前の天使と悪魔の対戦で、消滅したと、風の噂で囁かれていた。
蓮は考えながら悪魔の女子こと、オファニエルを眺めた。
ただ、思い出しただけの事だが、今、このオファニエルと、悪魔界の女帝を当てはめようとしている自分が居る事に、甚だ悪魔界を仮にも統率していた女帝に対して失礼だと思い、苦笑いした。
(ふと、何気に思い出しただけの事なのにな…。)
「ほら!」
突然大きな声で悠真が叫んだ。
「見ろよ!悪魔の女!」
「な、何ですってぇー!!私にはちゃんと、オファニエルって、可愛らしい!名前があるって言うのが、わからないのー!?」
「蓮だって!笑ってるじゃないかー!」
オファニエルは、蓮を恐い目つきで睨みながら見た。
気がつけば、蓮は先ほどの戦いにて、少々怪我を負っていたらしく、腕から手にかけて血が流れていた。
咄嗟に、オファニエルは蓮の腕を止血し、回復する魔術らしい言葉を唱え始めた。
オファニエルの以外な行動に、蓮は息を呑んだ。
次第に蓮の腕の傷が治っていき、魔術の言葉を唱え終える頃には、蓮の腕の傷は完治していた。
「すっげぇな!蓮!」
驚いた顔で、悠真が蓮に飛び付いてきた。
「こんな事って、あり得るのかぁー!!!」
と、蓮の腕をマジマジと齧り付いて悠真が見ている。
まるで、子犬のように見えるその姿に、蓮は思わず、ゴシゴシと悠真の頭を、完治した手で撫でた。
すると、蓮も、驚いた顔になって、
「……痛くない…治っている…。」
蓮も、オファニエルの凄さを実感し、オファニエルを少し見直した。
悠真と蓮が、それぞれに見直した視線をオファニエルに向けると、それを察知した、悪魔の女子こと、オファニエルは得意気になって、
「わたしって、本当は、凄いんですのよー!!見たでしょ!今!どんな傷だって、わたしの手にかかれば!あっという間に、治せちゃうんだからーー!もっと、褒めてよねぇー!ほほほほほほほー!」
オファニエルの笑い声が響き渡った。
そんな時、悠真は、ふと疑問に思った。
(あれ?悪魔なのに、そういう回復系魔法って出来るの???ま、オレは何も、知らないから考えても、どーしようもないけどさ。でも、それって、どっちかっていうと、天使なんじゃねぇー??)
いつ頃の話なのか分からないが、聞いたことがある。
悪魔界に君臨する、女帝がいると。
その美貌は、どんな天使をもひと目で陥落させるほど美しく、魅惑的で、魔力は悪魔界に君臨するほど絶大で、魔界におけるナンバー2と呼ばれ、魔王の腹心的な存在だと言われていた。
しかし、今では、悪魔界にその女帝の存在が無く、以前の天使と悪魔の対戦で、消滅したと、風の噂で囁かれていた。
蓮は考えながら悪魔の女子こと、オファニエルを眺めた。
ただ、思い出しただけの事だが、今、このオファニエルと、悪魔界の女帝を当てはめようとしている自分が居る事に、甚だ悪魔界を仮にも統率していた女帝に対して失礼だと思い、苦笑いした。
(ふと、何気に思い出しただけの事なのにな…。)
「ほら!」
突然大きな声で悠真が叫んだ。
「見ろよ!悪魔の女!」
「な、何ですってぇー!!私にはちゃんと、オファニエルって、可愛らしい!名前があるって言うのが、わからないのー!?」
「蓮だって!笑ってるじゃないかー!」
オファニエルは、蓮を恐い目つきで睨みながら見た。
気がつけば、蓮は先ほどの戦いにて、少々怪我を負っていたらしく、腕から手にかけて血が流れていた。
咄嗟に、オファニエルは蓮の腕を止血し、回復する魔術らしい言葉を唱え始めた。
オファニエルの以外な行動に、蓮は息を呑んだ。
次第に蓮の腕の傷が治っていき、魔術の言葉を唱え終える頃には、蓮の腕の傷は完治していた。
「すっげぇな!蓮!」
驚いた顔で、悠真が蓮に飛び付いてきた。
「こんな事って、あり得るのかぁー!!!」
と、蓮の腕をマジマジと齧り付いて悠真が見ている。
まるで、子犬のように見えるその姿に、蓮は思わず、ゴシゴシと悠真の頭を、完治した手で撫でた。
すると、蓮も、驚いた顔になって、
「……痛くない…治っている…。」
蓮も、オファニエルの凄さを実感し、オファニエルを少し見直した。
悠真と蓮が、それぞれに見直した視線をオファニエルに向けると、それを察知した、悪魔の女子こと、オファニエルは得意気になって、
「わたしって、本当は、凄いんですのよー!!見たでしょ!今!どんな傷だって、わたしの手にかかれば!あっという間に、治せちゃうんだからーー!もっと、褒めてよねぇー!ほほほほほほほー!」
オファニエルの笑い声が響き渡った。
そんな時、悠真は、ふと疑問に思った。
(あれ?悪魔なのに、そういう回復系魔法って出来るの???ま、オレは何も、知らないから考えても、どーしようもないけどさ。でも、それって、どっちかっていうと、天使なんじゃねぇー??)
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