『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第八部

ライバル赤姫

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「紛争地域もそうだけど、

不安定な国の霊魂は苦しみで溢れてるから、

成仏できないのよ。

悪霊になったものはそれにつけ込むから、

今回みたいに大きくなって悪さをするの」

エハが説明した。

「特に今は全国的に神祠が壊されているから、

神も減ってるしね。

均衡を保っているのは赤姫のお陰ともいえるわね」

トリアも難しい顔をし、

「私も明日からまた、

アシスタントの仕事が入るから、

少し留守になるよ」

向井の顔を見た。

「ゾンビ少年の続き、やっと描くの? 」

牧野が疲れも忘れたように、

トリアの近くに走ってきた。

「あんた元気じゃない。

まだ、悪霊退治できそうね」

「ヤダよ! それよりゾンビ少年! 」

牧野がトリアに顔を近づけた。

「あ~うるさい! 第二部が始まるんだって。

で、映画になる部分の外伝も出るって」

「おお~! すっげえ~いい所で続きでさ。

冥王と安達と山川に続きはいつって、

聞いてたんだよね。

楽しみ~」

牧野の楽しそうな顔に、

「それより発表会は大丈夫なの。

もう一週間切ってるよ」

トリアが言った。

「大丈夫。今回はいい出来だと思うんだよね~

安達の奴が失敗しなきゃね~」

楽しそうな牧野の様子を、

向井達は笑って見ていた。


――――――――


翌日からトリアは山川の派遣で出かけていき、

向井とディッセとシェデムは、

イベントの打ち合わせで黒谷の団地に向かった。

「今日はキッチンカーはお休みで、

玲子さん達もフラの教室に出かけたそうです」

向井はディッセ達に説明した。

「試作で作った、

妖怪弁当の味見もお願いされたので、

一足早くお弁当が食べられますよ」

「それはラッキー」

ディッセとシェデムが嬉しそうに笑った。



団地に着くと、

赤姫がやってきた。

「これからお出掛け? 」

シェデムが聞くと、

「発表会の練習で冥界に行ってくる」

赤姫が楽しそうに言った。

「みんなうまくなったって言ってたし、

発表会が楽しみだな」

ディッセの言葉に、

「優勝を狙っておるからの~」

赤姫がフフフと笑った。

「それはどうかな~

今回は俺達も勝ちを狙ってるからね」

ディッセが向井と肩を組むと優勝宣言をした。

「ほお~そうかえ。ではライバルだな」

赤姫は笑ってそれだけ言うと姿を消した。

「ディッセは斬られ役の練習、

上手くいってるの? 

向井さんと新田君の出来が良くても、

あなたが足を引っ張ってたら、

全て台無しよ」

シェデムが鼻で笑った。

「まあ、見てなって。なっ」

ディッセは得意げに笑って向井を見た。

「トリアじゃないけど、赤姫は大分丸くなったわね」

シェデムが赤姫の消えた場所を見て言った。
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