25 / 32
25
しおりを挟む
由紀也は仕事量を抑えているのか、外出しても、短時間で帰ってくる。そして、家でネット会議や電話を頻繁にしている。
気にしないで仕事に出向いて欲しい、と伝えれば、「いいんだよ。優月のほうが大事だから」と笑みを向けてくる。
優月は居候のせめてものお返しに家事を請け負うことにしたが、由紀也は買い物などの外出には必ず付き添ってくる。
「当分、一人での外出はダメだ。ああいうタイプは、ストーカーになる場合がある。もしも見つかれば、危害を加えてくるかもしれない」
隆司から届く着信やメッセージの量は、確かに、狂気めいたものを感じさせた。一日に百を超える。
『優月ちゃん、俺は怒ってないから安心して戻ってきて』
『どこにいるの? 心配だから居場所だけは教えて』
『俺がこれだけ連絡してるのに、いつまでスルーするつもり? いい加減怒りたくなるよ』
隆司の話の通じなさは、恐ろしいほどだった。
市太郎からも異常なほどの連絡がある。こちらも読んで恐ろしくなるような文言が並んでいる。
『優月、パパをこれ以上怒らせるんじゃない』
『破談は許さない。招待客にはそうそうたるメンバーがそろってるんだぞ。パパの面子をつぶすようなことはするな』
スマホを開くたびに顔をひきつらせる優月を見て、「優月、拒否しよう」と由紀也が言い、優月はついに拒否した。
気にしないで仕事に出向いて欲しい、と伝えれば、「いいんだよ。優月のほうが大事だから」と笑みを向けてくる。
優月は居候のせめてものお返しに家事を請け負うことにしたが、由紀也は買い物などの外出には必ず付き添ってくる。
「当分、一人での外出はダメだ。ああいうタイプは、ストーカーになる場合がある。もしも見つかれば、危害を加えてくるかもしれない」
隆司から届く着信やメッセージの量は、確かに、狂気めいたものを感じさせた。一日に百を超える。
『優月ちゃん、俺は怒ってないから安心して戻ってきて』
『どこにいるの? 心配だから居場所だけは教えて』
『俺がこれだけ連絡してるのに、いつまでスルーするつもり? いい加減怒りたくなるよ』
隆司の話の通じなさは、恐ろしいほどだった。
市太郎からも異常なほどの連絡がある。こちらも読んで恐ろしくなるような文言が並んでいる。
『優月、パパをこれ以上怒らせるんじゃない』
『破談は許さない。招待客にはそうそうたるメンバーがそろってるんだぞ。パパの面子をつぶすようなことはするな』
スマホを開くたびに顔をひきつらせる優月を見て、「優月、拒否しよう」と由紀也が言い、優月はついに拒否した。
239
お気に入りに追加
360
あなたにおすすめの小説

聞き分けよくしていたら婚約者が妹にばかり構うので、困らせてみることにした
今川幸乃
恋愛
カレン・ブライスとクライン・ガスターはどちらも公爵家の生まれで政略結婚のために婚約したが、お互い愛し合っていた……はずだった。
二人は貴族が通う学園の同級生で、クラスメイトたちにもその仲の良さは知られていた。
しかし、昨年クラインの妹、レイラが貴族が学園に入学してから状況が変わった。
元々人のいいところがあるクラインは、甘えがちな妹にばかり構う。
そのたびにカレンは聞き分けよく我慢せざるをえなかった。
が、ある日クラインがレイラのためにデートをすっぽかしてからカレンは決心する。
このまま聞き分けのいい婚約者をしていたところで状況は悪くなるだけだ、と。
※ざまぁというよりは改心系です。
※4/5【レイラ視点】【リーアム視点】の間に、入れ忘れていた【女友達視点】の話を追加しました。申し訳ありません。


その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*
音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。
塩対応より下があるなんて……。
この婚約は間違っている?
*2021年7月完結

〖完結〗では、婚約解消いたしましょう。
藍川みいな
恋愛
三年婚約しているオリバー殿下は、最近別の女性とばかり一緒にいる。
学園で行われる年に一度のダンスパーティーにも、私ではなくセシリー様を誘っていた。まるで二人が婚約者同士のように思える。
そのダンスパーティーで、オリバー殿下は私を責め、婚約を考え直すと言い出した。
それなら、婚約を解消いたしましょう。
そしてすぐに、婚約者に立候補したいという人が現れて……!?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話しです。

「君の作った料理は愛情がこもってない」と言われたのでもう何も作りません
今川幸乃
恋愛
貧乏貴族の娘、エレンは幼いころから自分で家事をして育ったため、料理が得意だった。
そのため婚約者のウィルにも手づから料理を作るのだが、彼は「おいしいけど心が籠ってない」と言い、挙句妹のシエラが作った料理を「おいしい」と好んで食べている。
それでも我慢してウィルの好みの料理を作ろうとするエレンだったがある日「料理どころか君からも愛情を感じない」と言われてしまい、もう彼の気を惹こうとするのをやめることを決意する。
ウィルはそれでもシエラがいるからと気にしなかったが、やがてシエラの料理作りをもエレンが手伝っていたからこそうまくいっていたということが分かってしまう。

「奇遇ですね。私の婚約者と同じ名前だ」
ねむたん
恋愛
侯爵家の令嬢リリエット・クラウゼヴィッツは、伯爵家の嫡男クラウディオ・ヴェステンベルクと婚約する。しかし、クラウディオは婚約に反発し、彼女に冷淡な態度を取り続ける。
学園に入学しても、彼は周囲とはそつなく交流しながら、リリエットにだけは冷たいままだった。そんな折、クラウディオの妹セシルの誘いで茶会に参加し、そこで新たな交流を楽しむ。そして、ある子爵子息が立ち上げた商会の服をまとい、いつもとは違う姿で社交界に出席することになる。
その夜会でクラウディオは彼女を別人と勘違いし、初めて優しく接する。

天然と言えば何でも許されると思っていませんか
今川幸乃
恋愛
ソフィアの婚約者、アルバートはクラスの天然女子セラフィナのことばかり気にしている。
アルバートはいつも転んだセラフィナを助けたり宿題を忘れたら見せてあげたりとセラフィナのために行動していた。
ソフィアがそれとなくやめて欲しいと言っても、「困っているクラスメイトを助けるのは当然だ」と言って聞かず、挙句「そんなことを言うなんてがっかりだ」などと言い出す。
あまり言い過ぎると自分が悪女のようになってしまうと思ったソフィアはずっともやもやを抱えていたが、同じくクラスメイトのマクシミリアンという男子が相談に乗ってくれる。
そんな時、ソフィアはたまたまセラフィナの天然が擬態であることを発見してしまい、マクシミリアンとともにそれを指摘するが……

【完結済】結婚式の夜、突然豹変した夫に白い結婚を言い渡されました
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
オールディス侯爵家の娘ティファナは、王太子の婚約者となるべく厳しい教育を耐え抜いてきたが、残念ながら王太子は別の令嬢との婚約が決まってしまった。
その後ティファナは、ヘイワード公爵家のラウルと婚約する。
しかし幼い頃からの顔見知りであるにも関わらず、馬が合わずになかなか親しくなれない二人。いつまでもよそよそしいラウルではあったが、それでもティファナは努力し、どうにかラウルとの距離を縮めていった。
ようやく婚約者らしくなれたと思ったものの、結婚式当日のラウルの様子がおかしい。ティファナに対して突然冷たい態度をとるそっけない彼に疑問を抱きつつも、式は滞りなく終了。しかしその夜、初夜を迎えるはずの寝室で、ラウルはティファナを冷たい目で睨みつけ、こう言った。「この結婚は白い結婚だ。私が君と寝室を共にすることはない。互いの両親が他界するまでの辛抱だと思って、この表面上の結婚生活を乗り切るつもりでいる。時が来れば、離縁しよう」
一体なぜラウルが豹変してしまったのか分からず、悩み続けるティファナ。そんなティファナを心配するそぶりを見せる義妹のサリア。やがてティファナはサリアから衝撃的な事実を知らされることになる──────
※※腹立つ登場人物だらけになっております。溺愛ハッピーエンドを迎えますが、それまでがドロドロ愛憎劇風です。心に優しい物語では決してありませんので、苦手な方はご遠慮ください。
※※不貞行為の描写があります※※
※この作品はカクヨム、小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる