私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲

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 由紀也は仕事量を抑えているのか、外出しても、短時間で帰ってくる。そして、家でネット会議や電話を頻繁にしている。
 気にしないで仕事に出向いて欲しい、と伝えれば、「いいんだよ。優月のほうが大事だから」と笑みを向けてくる。
 優月は居候のせめてものお返しに家事を請け負うことにしたが、由紀也は買い物などの外出には必ず付き添ってくる。

「当分、一人での外出はダメだ。ああいうタイプは、ストーカーになる場合がある。もしも見つかれば、危害を加えてくるかもしれない」

 隆司から届く着信やメッセージの量は、確かに、狂気めいたものを感じさせた。一日に百を超える。

『優月ちゃん、俺は怒ってないから安心して戻ってきて』
『どこにいるの? 心配だから居場所だけは教えて』
『俺がこれだけ連絡してるのに、いつまでスルーするつもり? いい加減怒りたくなるよ』

 隆司の話の通じなさは、恐ろしいほどだった。
 市太郎からも異常なほどの連絡がある。こちらも読んで恐ろしくなるような文言が並んでいる。

『優月、パパをこれ以上怒らせるんじゃない』
『破談は許さない。招待客にはそうそうたるメンバーがそろってるんだぞ。パパの面子をつぶすようなことはするな』

 スマホを開くたびに顔をひきつらせる優月を見て、「優月、拒否しよう」と由紀也が言い、優月はついに拒否した。
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