どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。

夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。

エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。

「ゲルハルトさま、愛しています」

ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。

「エレーヌ、俺はあなたが憎い」

エレーヌは凍り付いた。

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