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第十部

神様の成人式?

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「失礼ですね。カッコいいんですよ。

この良さが分からないとは」

冥王がぷんぷんと怒る。

「抑々松鬼は大工だったのに、

手先が器用だからって、

冥王が仕立て屋にしたんだからね。

洋服を作る者がいない。

私は既製服は体に合わないから嫌だ。

まあ、わがまま放題で、

俺の弟子を半ば強引にテーラーにさせたんだから、

ちゃんと面倒見てくれないと困るんですよ」

妖鬼は冥王を睨んだ。

「まあ、酷い」

真紀子に言われ、

皆から最低というような目で見られ、

「うっ…わ、分かってますよ」

冥王はそういうとケーキを食べた。

向井はいたたまれない顔の冥王に笑うと、

「あの二人はどんな服装で出かけられるんでしょうね」

と言った。

「それなら僕見たよ。

毘沙門天のはスリーピースで、

赤姫のは淡い藤色の訪問着だよ。

手刺繍の凄い豪華な正絹」

「素敵………」

弥生が想像しながら呟いた。

「そんな時間がよくありましたね」

向井が驚いていると、

「違うの。

以前、派遣霊の時にお仕立てしたものなの。

それを少しサイズ直ししたんだ。

ほら、冥王は既製服着ないからさ」

そういってゼスが冥王を指さし、

「豪華なものだし、

保管庫にしまってあったのを二人に見せたら、

喜んでさ。

だから松鬼が直してたんだよ」

ケーキのフォークを口にくわえたまま見た。

「これで冥王のわがままが証明されたね」

ティンが笑った。

「もう、いじめないでくださいよ」

冥王の声にみんなが笑っていると、

毘沙門天達が着替えて見せに来た。

「わあ~」

入り口でポーズをとる二人に、

部屋にいた者たちが感嘆の声を上げた。

「オーラのせいですかね。迫力ありますね」

向井が驚く。

「そのまま舞台挨拶出来そうですよ」

新田も笑顔で二人を見た。

「わあ~カッコいい」

「素敵~」

プール遊びから安達とチビ達が戻ってきた。

入り口に立つ二人に憧憬の眼差しで、

顔を輝かせた。

「ホホホホ正直者よの~」

赤姫が笑う。

「ほんに可愛い。食べてしまいたいの~」

その言葉に四人が固まり動けなくなった。

「赤姫は意地が悪い。

子供をからかうものではありませんよ」

毘沙門天が言い、

「このおばあちゃんは意地悪ですね」

とチビ達を見た。

「お、おばあ………」

赤姫が絶句している姿に向井は笑うと、

「向こうにおやつがあるから食べましょう」

チビと安達を連れて行った。

「なに? その格好。何度目の成人式? 」

後からやってきた牧野がちらりと見ると、

部屋に入ってきた。

呆気にとられる二人に大人達は大笑いした。



次の日――――――――

向井はエナトと新田、アートンで、

団地の祠跡を見て回っていた。
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