『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第九部

三鬼が好きな…

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「安達君と牧野君はティン君と一緒に、

他のブースを見に行ったよ」

黒谷が向井達が来るとそういった。

「手伝いに来てるはずなんだけどね」

トリアが仕方がないな~と笑った。

「おっ、チビ達はもうボール投げしてきたんだ」

胸に下げるキーホルダーを見て、

黒谷が笑った。

「この子たち連れて大きなアミューズメントは難しいから、

こういうイベントがちょうどいいのよ。

チビ達も喜んでるし」

トリアが説明した。

「きょーはね~きものをかいにきたんじゃ」

「着物? 」

呉葉の言葉に黒谷が驚いて向井達を見た。

「この子たちがいつも持ち歩いている、

お人形に着せる着物ですよ。

作家さんが参加されてるので、

欲しいそうです」

向井が笑った。

「ボクはね~きょうりゅーのつみきをかうの」

三鬼が嬉しそうに黒谷に説明した。

「それは向井パパは大変だ」

黒谷が笑った。

「多分、先に見て回ってる大きな子供達も、

向井さんのお財布を当てにしてるよ」

ディッセも黒谷の隣でニヤリとした。

「ハハハ………」

向井の乾いた笑いに、

「式神課で稼いで給料アップしても、

右から左へと出て行っちゃうね」

トリアも笑った。

「はやく~」

チビ達の声に、

「では、空っ穴になってきます」

向井はトリアと一緒にチビに引きずられていった。



こんと呉葉が作家のブースに行くと、

「久しぶり~また来てくれたのね」

作家と楽しそうに人形の話を始めた。

トリアがいるので、

「俺達は向こうのブースにいるから」

と三鬼を連れて歩き出した。

作家を見つけると、

三鬼が嬉しそうに走って行った。

「こんにちは~ボクこれかいにきたの~」

作家と楽しそうに会話をする後ろから、

向井は歩いてくると挨拶した。

「HP見て、どうしてもこれが欲しいそうで」

向井が笑顔で作家を見た。

「有難うございます。

これは新作なんですよ。

何度も作り直して、

やっと納得がいく形に仕上がったので、

喜んでもらえたら嬉しいです」

三鬼は向井を見ると、

「これパズルなの」

と木箱の穴に形を合わせて、

恐竜の積み木を中に入れていった。

「面白いですね」

向井が顔を近づけてみる。

「これなら遊びながら片付けもできますね」

向井が作家を見て笑った。

「そうなんですよ。

それとね。バランスゲームも楽しめるんです。

このボードの上に恐竜を置いて、

バランスを取らせるんです。

ちょっと難しいよ」

作家が三鬼に言った。

三鬼は恐竜を手に持って、

「これヒノキ? 」

と聞いた。

作家は驚くと、

「凄いね。ヒノキの香りが分かるの? 」

と三鬼を見た。

「ボクね。ヒノキのかんなくずで、

おはなつくったの」

「ヒノキのかんなくずで? 」

作家が驚いて顔をあげると向井を見た。
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