『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第十部

皆の絵

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後ろからトリアに声をかけられ、

「えっ? あれ? 

今、仕事から戻られたんですか? 

でも、山川さんが図書室にいたんですけど」

と向井はびっくりした。

「ああ、山川は今、

ポップアップの方やってるでしょ。

だから私が先生のアシやってたのよ。

長年山川の憑依を担当してたから、

マンガは得意なのよ」

「そういえば、妖怪トリオのキャラは、

トリアさんがデザインしたんですもんね」

「そうよ。ちょっとくらいなら、

松田先生も違いは分からないみたいだから。

もう、本も出来上がったから、

次のアシは山川に交代~

あ~疲れた。おやつある? 」

トリアが聞いた。

「ありますよ」

そういって笑うと、

「そろそろヴァン君達も戻ってきてるかな? 」

とトリアと一緒に休憩室に向かった。



休憩室に行くと、

冥王とヴァン達が既におやつを食べていた。

「これ、向井君が買ってきたの? 

美味しいわね」

真紀子が言った。

「えっ? そんなに美味しいの? 」

トリアは言うと嬉しそうにテーブルに走っていった。

「美味しいよ。俺、初めて食べた」

ヴァンも笑うとトリアを見た。

「冥王は今日は、

お仕事が詰まっていたんじゃないですか? 」

「朝から頑張って、

一週間分の魂をクリアさせました」

「それはご苦労様でした」

向井も笑うとキッチンに歩いていった。

「トリアさんも珈琲飲みますか? 」

「飲む~」

美味しそうにケーキを食べながら手を挙げた。

向井がカプセルをセットしていると、

安達もやってきた。

「あっ、何食べてるの? 」

楽しそうにソファーに向かった。

「ビーネンシュティヒというパンのケーキです」

「美味しそう~」

安達はソファーに座ると、

ケーキ皿に乗せた。

「製作は進んでいるんですか? 」

冥王が聞くと、

「うん。あと背景を、

トリアに描いてもらったら終わり」

安達は食べながらトリアを見た。

「えっ? 私が描くの? 」

「うん」

ニコニコ笑いながら言う。

「仕方がないな~」

トリアも笑うと、安達の鼻をつまんだ。

『やめてよ~』と楽しそうな安達を見て、

みんなが笑っていると、

「そういえば、うちには絵を描くものって、

いないわよね」

とトリアが言った。

「私は描きますよ」

「却下。あれは悪戯書きより酷いもん」

「そうね~牧野君の似顔絵より下手だもんね」

エハも笑った。

「じゃあ、みんなは描けるんですか? 」

冥王はそういうとチビ達の机から、

画用紙とクレヨンを持ってきた。

真紀子やエハ、ヴァン、安達が、

銘々に描き始めた。

向井が珈琲を運んでくると、

「みなさん上手いですね。

これではトリアさんが冥王の絵を、

悪戯書き以下と言ったのが分かります」

そういってトレイを置いた。
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