リモート刑事 笹本翔

雨垂 一滴

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キャンプ場連続殺人事件

キャンプ場連続殺人事件2『刻印』

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 警視庁に戻った優斗は、すぐにペンダントを証拠品として鑑識に提出した。

 その後、課長室に足を運び、先ほどのキャンプ場での出来事を報告する。

 部屋には課長と山口麗子もいて、真剣な表情で話を聞いていた。

「課長、このペンダントです。」
 優斗はペンダントの画像コピーを課長の机に置く。

「7年前の事件現場付近で管理人が見つけていたものです。樹葉のマークが刻まれていて、犯人に関する重要な手がかりになるかもしれません。」

 課長は眉をひそめ、ペンダントをじっと見つめた。
「鑑識には?」

「すでに提出してあります。指紋やDNAが検出されれば、何か進展があるかもしれません。」
 優斗は頷きながら答えた。

 山口麗子もその場にいて、優斗の話に耳を傾けていた。
「樹葉のマーク…まさかそんなものが見つかるなんて。」

 彼女は驚きの表情を浮かべ、ペンダントに興味を示した。

「私たちの班も事件を再調査すべきね。」

「まずは鑑識の結果を待とう。何か手がかりが見つかれば、どう動くか決まる。」
 課長が冷静に言った。

「そうですね。慎重に進めないと。犯人が7年前と同じであれば、私たちの一挙手一投足が奴の次の行動を促す可能性もある。」

 麗子は課長の言葉に頷きつつ、優斗に目を向けた。
「次はどうするつもり?」

「はい、次は5年前の事件について調査します。同じくキャンプ場で起きた事件です。」
 優斗はスマホを取り出し、翔と連絡を取る。

「翔さん、5年前の事件についての概要をお願いします。」

 スマホの画面に翔の顔が映し出される。

 彼の背後にはいつものように多くの資料とデータが表示されたパソコンの画面が広がっている。

「5年前の事件は木傘山キャンプ場で起きた。被害者は若い女性で、死因は7年前と同じく、紐状の凶器による絞殺だ。」

「そうね。樹葉のシンボルも、被害者の胸に刻まれていた…」
 麗子が呟いた。

「同じく胸元に刃物で樹葉のシンボルが刻まれていた。このシンボルは犯人しか知り得ない『秘密の暴露』として扱われている。だからこそ、ペンダントが見つかったのは興味深い。」

 翔の声は落ち着いているが、その鋭い目は何かを捉えたかのように光っていた。

 優斗は考え込んだ。
「次は木傘山キャンプ場に向かって、現場を再調査します。」

「頼むぞ。」と課長が肩を叩く。

 翔が画面越しに頷く。
「現場にはまだ見落としている手がかりがあるかもしれない。過去の事件をもう一度見直し、全ての情報を精査するんだ。」

「了解しました、翔さん。」
 優斗はスマホを切り、課長と麗子に向き直る。

「木傘山キャンプ場に向かいます。現場を再確認して、新たな手がかりを探してみます。」

「気をつけて行け、優斗。」
 課長が短く言った。
「何かわかったらすぐに報告しろ。」

「はい。」
 優斗は頷き、部屋を後にした。

 麗子もその背中を見送るように視線を送った。


---

 車に乗り込み、エンジンをかけながら優斗は心の中で決意を固めた。

 7年前と5年前の事件は同一犯に間違いない。

 奴はまた動き出す可能性がある。
 しかし止めてみせる。

 翔の推理と自分の現場での直感が交われば、犯人を捕まえることができるはずだ。

 車を発進させ、木傘山キャンプ場へと向かう道を急ぐ。

 優斗は緊張を胸に秘めながらハンドルを握った。


---

つづく


---
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