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キャンプ場連続殺人事件
キャンプ場連続殺人事件 最終話『結末』
しおりを挟む優斗は藤井誠一が警視庁の廊下を手錠をかけられ歩いていく姿を見つめていた。
結局、藤井は取り調べ官に重要なことは喋らず、検察の手に委ねることになった。
まるで何もかもを見透かしたかのような余裕の表情が、藤井の顔に浮かんでいる。
その不気味な笑みが優斗の神経を逆撫でした。
「これで全てが終わると思っているのか?」
藤井は、まるで独り言のように呟いた。
その言葉が、優斗の胸に重く響いた。
翔の声がリモート越しに聞こえてくる。
「優斗、気にするな。これ以上彼の言葉に惑わされるな。」
だが、優斗の心はまだ落ち着かない。
「これで本当に終わったんでしょうか…?あいつの言葉、何か意味があるような…」
「今は藤井が捕まった。それだけでも一歩前進だ」
と翔は冷静に言う。
優斗は一度頷きかけたが、藤井の顔に浮かぶ笑みが頭から離れない。
藤井は送検の準備が整う中、最後に優斗をじっと見つめ、ふと微笑んだ。
「君たちは私を捕まえた。それは大したことだ。だが、それで全てが終わると考えるのは少し早すぎるね。」
藤井はそう言ってから、冷静に続けた。
「私が君たちに残したもの――それは君たちがこれからも対峙しなければならない。君がどれほど注意深くても、次の私を止められるとは限らない。」
優斗は藤井を強く睨みつけた。
「お前のゲームはここで終わりだ。もう誰も犠牲にはならない。」
「そうだといいがね…」
藤井は少し肩をすくめると、まるですでに次のステージが始まっているかのように続けた。
「私はただの始まりに過ぎない。君がどれだけ頑張っても、私を崇拝する者たちはもう動き出している。彼らが何をするか、楽しみにしているよ。」
その言葉を聞いた瞬間、優斗は胸に冷たいものを感じた。
「コピーキャット…」
「そうだ。私の思想は、私がここにいても生き続ける。次の炎がどこで燃え上がるか、楽しみだね。」
藤井は無言で警察車両に乗り込むと、車はゆっくりと警視庁を後にした。
彼は最後まで、あの冷たい笑みを浮かべたままだった。
---
車が見えなくなり、優斗はその場に立ち尽くしていた。
藤井が送り出した最後の言葉――その余韻が重く残る。
心の中に小さな不安が広がっていた。
「翔さん、あいつの言葉、気になります。まだ何かが残っているような…」
優斗は、スマホ越しに翔に問いかけた。
翔は慎重に答える。
「確かに、藤井の言葉は不気味だ。常に警戒しておこう。」
優斗は頷いたものの、藤井の言葉が頭を離れない。
「コピーキャット…次の者たちが動いている?」
翔は少し考え込んでから、「可能性はある。だが、俺たちが彼を追い詰めたように、次も追い詰める。それが俺たちの仕事だ」と冷静に言った。
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数日後、SNSのある画面に奇妙なコメントが増え始めていた。
「君の道を歩む」
「私もその真実を知りたい」
「彼の意思は受け継がれるべきだ」
藤井誠一を称賛する者たちのコメントが次々と書き込まれていた。
画面を操作する手が映り、誰かがそのメッセージに応えるかのようにコメントを残す。
「私は君の意思を継ぐ」
藤井が遺した影が、ネットの奥で静かに動き始めている。
それが何を意味するのかはまだわからない。
だが、次の事件が始まる兆しは確かにそこにあった。
事件は一応の終わりを迎えたが、次の不気味な脅威が、暗闇の中で静かに息づいていた。
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キャンプ場連続殺人事件編 完
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