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第2章
警告
しおりを挟む舞う砂埃。
「つうちゃん…!!!」
友愛が居ても立ってもいられなくなったようで声を上げた。
「(倒したの…?)」
砂埃が落ち着いてくるとクレーターから手が見えた。
ゆっくりと現れた艶鐘は自分自身に鞭を巻き付けてありほぼ全身を氷の花で覆っていた。
その姿はまるで氷の像。
中には轟焔で溶けたであろう箇所もある。
余程の熱さだったことが分かる。
「なんて熱量なのかしら…流石だわ」
そう言いながらも艶鐘の目は笑っていなかった。
一方友愛はそっと胸を撫で下ろした。
その姿を見た咲恵は何故かは分からないが少しざわついていた。
「どうだ?てめぇのあたま(冬が君)んとこに帰る決心はついたか?」
再びニッカリと笑いながら話しかける伝轟。
「ええ、今すぐにでも帰りたいですとも。」
自身に纏わせた鞭を解く。
すると氷の結晶は細かく壊れて舞い、地面に落ちる頃には溶けてなくなった。
艶鐘はほぼ無傷。
「だけど…こっちだってやらなきゃいけない事があるのよ」
ふぅとため息をつき、まだ氷が体についていたのか軽く払っている。
「ぶっちゃけるとここに夏組がいるのは予想外だったわ…もう、せっかくの計画も台無しね」
「つうちゃん…!!」
友愛は立ち上がる。
そして意を決して艶鐘の名を呼んだ。
「いいえ…艶鐘!!何故貴女の主【冬が君】は我が主である【春が君】を殺したの!?どうして…?」
苦渋な表情を浮かべながらも友愛は問うた。
そんな姿を見て艶鐘はフフっと笑みがこぼれた。
「我が友であった友愛、その問いに答えることはできないわ。ただ一つ言えることはある。」
「……もう友達ごっこはおしまいってこと」
その言葉が友愛を突き刺す。
「や…だ…」
ぽろ、ぽろっと友愛の頬を大粒の涙が落ちる。
「やだよう…私、こんなの…どうして…?」
「どうしてもこうしてもよ。いい機会だったのよ。清々したわ。」
冷たい言葉が友愛を凍りつかせる。
同時に咲恵のざわつきは益々大きくなる。
「私…つうちゃんの友達でいたいのに…」
「愚かねあんた。自分の主を殺されといてまだそんな戯言言ってるの?」
少しだけ艶鐘の口調が強くなる。
2人の会話に他の者達が入る余地はなかった。
「そ…それ…で…も…」
絞り出すように声を発する友愛。
「貴女と…つうちゃんと過ごした時間は…私にとって…とても…とても大切な…!!!!!!」
その言葉を言い切る前に艶鐘は動いていた。
「しまった…!」
伝轟は轟焔を艶鐘に向けて構えるが時は既に遅し。
目の前で泣いていた友愛が、咲恵の目の前から消えた。
「友愛の姉貴いい!!!」
炎心も必死で友愛を掴もうとしたが追いつかず。勢いで倒れ込んだ。
そのまま2人は崩れた木々の中へ突っ込んでいった。
「馬鹿もいい加減にしてちょうだい!!!ほんとにあんた頭に虫でも沸いてるのね!!!あんたのそういう所が私は嫌いだったのよ!!!!!!気持ち悪いのよ!!」
胸ぐらを掴み、咳き込む友愛に罵声を浴びせた。
「やめて…やめて!!!!!!」
気づけば咲恵は叫んでいた。
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